「なのです」の意味とは?敬語の使い方や英語も紹介【例文あり】

「なのです」は書き言葉では文末でよく使う言葉ですが、普段の日常会話のなかではあまり出てきませんよね。ビジネスメールや文書内、スピーチなどで使ってもいいのかどうかと悩む場面も出てくるかもしれません。今回は「なのです(~んです)」の意味や使い方、英語表現まで解説していきます。

「なのです」の意味

「なのです」には、大きく2つの意味があります。ひとつは強い断定、もうひとつは事情説明です。

「なのです」は強い断定を表す

「なのです」は、強い断定を表す言葉です。「なのです」を分解すると、「な・の・です」に分けられます。

「な」は断定の助動詞、もしくは形容動詞の語尾の連体形です。「の」は助詞、「です」は断定の助動詞「だ」の丁寧語となります。「なのです」は言い切りの形に、断定の助動詞をくっつけた言葉ということです。たとえば「それが原因です」というよりも、「それが原因なのです」と言った方が断定の度合いが強くなります。

似た表現で「~のです」も同様に、言い切りの形に断定の助動詞を付加しています。「美しいです」よりも、「美しいのです」と言ったほうがより強調した表現になります。

「なのです」には事情説明をする意味もある

「なのです」は、事情を説明する場面でも使われます。たとえば、「君のためだ」というよりも、「君のためなのです」と表現すると、相手に説明し言い聞かせるニュアンスが加わります。

また、「どこにいくのですか」のように疑問形にすると、相手に事情説明を求める言い方になります。

「なのです」を使った文単体では、強調表現と事情説明のどちらなのか区別がつかないこともあります。そのような文章を見たときや聞いたときは、前の文との繋がりから意味を判断しましょう。

「なのです」の使い方・例文

続いて、「なのです(~のです)」の使い方を例文とともに見ていきましょう。

「なのです」は敬語として使える

「なのです」の「です」は、断定の助動詞「だ」の丁寧語です。ビジネスシーンにおいても、目上の人に対して敬語として使える言葉です。

「なのです」の例文

「なのです」は、強調や事情説明の意味で使われます。

  • 我が社こそ、時代を引っ張っていく存在なのです。
  • そのとき彼はこう言ったのです。
  • このようなチャンスをずっと待っていたのです。
  • 先生に感謝したい。初心者の私に一から丁寧に教えてくれたのです。
  • バスが遅れていたのです。

「なのですが」は否定や逆説の意味を持つ

「なのですが」は、「なのです」に否定や逆説の意味を表す「が」をつけたものです。前の文と反対の内容を、すぐ後ろに付け加えるときに使います。

  • 意見はごもっともなのですが、システム上実装できない仕様になっております。
  • 大変ありがたいお誘いなのですが、あいにく予定が入っておりまして、残念ながら欠席させていただきます。
  • 長年愛用しているのですが、傷ひとつありません。

また、相手に許可を求めるときに、「なのですが」を使うケースもあります。たとえば、「承認が必要なのですが、判をいただけますか」といった言い方です。

文の前半と後半が反対の意味になっていないため、文法的には誤りです。「恐縮ですが」「お手数をおかけしますが」といった言い方と混同された結果、語調を柔らかくするために「が」が使われるようになったのかもしれません。

この場合は、「承認が必要なので、判をいただけますか」のように、「が」をつけないのが正しい言い方になります。

「なのですね」は相手に確認・念押しするときに

「なのですね」は、相手に確認をしたり、念押しをしたりするときに使います。

  • 今日が勝負の日なのですね。
  • 九州に行かれたのですね。
  • 家族のように思っていらっしゃるのですね。
  • 9時でかまわないのですね。

「なのですか」は疑問や問いかけのシーンで

「なのですか」は、疑問を示したり、相手に問いかけたりするときに使います。また、相手の意見に対する驚きを示したり、相手を詰問するときにも使います。

  • ご出身はどちらなのですか。
  • お知り合いだったのですか。
  • そんなことがあったのですか。
  • 支払いはどうなさるおつもりなのですか。

「なのです」と「なんです」の違い

「なんです」は口語で文書には使えない

「なんです(~んです)」とは、「なのです」が音便化したもので、分類上は口語です。発音しづらい部分が自然と変化し、「ん」になったものとされています。口語は文法的に間違っているものではありませんから、会話やスピーチ上では「なんです」を使っても問題ありません。

一方、書き物では「なのです」を使います。「なんです」はあくまで口語ですので、ビジネスメールや書類内の本文に使うのは不適切だと言えるでしょう。

「なのです」の英語表現

最後に、「なのです」の英語表現を紹介します。

動詞に「do」をつけることで強調を表現する

強調表現をしたい場合は、動詞の前に「do」をつけることで表せます。

たとえば、「I want to do the job.」は「私はその仕事がしたいです」という意味ですが、これに「do」をつけて「I do want to do the job.」とすると、「私はその仕事をしたいのです」のように、強調の意味が加わります。

「確実に」という意味の「assuredly」を使う

もうひとつ、言いたいことを強調する言い方に、「assuredly」を使う言い方があります。「assuredly」は「確実に」という意味の単語です。

「It is assuredly that ~」を言いたいことの前につけることで、「that以下は確実にそうだ(that以下なのだ)」という意味になります。

理由を表す「because」を使って表現する

事情説明の「なのです」を英語にしたい場合は、理由を表す「because」を使うとよいでしょう。「彼女はとても親切だったのです」なら、「Because she was very kind.」のように表せます。

まとめ

「~なのです」という言い方は、耳に残りやすい表現なのでつい使いたくなるという方も多いかもしれません。用途としては書き言葉にふさわしいのですが、強調や事情説明の意味を持つため、誰かに何かを聞いてほしい場面でも頻出するでしょう。伝えるべきことを強調・説明する手段として、「なのです」を上手に活用してみてください。