「あっけらかん」の意味と語源とは?褒め言葉での使い方と類語も

「あっけらかんとした性格」「あっけらかんと眺める」など、「あっけらかん」は人が何事もなかったようにケロリとしている様子を表も時に使われますが、褒め言葉として使う時は注意が必要です。

ここでは「あっけらかん」の意味と語源の他、褒め言葉としての使い方、例文、類語、英語フレーズついて解説させていただきます。

「あっけらかん」の意味と語源とは?

「あっけらかん」の意味は”平然としていること”

「あっけらかん」の意味は、“何もなかったかのように平気でいること”です。自分に関わるものごとで何かあっても、気にせず、けろっとした態度でいることを表します。

たとえば、仕事でミスをして上司にひどく怒られた時、通常なら眉が下がって悲しい表情になったり、シクシクと涙こぼすこともあるでしょう。このような状況でも、表情を変えず平然としているさまが「あっけらかん」です。

「ぼんやりとしていること」という意味でも使う

上記で挙げた意味のほかに、「あっけらかん」には”ぼんやりとしている”という意味があります。自分の周りで意外なことが起こったり、不可解な事象に遭遇した時、驚いたり呆れたりして、口がふさがらず、ぼんやりとしている様子を表しています。

たとえば、電車の中で大声で話している人がいるとしましょう。この時に呆れた気持ちを抱きながら、ただぼんやりと呆れて見ているような様子が「あっけらかん」です。「あっけらかん」は、表情や顔がぽかんとして、開いた口がふさがらにような状態を指します。

「あっけらかん」の語源は”開く”の連用形「あんけ」

「あっけらかん」は語源となる言葉から現在の「あっけらかん」に至るまで、多くのプロセスを踏んだ言葉の一つです。

「あけらかん」の「あけ」とは、もともと”口をぽかんと開けた様子”を表す言葉であり、かつての中世期には「開く(あく)」から副詞の”あんけ”という言葉が存在していました。その後「あんけ」に接尾語の”ら”がつけられ「あんけら」となり、さらに接尾語の「かん」がつけられ「あんけらかん」となりました。そして「あんけらかん」から、促音化された「あっけらかん」となり、現在に至ります。

「あっけらかん」はそもそも褒め言葉?使い方の例文とは?

「あっけらかん」は基本的に褒め言葉ではない

「あっけらかん」という言葉は、もともと”何事もなかったように平気でいる・呆然としている・ぼんやりと呆れている様子”を意味する言葉です。これらの意味を考えると、別段として「良い意味」でもなければ、褒め言葉でもないというのが通常の解釈でしょう。

しかしながら、ストレス社会や複雑な生活環境の中では、自分に不快なことが起きたり、嫌な事象が降りかかることも多くあります。その際、ある程度平気でいたり、ものごとを気にしないことは、ある意味で良いこととも言えるでしょう。つまり、「あっけらかん」はストレスに負けない強い心、ポジティブな性格、というようなニュアンスを含むため、状況によっては相手を褒める時にも使われることがあるのです。

もちろん「あっけらかん」は基本的には褒め言葉に該当する表現ではありません。相手によっては「ぼうっとしている・何も考えてない・表情がない」などと、不本意なニュアンスで解釈されてしまう場合がありますので、十分気をつけましょう。

「あっけらかん」を使った例文

「あっけらかん」を使った例文をご紹介しましょう。

  • 田舎から上京して間もない私があっけらかんとしたのは、満員電車のすごさだ。
  • 私はしょうもないことで喧嘩をしている親子を、あっけらかんと見ていた。
  • 息子がテストで0点をとったが、落ち込むこともなくあっけらかんとしていた。
  • 彼女はあっけらかんとしていたが、心のうちは彼への未練でいっぱいだ。

「あっけらかん」の類語とは?

類語①「よそ事のように」とは”他人事のように振る舞うこと”

「よそ事のように」は自分に起こっているのに、他人や他で起こっているかのように振舞うことを意味します。まったく気にしない、平気な様子でいることを表します。

  • 私は自分の失敗を、まるでよそ事のように気にかけなかった。

類語②「淡々と」とは”平然として動じないこと”

「淡々と」は平然として動じないことを意味します。嬉しさや悲しさなどの感情を表に出さず、涼しい態度でいることを指します。

  • 父親の告別式では、淡々と思い出を語っていた。

類語③「意に介さない様子で」とは”気にも留めないこと”

「意に介さない様子で」は、ネガティブな出来事や周囲からの批判や意見に対して気に留めないことを意味します。気持ちや考えが図太い様子で、ものごとの行方を気にしないことを表します。

  • 同僚は部下からの指摘に対して、全く意に介さない様子だった。

類語④「いけしゃあしゃあ」とは”憎らしいほど平気な態度”

「いけしゃあしゃあ」は、はたから見ても肉らしいほど、平気な態度でいることを意味します。自体に対して無関心で、恥ずかしげもない言動を指すため、どちらかと言うと相手を罵る時に使われることが多い表現となります。

  • 仲間を裏切ったのに、いけしゃあしゃあとチームに戻ってきた。

「あっけらかん」の英語フレーズとは?

「not seem to care」とは”気にしていない様子”

「あっけらかん」は日本語独特の表現となりますが、状況やものごとを気にしていないことを表す時は“not seem to care”を使います。「seem」は”~のように見える”、「care」は”気に留める”という意味があります。

  • My boss doesn’t seem to care about his own mistake.
    上司は自分がおかしたミスにあっけらかんとしていた。

「innocently」とは”無邪気な顔で”

「あっけらかんと〇〇をする」というフレーズを作りたいなら、副詞の“innocently”も良いでしょう。「innocently」は”innocent”の副詞形で、無邪気な、罪のないという意味があります。加えて、たとえ、自分に非があっても、何食わぬ顔して平気でいること表す時にも使われます。

  • I was looking at fight over the discount items just innocently.
    セール品の奪い合いを、ただあっけらかんと見ていた。

まとめ

「あっけらかん」は「平気でいること」「呆然として口がふさがらないこと」を表す時に使われます。現代においては「ものごとに動じない」「何事も平気でいる」というような使われ方をするため、状況や相手によっては「褒め言葉」として機能することもあるようです。

また「あっけらかん」は「呆気に取られる(呆れて、物事にとりつかれること)」の「あっけ」と同じようなニュアンスを持ちます。呆れて空いた口がふさがらない、ぼうっとしているという意味の「あっけらかん」とのつながりも見えてきそうです。