「悼む」の意味や語源とは?使い方の例文や類語「偲ぶ」も解説

「悼む」という言葉は「故人を悼む」や「死を悼む」のように、人の死に対して悲しみ嘆くという感情を表現するときに使います。

本記事では「悼む」の意味や語源、その使い方について例文を入れながら解説します。また、類語の「偲ぶ」や「弔う」との違いや、英語表現についても紹介しましょう。

「悼む」とは?

「悼む」の意味は「人の死を嘆くこと」、読み方は「いたむ」

「悼む」の意味は、“人の死について悲しんだり嘆いたりすること”です。

「悼む」は、”死んだ人を惜しみ、悲しんだり嘆いたりする”という感情を表現する際に使用する言葉です。

「悼む」の読み方は”いたむ”

「悼む」の読み方は“いたむ”です。「悼」という漢字は、訓読みで「いた(む)」、音読みで「とう」と読み、「悲しみで心をいためる」や「死をあわれむ」という意味を持ちます。

「痛む」と「傷む」も”いたむ”と読む

「痛む」と「傷む」は、「悼む」と同じく「いたむ」と読む同訓異字です。同訓異字とは、異なる漢字で読みが同じ言葉のこと。読み方は同じですが、それぞれのニュアンスが違います。

「痛む」は、”肉体的に感じるいたみや精神的に感じる苦しみ”のこと。「古い傷跡が痛む」や「事故のニュースを聞いて心が痛む」などと使います。「傷む」は、”壊れたり腐ったりする”こと。「長年使ったバッグが傷む」や「段ボールに入れっぱなしのミカンが傷む」などと使います。

「悼む」は”人の死を悲しんだり嘆いたりする”こと。それぞれのニュアンスは違いますが読み方が同じため、メールや手紙など文章で使う場合には間違わないよう注意が必要です。

「悼む」の語源は”心臓が悲しみで驚き揺れる”

「悼」という漢字は、「心臓」や「心」を表す「りっしんべん」と、人が太陽より高いという意味の「卓」の成り立ちによります。「心が悲しみで驚き揺れる」という解釈から、”人の死をあわれむ”といった意味を持つ字になりました。

「悼む」の使い方と例文とは?

「悼む」は亡くなった人に対してのみ使う言葉

「悼む」は、亡くなった人に対してのみ使う言葉です。死や亡くなるという言葉と共に使用することが多く、亡くなった人を思い嘆いたり悲しんだりする気持ちを表現するときに使います。家族や友人はもちろん知人や上司など、相手との立場などは問いません。

また、同じ「嘆き悲しむ」感情であってもケガや病気の人に対しては使わないので、注意しましょう。

「悼(とう)」を使った熟語「哀悼」と「追悼」

「悼」という漢字を使った熟語には「哀悼」や「追悼」があります。

「哀悼」は「あいとう」と読み、”人の死を悲しみいたむこと”という意味です。「哀悼の意を表します」などのフレーズに使われ、「表す」は”あらわす”と読むのではなく「ひょうす」と読みます。これは文語的な表現であるため、直接遺族に話すときなどに使用するのではなく、手紙や弔電を送る際に使うフレーズです。

「追悼」は”ついとう”と読み、「人の死を悲しみいたみ、故人を思いしのぶ」という意味を持ちます。故人を偲んで開催される式典のことを「追悼式」と呼びます。

「哀悼」は”亡くなったことを悲しむ”気持ちを指すのに対し、「追悼」は”亡くなったことを悲しみ、故人を思う”行為を指しています。

「悼む」を使った例文

「悼む」を使った例文をご紹介しましょう。

  • 友人の死を悼む
  • 不慮の事故で急逝した彼を悼む声が多く聞かれた
  • 遺族の方に故人を悼む気持ちを伝えた

「悼む」の類語とは?

「偲ぶ」は遠く離れた人に対しても使う

「偲ぶ」は、”過去の思い出をなつかしく思う”や”好ましく慕う思い”などの意味があり、「亡くなった人や別れた人を懐かしく思い出す」という意味でも使われます。

「悼む」が故人に対してのみ使う言葉であるのに対し、「偲ぶ」は、故人のみではなく、過去に別れた人や遠く離れた人に対しても使う点が、一番の違いです。

「弔う」は悲しむ感情と供養する行為の両方を指す

「弔う」は”とむらう”と読み、「人の死をかなしみいたむ」という意味と共に「冥福を祈る・供養する」という意味もあります。
「悼む」は、死を悲しんで嘆くという感情部分を指しますが、「弔う」は、死を悲しみいたむ感情はもちろん、その冥福を祈ったり供養したりする行為自体も指しているところが、一番の違いです。

「悼む」の英語表現とは?

「悼む」は英語で”mourn”や”grieve”

「悼む」の英語表現には“mourn”“grieve”が当てはまります。
「mourn」には、「嘆く」や「悲しむ」などの意味があり、「mourn the death of~」で”~の死を悼む”という意味のフレーズです。「grieve」にも”深くかなしむ”という意味があり、「grieve over」で”悼む”という意味のフレーズになります。

どちらもほぼ同じ意味ですが、「mourn」は死に向き合い嘆き悲しむ意味合いが強く、「grieve」は感情的に深く心痛し嘆くという意味合いが強い単語です。

まとめ

「悼む(いたむ)」は、「人の死について悲しんだり嘆いたりすること」という意味を持ちます。亡くなった人に対してのみ使う言葉なのが大きな特徴です。これに対し「偲ぶ」は過去に別れた人や遠く離れた人に対しても使う点が異なります。もうひとつの類語「弔う」と共に、ニュアンスの違いもチェックしておきましょう。