「夜郎自大」の意味と語源とは?史記での逸話や使い方・類語も解説

「夜郎自大(やろうじだい)」という四字熟語を知っていますか?日本には逸話や中国の史記などが語源となった言葉が多くありますが「夜郎自大」もその一つです。

今回は「夜郎自大」の意味と語源のほか、使い方と例文、類語をわかりやすく解説させていただきます。

「夜郎自大」の意味と語源とは?

「夜郎自大」の意味は”自分の力を知らず威張ること”

「夜郎自大」の意味は“自分の力を知らず威張ること”です。自分が本来持つ力や力量を知らない者が、仲間内で威張り、大きな顔をしている様子を表しています。つまり「夜郎自大」とは自分の力をわきまえず威張りちらし、あたかも自分だけの力のように尊大に構えることを意味する言葉です。

別の言葉で言えば、狭く小さな世界にいるため、実際に大きな世界で何が起こっているかわからないこと、また、実際に自分の価値や力量の小ささを知らず、勘違いしていしまっていることを指しています。

「夜郎自大」の語源は”史記・西南夷伝”にある逸話

「夜郎自大」の語源は”史記”にある「西南夷伝」の中にある一部分だとされています。この逸話の中に、中国西南の民族である「夜郎」が、漢の強大さを知らず自分の勢力を誇り高ぶっていた、と書かれてあります。

「夜郎」は、中国の漢時代に存在した国名ですが、「夜郎」の国王が漢が大国で偉大であると知り得ず、自分が一番偉く力があると思い違いをしたことが記されています。これが語源であり、由来となります。

「夜郎自大」の使い方と例文とは?

「夜郎自大な人」は身の程知らずという意味で使うことが多い

「夜郎自大な人」は”身の程知らず”を意味する時の揶揄表現として使われることが多いです。狭い世界に住む自分のことしか知らないため、世間知らずで、勘違いが甚だしいさまを表す時によく使われます。

「夜郎自大」は相手を非難する時に使われることも多い

「夜郎自大」とは相手を非難する時につかわれることも多い四字熟語です。「夜郎自大」は相手が自分の力量を勘違いし、はたから見て身の程知らずであることを表す言葉であるため、相手を見下す意図で使われます。

「夜郎自大」を使った例文

「夜郎自大」を使った例文をいくつかご紹介しましょう。

  • 生まれてから今までこの町を出たことがなく、親の力もあってちやほやされた。社会人になってから都会に出て、夜郎自大に振舞っていた自分が情けない。
  • 地方支店に勤務の私は常に成績がトップだった。いつも鼻高々であったが、全国区で見ると大したことはなく、周りから夜郎自大だとつぶやかれるようになってしまった。
  • 夜郎自大とは言わないが、同僚のAは会社のネームバリューを利用して、自分が素晴らしい人間であると言いふらしていた。
  • チームが一丸となって団結したから優勝できたというのに、リーダーのAは自分一人で勝ち得た結果であるかのように振舞っていた。

「夜郎自大」の類語とは?

類語①「井の中の蛙」とは”狭い範囲だけで見ること”

「井の中の蛙」とは、”井の中の蛙大海を知らず”を略したことわざです。通常狭い池や小さな川などで生活する蛙は、ごく限られた範囲だけしか見ることができなため、他にもっと広い世界が存在することを知る由もないという意味があります。

つまり、「井の中の蛙」とは狭い範囲だけでものごとを見ることしかできないため、自分を過大評価してしまったり、勘違いをしている様子を指す言葉です。

【例文】

  • 工場長が社長に向かってため口をきいている。工場内では通用するようなものの、これでは全く井の中の蛙だ。

類語②「針の穴から天を覗く」とは”大きな事柄を間違って語ること”

「針の穴から天を覗く」とは”自分の見識の狭さを認識せず、他の大きな事柄について知っているかのように語ること”を意味します。知識や経験が乏しい人が、大きな物事や問題を解決しようとしたり、広大な事象について勝手な憶測や判断を下すたとえととして使われています。

また「夜郎自大」と同じように、相手を「可哀そうな人」と卑下したり、「愚かである」と非難する意図で使われることわざとなります。

【例文】

  • 針の穴から天を覗くように、親に向かって常識論を並べるとは、我が息子は自分の見識の浅さを疑っていなかのようだ。

類語③「夏虫氷を疑う」とは”自分が知らないことを信じないこと”

「夏虫氷を疑う」とは”夏虫疑氷(かちゅうぎひょう)”とも言い、見識が浅く狭い人が、自分の知らない世界や聞いたことのない物事に対し、信じようとしない様子を表す言葉です。

夏の季節にしか生きることができない虫たちは、寒い冬の季節に氷が存在することを信じようとしません。夏の間に見ることのない氷、つまり夏の虫が知り得ないものに対して、認めようとしないことを指すことわざが「夏虫氷を疑う」です。

【例文】

  • 地元で生まれ育った娘は夏虫疑氷で、都会でのモダンなライフスタイルを信じようとしない。

まとめ

「夜郎自大(やろうじだい)」は身の程知らずという意味で、「史記・西南夷伝」にある逸話が語源となった四字熟語です。「夜郎自大」は狭い世界しか知らず、自分に力量があると勘違いする時に使われるため、相手を非難したり、子馬鹿にするというニュアンスがあることを留意しておきましょう。

まるで「裸の王様」に近い意味のある「夜郎自大」。使う相手に気を付けて、揶揄表現として適切に使いましょう。