「諸刃の剣」の意味と読み方とは?使い方の例文や類語・対義語も

「諸刃の剣」とは、高いリターンを得ることができるが相応のリスクも覚悟しなければならない、という警告のたとえとして使われることわざです。

読み方が難しく、その形状のイメージもしにくいことから、あまり広く使われていない表現かもしれませんが、経済や科学のリスクを伝えるために新聞記事などでも使われることがあります。

この記事では、「諸刃の剣」についてその意味や読み方、使い方と例文、類語や対義語などを幅広く紹介します。加えて「諸刃の剣」が日本に実在するかどうかについても触れています。

「諸刃の剣」の意味と読み方とは?

「諸刃の剣」の意味は「役に立つ一方で害を与える危険もある」

「諸刃の剣(もろはのつるぎ)」とは、役に立つ一方で、害を与える危険もあるという意味のことわざです。

ある事柄について、それを利用したり実行したりするには効果も高いが、その実益を超えるほどの危険も伴うということを警告する意味を含んで用いられます。

諸刃とは両刃という意味であり、両辺に刃がついた剣は、威力が高い一方で、戦いの際に自分を傷つけてしまう恐れもあることをたとえたものです。

「諸刃の剣」の読み方は「もろはのつるぎ」

「諸刃の剣」の読み方は「もろはのつるぎ」です。「もろはのけん」と読み間違えないようにしましょう。「剣」は「つるぎ」とも「けん」とも読みますが、諸刃(両刃)の剣を指すときは「つるぎ」と読みます。

「諸刃の剣」は実在するのか?

密教の法具「独鈷杵」

実在する「諸刃の剣」として密教の「独鈷杵」がある

「諸刃の剣」は、敵を刺したり斬ったりする武器として古代には世界的に使われていました。しかし日本では、剣と呼ばれたものは片刃であり、武器として「諸刃の剣」が使用されることはなかったようです。

平安時代に密教が伝わると、宗教儀式の法具として「金剛杵(こんごうしょ)」が持ち込まれました。その中の一つに、「独鈷杵(どっこしょ)」と呼ばれる、槍状の刃が柄の上下に一つずつ付いた「諸刃の剣」があります。

金剛杵にはバリエーションがあり、槍の部分がフォークのように分かれているものや、中央の刃の周囲に複数の刃がついているものなどがあります。

「諸刃の剣」の使い方と例文

「効果はあるが危険性も高い」ということを警告する時に使う

「諸刃の剣」は、高い効果が得られるものの、危険性も高いということを警告する時に使われます。

例文
  • 科学の発展によって人類は多大な恩恵を得たが、その一方で自らを亡ぼすほどの化学兵器も手に入れてしまった。科学は諸刃の剣だ。
  • 言葉は諸刃の剣だ。世界中の人の心を動かし感動させることもできるが、時に立ち直れないほどに人を傷つける凶器にもなりえる。
  • 効果の高いサプリメントは副作用がある可能性も高いため、諸刃の剣だということを知っておく必要がある。

「利益を得る一方でダメージも覚悟する」という意味で使う

「諸刃の剣」は、ある事柄を行うことによって、高い利益や効果が得られる一方で、相応のダメージを被ることも覚悟しなければならないという意味を端的に表現する時に使われます。

例文
  • 一発勝負で勝敗が決まるスポーツルールは諸刃の剣である。その一瞬に最高のパフォーマンスを出すために選手生命を賭けるからだ。
  • 日本経済を立て直すためには抜本的な構造改革が必要だ。しかしそれは痛みを伴う諸刃の剣である。

「諸刃の剣」の類語とは?

ほぼ同じ意味の「ハイリスクハイリターン」

「ハイリスクハイリターン」とは、投資の一般原則「損失の危険が大きいほど高い利益が期待できる」という意味です。一般的な事柄についても「リスク(危険)が大きいほど得られるリターン(利益)が大きい」ことの例えとして用いられます。

意味としては「諸刃の剣」と同じですが、「諸刃の剣」は「ハイリスク(危険が高い)」というよりも一歩危険度が進んで「自らを傷つける」「損害を負う」可能性が高いというニュアンスで使われます。

長所と短所の両方があるという意味の「一長一短」

「一長一短(いっちょういったん)」とは、「長所もあるが、短所もある」という意味です。「諸刃の剣」も同じ意味を含んで使われることがありますが、その効力に危険が生じる可能性があるという危険性を訴える際には「一長一短」よりも「諸刃の刃」が適切です。

また、一長一短は、失敗をすれば取り返しがつかない状態になるというような状態の変化を表すというより、一つの物事に長所と短所が共存するということを表します。

成果と引き換えに犠牲が生じるという意味の「痛みを伴う」

「諸刃の剣」の例えは、「痛みを伴う」という言い回しが近い意味として挙げられます。デメリットも生じることを覚悟して、ある事柄を実行する時に用いる表現です。

「改革には痛みを伴う」「(心の)成長には痛みを伴う」などと使われますが、「諸刃の剣」のように危険を警告するというより、得られる成果とひきかえに犠牲となるものが生じるという意味合いが強いといえます。

「諸刃の剣」の対義語とは?

形状の反対語としては「片刃の太刀」

「諸刃の剣」の形状についての反対語は「片刃の太刀(かたはのたち)」です。つまり「刀(かたな)」のことです。

日本には刀があったため、中国を通じて伝来した諸刃の剣は、武器として使用が広まることはありませんでした。

意味が反対の言葉としては「ローリスクローリターン」

「役に立つ一方で害を与える危険もある」という意味の「諸刃の剣」と反対の意味の言葉としては「ローリスクローリターン」が挙げられます。

「ローリスクローリターン」とは、ある事柄を実行するために、リスク(危険)も低いが、得られるリターン(利益)も少ない、という意味です。

まとめ

「諸刃の剣」とは、「もろはのつるぎ」と読み、両辺に刃がついた刀剣のことをいいます。相手に大きなダメージを与えることができるが、自分も傷を負う可能性があるという意味のたとえとして使われることわざです。

ある事柄を示したのちに、「〇〇は諸刃の剣である」と断定的に使い、ハイリスクハイリターンであることを端的に表現します。

戦いのための武器としての諸刃の剣は日本では広まらず、密教の宗教儀式の法具として使われるに留まっています。