「掛け率」の意味とは?計算方法と相場・利益率との違いも解説

「掛け率」とは商品の小売価格に対する卸値の割合のことで、小売業などで卸価格の交渉などに携わる場合には必ず見聞きする言葉です。掛け率を自動的に計算してくれるサイトやアプリもありますが、まずその前に掛け率の意味や仕組みを理解しておきましょう。

今回は「掛け率」の意味と計算方法のほかに、利益率との違いも紹介します。

「掛け率」とは?

「掛け率」の意味は”商品の小売価格に対する卸値の割合のこと”

「掛け率」の意味は、“商品の小売価格(こうりかかく)に対する卸値(おろしね)の割合”のことです。

小売価格とは、商品の販売価格のことで、卸値は卸売業者が小売り業者に売り渡すときの値段のことです。

掛け率は、小売価格のうちにどの割合で小売業者が卸業者から商品を買うのかを割合として導き出した数字のことで、そのため○%または〇掛けと表されます。

「掛(け)」とは”その数の割合のこと”

「掛(がけ)」の意味は、“その数字の割合”のことです。6掛ならば6割または60%となります。

本来なら「掛」は漢数字の後に付き、「け」を省略して「がけ」と読めるのですが、掛け率では主に算用数字と送り仮名の「け」を付けて「6掛け」のように表記されます。また掛け率をパーセントで言うよりも、「掛け」を使って言うことの方が多いです。

仕入れ側は「掛け率」を”仕入原価率”と呼ぶ

「掛け率」は、商品を仕入れる側からは「仕入原価率(しいれげんかりつ)」と呼び、卸値は「仕入値」または「仕入原価」と呼ばれます。

掛け率や卸値の言い方が仕入れる側と卸す側の立場によって変わりますが、その金額は同じです。

「掛け率」の計算方法とは?

卸値を求めるなら「小売価格×掛け率」

小売価格に対する掛け率が分かっていて卸値を知りたい時には、次のような計算式を用います。

「卸値」=小売価格×掛け率

例えば、小売価格が1,000円の商品があり、掛け率が50%だったとすると、その卸値は500円になります。

1,000円(小売価格)×0.5(掛け率)=500円(卸値)

この計算式を「掛け」を使って言い換えると、「小売価格1000円の商品の5掛けは、卸値は500円である」となります。

掛け率を求めるなら「小売価格÷卸値×100

小売価格と卸値がわかっていて掛け率を知りたい時には、次のような式が成り立ちます。

「掛け率」=卸値÷小売価格×100

小売価格が1000円で卸値が500円なら、その掛け率は50%、つまり5掛けです。

「掛け率」=500÷1000×100=50

掛け率はエクセルなどのソフトで計算

掛け率の計算は、エクセルなどのソフトを使うと便利です。エクセルでは計算式を一度入力してしまえば、数字を変えるだけで正確に計算される上にデータを保存できます。

エクセルで計算する場合はパーセントでの計算となり、例えば、掛け率6掛けの卸値は、6掛けは60%ですから、小売価格に60%を掛け合わせた金額が卸値になります。

「掛け率」の相場とは?

掛け率の相場に決まりはない

掛け率の相場はありませんが、業界によって大まかの掛け率があります。小売業界の相場は6掛け、アパレル業界では6掛け~7掛け、食品やおもちゃでは7掛け、飲食業界では4掛け~5掛けだと言われています。

しかし小売業界でも、売り上げが変動しやすい季節商品や流行に乗りニーズが増えるときには、掛け率が変動することがあるでしょう。

またメーカーは、人件費や固定費などのコストに加えて、原価コストや生産ラインの違いなども考慮したうえで適正な商品価格を計算するため、商品ごとに掛け率も変わることもあります。

掛け率は交渉次第で変わる

決まった相場がない掛け率は常に変わる可能性があります。

生鮮食品なら収穫高が影響や会社の売り上げ、商品の原価の変化、顧客のニーズの変化、さらに交渉の担当者との付き合いなどが原因で、取引先と交渉をすることで掛け率が変わることがあります。

「掛け率」と「利益率」の違いとは?

「利益率」とは”売上高に対する利益の割合”

「利益率」とは、“売上高に対する利益の割合”のことです。売上高とは、商品やサービスを売った価格の総計なので、小売なら1,000円の商品が1個売れれば売上高は1,000円となります。その売上高に対して、どれくらいの利益を出したのかを割合で示したのが利益率です。

利益率は「利益÷売上高×100」で計算される

利益率はパーセントで表されて、計算式「利益÷売上高×100」で計算されます。ただし利益には、売上総利益(粗利益)、営業利益、経常利益、税引前利益と当期純利益の5種類があり、この利益の種類だけ利益率もあります。

算出される利益率が高い分、利益が高いとと考えられます。

掛け率は値付けに、利益率は利益の計算に使われる

掛け率は値付けのときに利用される割合なのに対して、利益率は売上高に対する利益の割合です。

掛け率は卸値と小売価格から計算されてパーセントよりは「掛け」で表されることが多いですが、利益率は常にパーセントで算出されます。

まとめ

「掛け率」とは商品の小売価格に対する卸値の割合のことで、逆に言えば、卸値と掛け率から小売価格が計算されます。掛け率に決まった相場はないものの、各業界でおおよその掛け率はあります。ただし交渉次第で掛け率は変わりますので、値段交渉の際には掛け率をどれだけにするのかが焦点のひとつになります。

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「難解なワードでもわかりやすく」をモットーに、常識ワードからビジネス用語、時には文化・アート系など、幅広く記事を書かせていただいています。ドイツ在住で2児の母。好きな食べ物はビターチョコレートとナッツ類。