「翻弄」の読み方と意味とは?使い方の例文と言い換えの類語も解説

周囲に振り回されることを表す言葉に「翻弄」があります。人生は十人十色。さまざまな経験をするたび「翻弄」されることもあるでしょう。「翻弄」は普段は無意識のうちに使う言葉ですが、正しい言葉の使い方をしていますか?

今回は「翻弄」の読み方と意味、使い方と例文、言い換えが可能な類語を紹介させていただきます。

「翻弄」とは?

「翻弄」の意味は”思いのままなぶりものにすること”

「翻弄」の意味は、“思いのまま、相手をなぶりものにする”ことです。相手の意思や考えを超越し、思い通りに惑わすこと、また相手を意思を考慮せず思いのまま行動させるという意味があります。

自分の意思が確固たるある中、何か人生を揺さぶる要素が登場した時、人は自分の行動や考えをコントロールできなくなる時があります。「翻弄」は”翻弄される”という受身での形が多く使われますが、それは誰かに意図的に振り回されていることを示しています。

「翻弄」の読み方は”ほんろう”

「翻弄」の読み方は“ほんろう”です。「翻弄」の「翻」は風に乗ってひらひらとすることを意味し、”ひるがえる・ひるがえす”とも読む漢字です。また「翻弄」の「弄」は欲しいままにするという意味があり”ロウ”また”もてあそぶ”とも読むことができます。

この二つの漢字が持つ意味が「翻弄」の意味へとつながっていきます。

「翻弄」は状況的に厄介なこともある

「翻弄」それぞれの漢字が意味するところの”風がひらひらと吹くように、自然と何か(誰か)にもてあそばれている状態”を表す言葉となります。

時として、状況によっては翻弄されている状況を半ば楽しむ人もいますが、多くは戸惑いや苦しみを伴う場合がほとんどです。もちろん、翻弄されることによって生き方や人生が変わってしまうこともあるため、実際は厄介な状況であるとも説明できるでしょう。

意図的に「翻弄」する側は悪い?

「翻弄される」のではなく、意図的に「翻弄する」側はどうでしょうか?他人をもてあそぶように行動や意思さえも動かしてしまうのは、決して良い行いとは言えないでしょう。相手や他人を翻弄しすぎてしまうと、それを受ける側は心底疲れ果ててしまいます。

「翻弄」の使い方と例文とは?

仕事や社会・恋などに「翻弄」されることが多い

「翻弄」を使う状況を見てみると、たとえば仕事や社会生活、また恋愛や自分の子供など、人生を左右する事柄に対して使われることが多いようです。

「翻弄」が持つ”もてあそぶ”からイメージできるように、周囲の環境や事象を原因とし、意識のないまま振り回されてしまうことを表すのが「翻弄」です。自分を取り巻くいくつかの状況で「翻弄される」ことはありますが、加えて、ある時点で「振り回されているかも?」と感じる時に「翻弄された」という表現を使うことができます。

「翻弄」を使った例文

「翻弄」を使った例文をいくつかご紹介しましょう。

  • 魅力的な女性に翻弄されるも、途中までは楽しんでいた自分がいる。
  • 夢のIT企業に就職したが、毎日仕事に翻弄される日が続いている。
  • 子供が出来たあとは、家事と子育てに翻弄されるばかりである。
  • 相手を翻弄することだけに生きがいを感じている彼女だが、いつかしっぺ返しがくるはずだ。
  • 社会に翻弄されるのはまっぴらだ。これからは自分らしい生き方をしていきたい。

「翻弄」と言い換えができる類語とは?

ここでは「翻弄される」という表現と言い換えができる類語表現を紹介します。

類語①「手玉に取られる」は思い通りに動かされる

「手玉に取られる」とは、他人に思い通りに動かされ、コントロールされることを意味します。遊具である手玉をもてあそぶかのように、行動や思考を動かされれることを表す時に使われます。

  • 我が社の意向はすっかりバレている。これではライバルには手玉に取られても仕方がない。
  • 今回は相手を手玉に取って、こっちに有利に動くように取り図ろう。

類語②「掌で踊らされる」は思うがままにされる

「掌で踊らされる」は、範囲の狭い掌でコロコロと踊らされること、つまり相手の思うがままにされることを意味する言葉です。自分でコントロールすることができず、相手の意のままにされる状況を指す時に使われます。

  • 良妻賢母の我妻に、私は掌で踊らされているようだ。
  • 右も左もわからない新入社員は、会社の意向に完全に掌で踊らされているように見える。

類語③「思うツボになる」は期待した通りになる

「思うツボになる」とは、相手が意図した状況になることや期待した通りになることを意味します。もともと「ツボ」とは博打でサイコロを振るツボのことを意味し、結果がたくらんだとおりになることを表す慣用表現として「思うツボになる」が使われるようになりました。

  • ここで欲を張って生産数を増やせば、余剰在庫が出てしまう。これではライバル会社の思うツボだ。
  • 同情を誘うメールを送ったら、デートに誘ってくれた。言葉は悪いが思うツボであった。

まとめ

「翻弄(ほんろう)」は「相手を思いのままに困惑させ、行動させること」という意味を持つ言葉です。何かに翻弄されると「周囲に振り回された」「自分でコントロールができない」というような状況に陥るため、場合によっては生活や人生そのものが変わってしまうこともあります。

仕事や社会生活、恋愛などのように、自分より大きなカテゴリーに、ついつい考えや行動を制限され、縛られてしまうことはあるでしょう。恋愛のように多少の期間で翻弄されることを、ちょっとだけ楽しむことはあるかもしれませんが、やはり基本的には翻弄される生き方は、息苦しいものと言えるのかもしれません。