「試金石」の意味と語源とは?使い方や類語「マイルストーン」も

「試金石」とは、本来は鑑定に用いられる鉱石のことですが、物事を判断する基準という意味の比喩としてビジネスシーンでもしばしば使われる言葉です。類語にはやはり比喩として使われる「マイルストーン」などがありますが、これらを使いこなせていないと感じる人も多いのではないでしょうか。

この記事では、「試金石」の意味や語源、使い方と例文をわかりやすく解説するとともに、類語の意味や使い方、英語表現についても紹介します。

「試金石」の意味と語源とは?

「試金石」の意味は”物事を判断する基準”

「試金石(しきんせき)」の意味は、“物事を判断する基準”です。

「物の価値や真価を判断する基準となる物事」または「それでうまくゆくかどうか(それが本物であるかどうか)見極めるためやってみること」という意味で使われる言葉です。

「試金石」の語源は”貴金属の鑑定に用いる鉱石”のこと

試金石とは本来は、金などの貴金属の品質を鑑定するために用いられる鉱石のことを指します。黒色の緻密な石英の表面に、金属をこすりつけてできた条痕を比較して純度を計測するものです。

転じて、物の価値や人の能力などを判断する基準となる物事のことや、うまくゆくかどうかを見極めるために実験的に行う物事を意味する比喩的な表現として使われるようになりました。

「試金石」の使い方と例文とは?

「価値を判断する基準」としての使い方と例文

物や人の価値を判断する基準の物事という意味で使われる「試金石」の使い方には次のような例文があります。

例文
  • AI(人工知能)の導入は、人間でなくともできる仕事を見極める試金石となっている
  • 世界的な経済危機は各国の主導者の実力があぶり出される試金石である
  • 父の単身赴任は家族の結束を測る試金石となった
  • 彼の業績を定める試金石となる業務命令が下された

「うまくゆくか見極めるための物事」としての使い方と例文

それを実行することが、ある事柄がうまくゆくかどうかを見極めるための物事となるという意味で使われる「試金石」の使い方には、次のような例文があります。

例文
  • アフリカでの感染症対策は、世界的大流行パンデミックの終息にむけた試金石となる
  • ワークライフバランスを向上させるための試金石として時短勤務が導入された
  • 2020年はテレワークが定着するかどうかを占う試金石の年となった
  • 今後の業務拡大を占う試金石として、新しいサービスが投入された

「試金石」の類語とは?

物事の進行の節目を意味する「マイルストーン」

ビジネスにおけるプロジェクトなど、物事の進行の節目を意味するのが「マイルストーン」という言葉です。マイルストーンとは、本来は道路などに置いて距離を示す標識のことで、最終的な到達点に至るまでの途中の距離を表示するものです。石でできていたため、「ストーン」の語があてられています。

転じて、達成するべき目標についての途中の段階でのチェックポイントをマイルストーンと表現します。

うまくゆくかどうか(目標を達成できるかどうか)を測る指標としての意味もあるため、「試金石」と同じ意味で用いられることもあります。

「アメリカへの進出を第1段階として、第2段階のマイルストーン(試金石)がヨーロッパへの展開である」などと使われる時、両者は似たような意味で使われます。

進捗を確認するための目印を意味する「メルクマール」

進捗を確認するための目印や、物事の状況を判断したり、良し悪しを見分けたりする時の指標や基準のことを「メルクマール」と呼びます。「復興のメルクマール(目印)としてのモニュメント」や「今回のデータは感染拡大を阻止できるかどうかのメルクマール(指標)となる」などと用います。

物事の状況を判断するための指標という意味で使われるメルクマールは、試金石と近い意味で用いられることがあります。

日本語の比喩表現の類語では「物差し」や「リトマス試験紙」

「物事を判断する基準」という意味で、比喩を用いた表現としての日本語の類語には、「物差し」「リトマス試験紙」があります。

「試金石」の英語表現とは?

「試金石」は英語で”touchstone”

「試金石」の英語表現は“touchstone”です。日本語の試金石の使い方と同じく、本来の意味とは別に、物事の真価などを試す基準の意味として比喩的に用いられます。

例文
  • この研究論文は彼の能力を試す試金石である。
    This research paper is the touchstone of his ability.

まとめ

「試金石」とは、貴金属の鑑定に用いる鉱石のことですが、転じて「物事を判断する基準」という意味で比喩的に使われている表現です。ビジネス系の記事などでも用いられることが多く、企業などが新たな事業を開始する時などに、「業績拡大を占う試金石となる」などと用いられます。

「マイルストーン」は、物事の進行の節目を意味する言葉ですが、目標を達成できるかどうかを測る指標となる事柄を指すこともあるため、物事を判断する基準の意味の「試金石」と同じ意味合いで使われることもあります。

「試金石(touchstone)」と「マイルストーン(milestone)」は、どちらも「石(stone)」が語源となった言葉で、また比喩的に使われるということでも共通しています。