「終焉」の意味とは?使い方の例文と類語・英語表現も紹介

「終焉」とは、本来は命あるものの死を意味しますが、歴史的な出来事の消滅や、物事の活動の停止を比喩的に表現する言葉としても使われます。読んだり聞いたりしたことがあっても、自分では使いこなせていないと感じる人が多い言葉かもしれません。

この記事では、「終焉」の意味と使い方や例文をわかりやすく解説します。あわせて、物事の終わりを意味する類語についても紹介します。

「終焉」とは?

「終焉」の意味は”生命が終わること”

「終焉(しゅうえん)」の意味は、“生命が終わること”です。著名人の伝記や文学などで、その人や登場人物などが亡くなった場所のことを「終焉の地」と表現したり、亡くなったことを「終焉を迎えた」などと表します。

「活動や状況が終わること」の比喩にも使われる

「終焉」は、実際に人の命が尽きることを表現するほかに、生命が終わることを比喩として、なんらかの活動や状況が「終わる」ことを表現する用い方もあります。

「資本主義社会の終焉」や「グローバリズムの終焉」などと、物事の最期や末期を表現します。

「焉(えん)」とは”ここに”の意味を添える漢文の助字

「終焉」の「焉(えん)」とは、漢文の助字で、句末に置いて”ここに”の意を添え、語調を整える語です。断定の意を表す語でもあります。

そのことから「終焉」とは、”終わり”の状態を断定的に伝えるために、「焉」の語を添えた漢語的表現です。

「終焉」の使い方と例文とは?

そこで死のうと選んで死んだ地を「終焉の地」という

よく使われる言い回しに「終焉の地」があります。字義通り、その人が死んだ地を表しますが、狭義では、その人がそこで死のうと考え、選んで死んだ地のことを指します。

著名人の伝記などで「彼の終焉の地となった〇〇」などと亡くなった土地を示すのに使われますが、”その人が人生を終える地をそこに選んだ”という意味が含まれて使われていることがあります。

「人生の終焉」という意味での使い方

比喩的な意味ではなく、人が死を迎えたことを表現する意味での「終焉」には、次のような使い方の例文が挙げられます。

例文
  • 作家は、人生の終焉を前にして渾身の作品を書き上げた
  • 苦しみののちに、彼女にも人生の終焉が訪れた
  • 画家は生まれ故郷を終焉の地に選んだ
  • 遠からず人生の終焉が訪れることをにらんで終活を始めた

「ものごとの終わり」というニュアンスでの使い方

命が終わる死になぞらえて、ある出来事が終わるという意味での使い方には、次のような使い方の例文が挙げられます。

例文
  • 一億総中流社会を生み出した終身雇用が終焉したことで日本は貧困化していった
  • 世界的パンデミックは、長らく続いたアメリカの景気拡大を終焉させた
  • 加速度的に進む気候変動により、世界の終焉がささやかれ始めている
  • バブル終焉と同時に、有効求人倍率は一気に下落した

「終焉」の類語とは?

「死ぬ」という意味での類語は”永眠”や”逝去”

命あるものが死ぬという意味での類語には「永眠(えいみん)」があります。直接的に死ということを示さず、人生を終え、長い眠りについた、という婉曲的な死の表現です。

終焉は「人生が終わった」という終わりに目を向けた表現ですが、「永眠」は人生を終えてその魂が眠りについたという魂の次の過程に目を向けた表現だといえます。

「死」の婉曲的な表現には「逝去(せいきょ)」もあります。「逝去」とは”死ぬ”の敬語です。「終焉」は死の文学的表現ですが、敬う気持ちで実際的な死の通達を行う際には「逝去」が使われます。

「物事の終わり」の類語は”最期”や”終結”

物事の終わりを意味する類語には「最期(さいご)」があります。例えば「革命は悲劇的な終焉を迎えた」は、”革命は悲劇的な最期を迎えた”とも言い表すことができます。

同じような使い方として、「革命は悲劇的な終結を迎えた」という表現もあります。「終結」とは、物事が終わりになることという意味です。物事が終結することを「終局」とも言います。

「崩れて終わった」という意味での類語は”崩壊”

物事が崩れて終わったという意味の表現には「崩壊(ほうかい)」があります。行き過ぎた経済や相場の活況を指す「バブル」の終結は、”バブルが終焉した”と表現されることもありますが、「バブルが崩壊した」と表現する方がその本質をよく表わしています。

「終焉」の英語表現とは?

「終焉」は英語で”demise”や”the end”

「終焉」と同じく、死去の意味や、ある物事の消滅や活動停止を意味する英語表現に“demise”“the end”があります。

「demise」は”死(death)”の婉曲表現として文学などで用いたり、体制などの崩壊や消滅を表す言葉として用います。「demise of capitalism」は”資本主義の終焉(崩壊)”という意味です。

もう少し直接的な終わりの表現としては「the end」を用います。「The end of the world」は”世界の終わり(終焉)”という意味です。

まとめ

「終焉」とは、「死」の婉曲的な表現です。文学や伝記などで、人の死を情緒的に表現するときに使われます。命の終わりの意味の他に、比喩的な用い方で何らかの活動や物事の終わりを表現する時にも「終焉」は用いられます。

特に歴史上の出来事の終わりを表現する時に、「終焉を迎えた」「それは終焉の始まりだった」などと使われます。さまざまな経緯を経て、ついに物事が終わったという「終局」と同じ意味合いで使われていますが、格調高い表現として「終焉」が用いられる傾向があります。