栄養価や食品のバランスを考えた食事ではなく、気分が刺激されるような味覚を持つものを「嗜好品」と呼びますが、どのような由来から生まれた言葉なのでしょうか?
今回は「嗜好品」の意味と語源、嗜好品の定義と例、類語、英語表現について解説させていただきます。健康管理と併せて嗜好品の例も確認しましょう。
「嗜好品」の意味と語源とは?
「嗜好品」の意味は”高揚感を楽しむ飲食物”
「嗜好品」の意味は、“高揚感を楽しむ飲食物”です。「嗜好品」は栄養価や栄養のバランスを考えたものではなく、自分が心から楽しみ、味覚や嗅覚を刺激する飲食物となります。
「嗜好品」は”嗜好”と”品”の二つの言葉が組み合わさった言葉で、「嗜好」はたしなみ、好むという意味があります。体には良くはないかもしれないが、気分が高まり気持ちが楽しくなるような飲食物を「嗜好品」という言葉で表現します。
「嗜好品」の語源は森鴎外の”藤棚”
「嗜好品」は森鴎外が執筆した短編小説”藤棚”での一表現が語源となっています。「藤棚」は1912年に発刊された”太陽”という雑誌に掲載された短編小説で、この中に「嗜好品」は人生で必要なものであるが、場合によっては毒にもなり得ると書いています。これが「嗜好品」という表現のスタートとなります。
「嗜好品」を具体的に説明すると?
「嗜好品」はないと口寂しい飲食物など
「嗜好品」の定義は広きに渡りますが、基本的な「嗜好品」の定義は次の通りです。
- 生命維持、また栄養やエネルギー源としては期待できない
- ないと口寂しい気がする
- 気分や精神が高揚する(向精神薬作用がある)
- 植物素材が多く使われている
「嗜好品」はタバコも含まれる
「嗜好品」に含まれる食品はスナック菓子をはじめ、一般的な菓子類、仁丹、チョコレート、コーヒー、紅茶、ココア、炭酸飲料水などがあります。また「嗜好品」はタバコや葉巻、ハッカパイプ、また酒やビールなどのアルコール飲料も含まれます。
また「嗜好品」はチョコレートやスナック菓子のように味や香りによる効果で心理的にも習慣性を持つものと、タバコやアルコールのように薬学的に依存してしまうものの、2種類があります。
ちなみに、タバコは世界のほとんどの国で流通され、ココアは世界で3億の人々に愛飲されています。またコーヒーも世界人口の3分の1、紅茶や日本茶などの茶類は世界人口の半数に愛飲されているそうです。生体の維持には直接関係はないものの、これだけの人々に選ばれる「嗜好品」の存在は甚大だと言えるでしょう。
「嗜好品」の類語とは?
「嗜好品」の類語は”贅沢品”
「嗜好品」の正式な類語はありません。しかし、「嗜好品」が普通の飲食品ではなく、自分の好みで食べたり飲んだりするという観点から見ると、文脈によっては“贅沢品(ぜいたくひん)”という言葉が類語として考えられます。
- 私はタバコやワインが大好きだ。しかし普段の生活で必須なものではないため、贅沢品とも言えるだろう
- 食べ物に関する贅沢品は、カロリーが高かったり、栄養のバランスを考えていない場合が多い。
「嗜好品」の英語表現とは?
「嗜好品」は英語で”articles of taste”
「嗜好品」を英語で表すと“articles of taste”となります。「article of taste」は生活をするための必需品ではなく、純粋に個人の好みで楽しむもの、味わうものという意味になります。
また、「嗜好品」を普段の生活には必要ない贅沢な飲食物という意味で考えるなら”luxury goods”や”luxury food”と意訳しても良いでしょう。国によってはアルコール類やタバコに「luxuary tax(贅沢税)」を課しているところもあるほどです。
「嗜好品」を使った英語例文
「嗜好品」を使った英語例文をご紹介しましょう。
- I have a tendency to rely on such an articles of taste for long time.
私はかねてから嗜好品ばかりに頼る癖がある。 - You better only have luxury goods such as chocolate and coffee as less as possible.
チョコレートやコーヒーなどの嗜好品はできるだけ控えるようにした方が良い。
まとめ
「嗜好品」は森鴎外の「藤棚」という短編小説が由来の、比較的新しい言葉です。「嗜好」が意味するように、「嗜好品」とは、個人がたしなみ、好んで摂取する飲食物を指し、コーヒー、アルコール類をはじめ、スナック菓子、ココア、タバコ、炭酸飲料などを含めた「生命維持やエネルギー源が期待できない飲食物」を表します。
「嗜好品」はデメリットの塊のような響きがありますが、実際は人々の精神や身体を刺激する効果があるため、気分を高めたり、幸福感を得ることができる点はメリットとも言えるでしょう。もちろん「嗜好品」の過剰摂取はおすすめできませんが、ストレス社会に生きる私たちにとってはある程度欠かせないものなのかもしれません。