「旦那」の意味と語源!下品な呼び方?「主人」「夫」との違いも

「旦那(だんな)」とは、夫に対する敬称です。元々の意味では敬意のある言葉でしたが、「下品な言葉なので嫌い」と思う人もいるようです。そのため、自分の夫を呼ぶときには問題なくとも、他人の夫を指すときには別の表現に言い換えたり、「旦那様」と丁寧に言う必要があります。

今回は「旦那」の2つの意味や語源、「主人」「夫」との違い、呼び方の注意点をご説明します。

「旦那」の意味と語源とは?

「旦那」の意味は「夫」や「男の雇用主・顧客」の軽い敬称

「旦那(だんな)」は、「夫」や「男性の雇用主・顧客」に対する敬称です。ただし、現代では「夫」以外の意味で使われることは少ないでしょう。

敬称ではありますが、現代では敬う度合いが低いカジュアルな呼称だとされています。特に自分の夫の説明に使う場合は、ぞんざいな呼び方に感じる人が多いようです。「旦那様」と様付けにすることで、丁寧な印象にすることが可能です。

「旦那」の語源は仏教用語の「お布施」

「旦那」は「お布施」と訳されるサンスクリット語「ダーナ」が語源だと言われています。元々のダーナの意味は「与える」「施す」です。

当初は、お布施をする檀家を表す言葉として僧侶が使っていたそうです。その後、生活の面倒を見るパトロンという意味で一般的に使われるようになり、そこから「雇用主や顧客」「夫」を意味する言葉に変わっていきました。

「旦那」の使い方と例文

「旦那」は「自分の夫」を呼ぶときに使う

「旦那」は自分の夫を呼ぶ際に使用されるのが一般的です。元々の意味と違い丁寧な敬称だと思われないため、かしこまった場で使うことは避けた方がよいでしょう。また、他人の夫にはあまり使われません。

例文
  • 「ちょっと高いけど、誕生日くらいは旦那の大好きなワインを買おうと思って」
  • 「うちの旦那が、早くこたつをしまえってしつこいの」

「旦那様」は「他人の夫」を丁寧に呼ぶ表現

他人の夫を呼ぶ場合は「旦那様」と「様」を付けて使用します。丁寧で敬意を表す言葉になるため、目上の人と話すときや、ビジネス上のやりとりでも見られる表現です。

例文
  • 「旦那様にも、よろしくお伝えください」
  • 「旦那様はご在宅でしょうか?」
  • 「こちらに旦那様のご署名と捺印をお願いいたします」

ただし、丁寧に「旦那様」としても、悪い印象を受け取る人もいます。詳細や言い換え方については後程ご説明します。

男性の雇用主や顧客としての「旦那」の使い方

男性の雇用主や顧客、目上の人などにも「旦那」「旦那様」が使われます。

例文
  • 「今度の派遣先の旦那様は、とても厳格な方だった」
  • 「旦那様、お食事の時間でございます」

執事など、身近に感じる人が少ない職業の人が使う表現のため、違和感を覚える人もいるようです。特に若い人の中には、時代劇やドラマのようなフィクション作品の表現だと感じる人もいます。

「旦那」と「主人」「夫」の違いは?

「主人」は「旦那」とほぼ同じ意味、雇用主の意味なら女性にも使える

「主人」は「旦那」とほぼ同じ意味で、類語として使えます。「主人」にも「夫」「雇用主」の意味があり、「ご主人様」とすることでさらに丁寧な敬称になります。「旦那」との違いは「雇用主」の意味なら女性に使うことが可能だという点です。(強調するために「女主人」と表現する場合もあります)

また、「主人」はビジネスシーンでもプライベートでも使える表現です。

例文
  • 「優しいご主人ですね、羨ましいです」
  • 「うちの主人はいつも早く帰ってくるから、浮気を心配しなくていいわ」

「夫」は主従関係のない表現、「妻」の対義語でもある

もうひとつ、「旦那」の言い換えで「夫」があります。「夫」は「妻」の対義語で、対等な表現になります。「旦那」では主従関係があるようで気になる、という人は「夫」に言い換えるとよいでしょう。

言い換え例
  • 「旦那の保険について確認したいことがあるのですが……」

→「夫の保険について確認したいことがあるのですが……」

少し意味は変わりますが「亭主」も「夫」の類語です。「亭主」は「その家の主人」「宿屋などの店主」という意味があります。「旦那」と同じく、現在ではカジュアルな呼称だとみなされています。

自分や相手の夫を「旦那」と呼ぶ際の注意点

「旦那」は下品でぞんざいな呼び方のイメージがある

自分の夫を「旦那」と呼ぶ人を見ると、下品に思う女性が多いようです。「響きが荒っぽいので、夫を雑に扱っているように感じる」「浮気などの愚痴を聞かされている気分になる」という意見が見られます。

「旦那」は本来は敬称ですので、こういった感想はふさわしくありません。しかし、現代ではカジュアルなイメージが強くなったので、ぞんざいな呼び方に感じる人が増えているのかもしれません。心配な人は「主人」などの類語に言い換えてみてください。

「旦那」には主従関係があるイメージがある

相手の夫を「旦那さん」「旦那様」と呼ぶ際も注意が必要です。「旦那」には雇用主などの意味もあるため「夫婦は主従関係ではない」と不快に思う人もいます。日常に根付いた表現ではあるのですが、男女平等の考えから避けてほしい人も増えているようです。

残念ながら、類語の「ご主人」も主従関係の意味合いがあるため、無難に言い換えられる言葉はまだありません。「パートナー」「夫さん」など新しい表現が生まれてきていますが、広く定着しているとは言えない状況です。夫の名前や肩書が分かるならば、そちらで呼ぶのが良いかもしれません。

まとめ

「旦那」は主に「夫」の呼び方として日常的に使われてきました。しかし、人々の意識の変化に伴い無難に使える言葉ではなくなりつつあります。特に「相手の夫を丁寧に呼びたいとき」は無難な言い換え語がないため注意が必要です。相手との関係を考慮して、慎重に言葉を選びましょう。