もの好きである人を指す言葉に「好事家」という表現があります。読み方はもとより、正しい意味や使い方を把握している人は少ないのではないでしょうか?
ここでは「好事家」の読み方と意味、使い方の注意点と例文、類語と英語についてまとめています。この機会に文学的な響きのある「好事家」について理解を深めましょう。
「好事家」の意味と読み方・語源とは?
「好事家」の意味は”風流好きな人・もの好きな人”
「好事家」の意味は“風流好きな人・物好きな人”のことです。普通の人が興味を示さないようなものに対し関心を持ち、好んで追及したり、研究したりする人のことを指します。つまり、「好事家」は一般的に風変りとされるものや、時代遅れであるものに対して、好奇心を抱き深く気持ちを注ぐような人のことを意味します。
「好事家」の読み方は”こうずか”
「好事家」の読み方は、“こうずか”です。読み方において間違えやすい言葉の一つだと言われています。
「好事家」の誤読の例としては”こうじか・こうじや”が挙げられますが、このように誤った読み方をしてしまうと相手が困惑してしまうことがあります。ぜひ「こうずか」と正しい読み方をするように気をつけて下さい。
「好事家」の語源は中国語の”好事”
「好事家」の語源は、中国語で”もの好き”を意味する「好事」だとされています。「好事家」の”家”には人を表す意味があり、加えて「建築家」や「読書家」のように、あるものごとに対し献身従事する者という意味もあわせ持っています。この二つの言葉が組み合わさり、”もの好きな人”という意味で「好事家」という表現が生まれたと言われています。
「好事家」を使う際の注意点と例文とは?
「好事家」を使う時は受け手の感覚に気を付けて
「好事家」は状況や相手によって良い意味でも悪い意味でも解釈されてしまう言葉です。たとえば、研究熱心で、一つのことに集中している人を褒める意図で「好事家」を使うこともあれば、風変りで好きものというに嫌味を含んだネガティブなニュアンスで使うこともあります。
逆を言えば、話し手の意図とは関係なく、受け取り手の解釈の仕方によって、良くも悪くも意味合いが変わってくるということです。そのため、「好事家」を使う時は、相手や相手の物事に対する受け止め方、またものごとへの感覚意識、そして状況などを踏まえることを忘れないようにして下さい。
「好事家」を使った例文
「好事家」を使った例文をいくつかご紹介しましょう。
- 私はコーヒーだけに対してあくまでオーガニックにこだわる好事家である。
- 時代遅れでダサいファッションをあえて好む彼は、好事家意外の何者でもない。
- 好事家と呼んでくれ。アイドルの追っかけは子供を持つ私でも続けるつもりだ。
- ワインのコルクを集めて20年。自称好事家の兄は風変りな趣味を誇りに思っている。
- 好事家とは他の楽曲には目もくれず、70年代のフォークソングだけを聞く母のことだ。
「好事家」の類語とは?
類語①「変わり種」は違った種類や人のこと
「変わり種」とは普通のものごとや一般的な人とは違う種類のことを意味します。同じ集団の中で、他とは異なる人、特殊な人のことを指す時に使われます。言い換えれば「変わり者」のことです。
- 大盛り上がりの忘年会で、一人つまみを食べ続けるAさんは変わり種と言える。
- 彼は変わり種というより、人とは違った趣味に没頭する傾向が強いだけだ。
類語②「マニア」はマニアックな人のこと
「マニア」とは英語の”maniac(マニアック)”のことで、熱狂的な愛好家という意味を持ちます。「マニア」とは一般的に風変りなものを好み没頭する人を表すため、「好事家」に極めて近い類語も言えるでしょう。
- 鉄道マニアといってもレベルが違う。なんと家中に線路が張り巡らされている。
- すっぱいものを極めて好む、私はサワーマニアである。
「ディレッタント」はイタリア語・英語で「好事家」のこと
類語というよりは同義語として挙げられるのが「好事家」のイタリア語「ディレッタント(dilettante)」です。とくに、芸術や学問において上辺だけの知識を持つ風変りな人のことを指します。「ディレッタント」は英語としても、またカタカナ語としても使われる表現となります。
- 意味もわからず抽象画だけを集めている私は、まさにディレッタントだ。
- ディレッタントとして、変わった趣味の域に相当のお金をかけている。
まとめ
「好事家」は「こうずか」と読み、「もの好き」や「風流なものを好む人」という意味で使われています。語源は中国でもの好きを意味する「好事」からだと言われ、中国語がそのまま日本語として形成された言葉となります。
「好事家」を使う時に注意点は、褒め言葉にもなれば、相手を子馬鹿にしたような皮肉めいた響きにも変わり得るという点です。「好事家」は風変りなものを好む人、もの好き、という意味もあわせ持つため、使う相手や状況には気を付けるようにしましょう。