「同一労働同一賃金」の意味とは?ガイドラインをわかりやすく解説

「同一労働同一賃金」とは、同じ労働に対して同額の賃金を支払うという原則を表した言葉ですが、現状では労働者間での賃金格差があり、働き改革の一環で改めてクローズアップされました。

今回は「同一労働同一賃金」の意味と、20204月から施行される「同一労働同一賃金」のガイドラインを紹介します。

「同一労働同一賃金」の意味

「同一労働同一賃金」とは「同じ労働に対して賃金は同じという原則」

「同一労働同一賃金」とは、同じ労働に対して、性別や人種、年齢などの差別がなく、同じ賃金が支払われるべきだとする原則という意味です

日本では第二次世界大戦後、憲法141項において性別や身分で経済的差別だけでなく政治的差別の禁止を定めていて、労働基準法においては3条で国籍や心情、社会的身分を理由にして賃金や労働時間を含める労働条件について差別的な扱いをしてはならないことを定めています。また労働法4条では、賃金について女性に対して差別的な扱いをしてはならないことも明らかにしています。

しかし現実的には、男女間に限らず、年齢や人種の違いにおける賃金格差は根強く残っています。

「同一労働同一賃金」は産業革命に始まる

「同一労働同一賃金」は、イギリスの18世紀後半に始まった産業革命で女性や児童が働くようになり、特に女性労働者の低賃金に反対する運動で求められたのが始まりです。この性別での賃金格差の問題が、年齢や人種の違いによる労働基準での差別運動として発展していきました。

労働者階級から始まったこの「同一労働同一賃金」の要求が国際的にも議論されるようになり、1919年に国際労働憲章、1951年にはILO(国際労働機関)第100号条約において「同一労働同一賃金」が規定されました。

2020年施行「同一労働同一賃金」とは?いつから始まるのか?

「同一労働同一賃金」は雇用形態に関わらず同一賃金を支払うこと

働き方改革の一環で導入される「同一労働同一賃金」とは、正規雇用のフルタイムの労働者と派遣やパートタイムなどの非正規雇用労働者が、同じ企業や団体での同内容での労働で待遇面の不合理をなくすため、賃金も同一額を支給するという考え方です。

正社員と非正社員の間に合った不条理な格差を解消するために、政府が働き方改革のひとつとして提示しました。

「働き方改革」で柔軟で多様な労働環境を目指す

「働き方改革」とは働き方改革関連法に基づき、柔軟で多様な働きを実現するための取り組みで、20168月に第3次安倍内閣によって提言されました。労働者の視点に立ち、これまでの企業文化や風土を変えることを目指します。

具体的には、非正規雇用労働者の待遇改善や、長時間労働の是正、性別や年齢に関係なく働きやすい環境を整備することが挙げられます。

「同一労働同一賃金」は20204月スタート

「同一労働同一賃金制度」は、大企業で20204月から、中小企業では20214月から始まります。

この場合の中小企業とは、厚生労働省によると、業種別に定められた資本金や出資金の総額と常時働く労働者の数によって中小企業だと分類されます。例えば小売業なら、出資金は5,000万円以下または常に働く労働者数は50人以下だと中小企業だとみなされます。出資金と労働者の数のどちらかの条件が当てはまれば、中小企業となります。

「同一労働同一賃金」のガイドラインは?

ここでは、20204月から始まる「同一労働同一賃金」の概要を見ていきます。

基本給は同じ労働内容なら同一賃金が支給される

同じ労働内容だと判断されたら、正社員と非正社員が同額の基本給が支払われます。正社員と非正社員の能力や経験、業績や成果、勤続年数など、あらゆる角度から客観的で具体的に労働内容を比較します。労働の実態として違いがなければ、非正社員にも正社員と同額の基本給が支払われます。

昇給についても正規社員と同じ基準で判断して正社員と変わらないのであれば、非正規社員にも昇給があります。

賞与・各種手当・退職金も支給される

非正社員が正社員と同様の会社への貢献が認められたのなら、賞与(ボーナス)も支給されなくてはなりません。役職手当や特殊作業手当、特殊勤務手当や精皆勤手当、食事手当などの各種手当も、正社員と同額で支給されます。

また退職金も例外ではなく支給されます。

福利厚生や教育訓練も同様に実施される

食堂や休憩室、更衣室などの福利厚生施設の使用や、慶弔休暇や健康診断のための勤務免除などの福利厚生、病気休職や有休休暇などの処遇でも正社員と非正社員の間で違いはありません。

また教育訓練も職務遂行のために必要ならば、非正社員も正社員と同じように実施されます。

「同一労働同一賃金」に違反すると罰則はあるのか

違反をしても罰則はない

「同一労働同一賃金」が定めた待遇を企業が非正社員に行わなかったとしても、企業に対する罰則はありません。罰則はありませんが、同一労働同一賃金に反しているとして労働者が不満を持った場合には、損害賠償請求を起こされることが考えられます。

もしも訴訟になると、労働契約法20条で定める正社員と非正社員、または派遣先の通常の労働者と派遣労働者との間で不合理だと認められる待遇の禁止が定められていて、それに反することになるので企業側が負ける可能性が高く、企業が損害を受けることが予想されます。

まとめ

「同一労働同一賃金」とは性別、年齢、人種に関わらず賃金において不条理な待遇があってはならないという考え方です。日本では正社員と非正社員との間の待遇条件の格差をなくすために、「同一労働同一賃金」が20204月から大企業で施行されます。