「御の字」の意味や由来は?誤用の注意点や類語もわかりやすく解説

そこそこである、まあまあであるという意味で「御の字」という言葉を使うことがあります。だいたい納得できる、悪くはないというニュアンスで用いられることが多いですが、言葉の由来を含め正しい意味をご存知でしょうか?

ここでは「御の字」の意味と由来、使い方の注意点と例文、また言い換えができる類語表現とあわせて解説していきたいと思います。

「御の字」とは?

「御の字」の意味は”最上のもの・ありがたいこと”

「御の字」の意味は“最上のもの・ありがたいこと”です。「御の字」は非常に結構であること、十分に満足していることを意味します。また、大変ありがたく感謝したい気持ち、またしめたという思いを表す言葉でもあります。つまり「御の字」はものごとへの願いや希望が叶い、最高なものとなったと心が満足する様子を指しています。

「御の字」の由来は”尊敬の意・御”

「御の字」は”御の字”の「御」が持つ言葉の意味が由来となっています。「御」には相手を尊敬する意味がありますが、そもそも「御の字」は江戸時代の遊里言葉の一つで、遊女が”カネを払ってくれて、自分を大事に扱ってくれる客”という意味で使っていた隠語です。

転じて、「御の字」は非常にありがたいもの、感謝したい心境という意味で使われるようになり、現代へと受け継がれていきました。これが「御の字」の由来となります。

「御の字」は誤用の多い言葉

「御の字」は誤用の多い言葉の一つです。一般的に使われる意味は「まあまあ」「悪くはない」、また「だいたい納得できる範囲である」「良くもないが、まあ悪くもない」などのようになりますが、これらは本来の意味に沿う使い方ではありません。

このように「御の字」を妥協の意図を込めて「とりあえずOK」「そこそこ納得できる」という意味で使ってしまうのは非常に多い例です。この機会に正しい意味を確認し、適切な使い方をするようにしましょう。

「御の字」の使い方の注意点と例文とは?

「御の字」の誤用に気を付ける

「御の字」は非常に誤用の多い言葉であることを前述させていただきました。「御の字」の使い方の注意点は、「まあまあ、そこそこ・一応納納得できる・だいたい満足である」というように、妥協の意で使わないようにするということにつきます。

実際にも「御の字」を”そう悪くはない”という意味で使われることが多く、受け手もそのように理解してしまう傾向が非常に高いのが現状です。しかしながら、やはり「最高のもの(こと)・非常に満足」という正しい意味で使うように心がけることが大切です。

「御の字」を使った例文

「御の字」を使った例文をいくつかご紹介しましょう。

  • 予想を上回る来客数を記録し、社長も社員も御の字の様子である。
  • 親として御の字であるのは、喧嘩ばかりしていた娘夫婦が手をつないで歩いていることだ。
  • お気に入りのブランドのジャケットを半額で手に入れた。本当に御の字だよ。
  • 大学入試が終わりストレスから開放された息子を見て、心底御の字だと感じた。
  • 部下の成果に御の字であるにも関わらず、部長は笑顔一つ見せない。
  • バリバリのキャリアウーマン一ンで生きてきた娘がやっと結婚。御の字、御の字。

「御の字」の類語とは?

「万々歳」は非常にめでたいこと

「万々歳(ばんばんざい)」とは、非常にめでたいことや大変望ましいことを意味する言葉です。「万歳」を繰り返し綴った熟語で、嬉しさや喜びの感情を最大限に表す時に使われます。表記については「万万歳」とも書くこともあります。

例文
  • 今月の売り上げが先月の3倍を記録し、社員一同、まさに万々歳といったところである。
  • 万々歳と喜ぶのはまだ早い。今日は市場の勝ち組でも、明日には負け組に転落するかもしれないからだ。

「喜ばしい」は嬉しく感じること

「喜ばしい」は日常でもよく使われるため、馴染みのある表現でしょう。意味は嬉しく感じること、心から感謝することとなります。

例文
  • 喜ばしいことに、父は今年100歳を迎えることになった。
  • 地元のサッカーチームが10年ぶりに優勝した。これは喜ばしいことである。

「快哉」は胸がすくこと

「快哉(かいさい)」」とは、胸がすっとして気持ちがいいこと、愉快だと思うこと、を意味する言葉です。「御の字」が表す喜ばしい気持ちと近い意味を持ちます。

例文
  • 第一希望の会社に就職できた。まさに気分は快哉である。
  • 快哉を叫ぶように、心から両親への感謝の気持ちを手紙にした。

まとめ

「御の字(おんのじ)」とは「最高のもの、こと」「非常に満足であること」「喜ばしく有難い心境」を意味する言葉です。「御の字」はとても誤用が多く、おおむね「まあまあ、そこそこ」「一応納得できる」「そう悪くはない」といった、曖昧な妥協の意を示す意図で使われてしまうことがあります。これは本来の意味から外れる使い方となりますので注意して下さい。

「御」が示すように、感謝の念を示し、ありがたく喜ばしい心境を表すのが「御の字」です。無意識のうちに誤用してしまいがちですが、使い方においてはこの点に注意し、正しい意味で文章に用いるようにして下さい。