「間隙」の4つの意味と読み方は?使い方の例文と類語・英語も解説

「間隙」という言葉を知っていますか?「間」と「隙」という字で構成される熟語であるため「隙間(すきま)」に近いニュアンスであるとは想像はできますが、正しい意味や使い方が分からないという人も多いと思います。

ここでは「間隙」の4つの意味と読み方、隙間との違い、使い方の例文、類語表現、英語フレーズについてまとめています。

「間隙」の4つの意味と読み方とは?

「間隙」の意味①物と物との間

「間隙」の意味は、“物と物との間”です。ものや人など、目に見えるものの間という意味で使われます。たとえば、「人並の間隙を進む」や「橋の間隙に落ちる」などのように使います。

「間隙」の意味②時間的な隙間

「間隙」の意味は、“時間的な隙間”です。たとえば、職場ならランチタイムでの暇な時間、電車の到着時刻と発車時刻の間など、時間的な観点での少しのギャップや間隔を表す時に「間隙」が使われます。

「間隙」の意味③気のゆるみ・油断すること

「間隙」の意味は、“気のゆるみ・油断すること”です。気持ち的にたるんだ瞬間や思わず気を抜いてしまうことを表す時に使われます。たとえば、「仕事中に間隙を突かれた」なら”仕事中に油断し意表を突かれた”という意味になります。

「間隙」の意味④人間関係での隔たり

「間隙」の意味は、“人間関係の隔たり・不和”です。たとえば、家族関係なら父親との隔たり、ビジネスシーンならクライアントや担当者との隔たりなど、人間関係において距離が生じ、親密ではない状態を表す時に使われます。

「間隙」の読み方は”かんげき”

「間隙」の読み方は“かんげき”です。読み方においては「隙」の部分でつまづいてしまいそうですが、「かんすき・ますき」などと誤読してしまわないように気を付けて下さい。

「間隙」と「隙間」の違いは物理的か抽象的か?

「間隙」に似た言葉に「隙間」があります。漢字をひっくり返しただけで、意味はほとんど同じだと認識しがちですが、実際は微妙ながらも相違点があります。「間隙」は物理的なことはもちろん、時間や人間関係など抽象的な概念に対して使われますが、「隙間」の場合は物理的な切れ目や隔たりを中心に表す言葉となります。

また、「間隙」は日常生活で頻繁に使う「隙間」とは異なり、小説や専門書などに出てくるような、いわゆる難しい表現の一つです。使用頻度においても「間隙」と「隙間」では異なるということになります。

「間隙」の使い方と例文とは?

「間隙」は日常的にあまり使われない

前述しましたように、「間隙」はやや堅苦しい表現となるため、普段の生活で使うことはあまりないかもしれません。「間隙」より親しみがあり、馴染みの深い言葉に「隙間」という言葉があるため、ほとんどの場合で「隙間」を代用することが多いと言えます。

もちろん、社交的な場所やビジネスシーンなど、堅苦しい表現が好まれる場面では「間隙」を使うのも良いでしょう。知的な会話を演出することができるため、相手にも好印象を与えることもできます。

「間隙」を使った例文

「間隙」を使った例文をいくつかご紹介しましょう。

  • ラグビーの試合ではディフェンスの間隙を突いてトライを決めた。
  • 間隙を縫うようにして、人気グループのコンサート会場に入った。
  • 昼休みの間隙を使って、故郷の両親に電話を入れた。
  • 仕事が終わってデートの約束まで2時間の間隙がある。
  • 同僚との間隙を修復するために、何回か飲みに誘った。
  • 義理の父とは心の間隙が埋まらないまま、数年が過ぎた。
  • グループ内で間隙が生じると、どうしても良い成果が期待できない。

「間隙」の類語とは?

類語①「空隙」は隙間のこと

「空隙(くうげき)」とは隙間のことで、「間隙」とは同意語となります。物理的にものとものとの間を表したり、人間関係の溝や不和を表す時に使われます。

例文
  • 息子との心の空隙を埋めることに専念した。
  • ご近所との空隙を縮めるために、町内会の行事に積極的に参加するようにした。

類語②「透目」は隙間のこと

「隙目(すきめ)」も「空隙」と同様、隙間のことを意味します。「間隙」とも極めて近い意味で使われます。

例文
  • 大喧嘩をした後、母と父の隙目を縫って家を出て行った。
  • 前雇用主との隙目を埋めるべく、転職後もメールで連絡を取り合うようにした。

「間隙」の英語表現とは?

「間隙」は英語で”gap”や”distance”など

「間隙」を英語で表現する時は、「gap」「distance」「difference」などを使います。物理的な隙間や間を表す時は「gap」、人間関係での隔たりを表す時は主に「distance」「discord」「disagreement」などの単語を使うのが適切です。

「間隙」を使った英語例文

「間隙」を使った英語例文をご紹介しましょう。

  • I  fill the gap between the fridge and the entrance of the kitchen.
    冷蔵庫とキッチンの入り口の間隙を埋める。
  • Me and the professor have so much disagreement in ideas and thoughts.
    私と教授は意見において深い間隙が存在する。

まとめ

「間隙(かんげき)」は「ものとものとの間」「時間的な隙間・ひま」「気のゆるみ・油断すること」「人間関係での隔たり・不和」という意味を持つ言葉です。漢字を前後ひっくりかえした「隙間」とは、ほぼ同じ意味を持ちますが、使い方や使用頻度で多少の違いがあることを留意しておきましょう。

社会人になると複雑な人間関係に悩むこともあると思います。上司や同僚との「間隙」が生じ、人間関係での不和やわだかまりでストレスを貯めないようにすることも大切です。容易なことではありませんが、友好関係を上手に維持しながら、人との距離やわだかまりを作らないように心がけましょう。