「鼻白む」の意味と語源とは?「しらける」との違いと類語も解説

「鼻白む」という表現を聞いたことがありますか?「鼻」がつく熟語表現には「鼻につく」「鼻で笑う」「出鼻」などがありますが「鼻白む」については馴染みが少ないかもしれません。

今回は「鼻白む」の読み方と意味、語源、使い方と例文、類語を解説しています。「しらける」との違いにも着目しなら説明していきましょう。

「鼻白む」とは?

「鼻白む」の意味①気後れする

「鼻白む」の意味は、“気後れすること”です。ものごとが滞ったり、状態が思わしくなくなってきた時の気後れしたような表情が「鼻白む」です。また、きまりが悪く、楽しい気分が消え去って、奈落の底に落ちたかのようにがっかりするという意味もあわせ持ちます。

「鼻白む」の意味②興覚めする

意味1とややニュアンスは似ていますが、「鼻白む」とは気分を害し興覚めする様子を表しています。嬉しくポジティブな状況から、批判を浴びたり勢いを留められたりすることで自信をなくし、ひるんだ表情に変わってしまうことを意味します。

「鼻白む」の読み方は”はなじろむ”

「鼻白む」の読み方は“はなじろむ”です。「鼻白む」は読み方で戸惑いの多い言葉の一つですが、「びはくむ・はなしろむ」などと誤読しないように注意しましょう。

「鼻白む」の語源は突然の悪い知らせに鼻が白くなることから

「鼻白む」とは、突然の悪い知らせや思わぬ叱咤などに対して、人が起こす身体の変かから生まれた言葉です。

人は突如として気分を害されてしまうと、鼻の周りが緊張し、蒼白くなると言われています。突然良くない知らせを聞かされたり、思わぬことからトラブルが発生すると、血の気が引き顔色が蒼白くなることがあるでしょう。「鼻白む」も同じようなニュアンスで生まれた言葉です。

また、「鼻白む」の「鼻」は”自分自身”、「白む」は”ひるむ、たじろぐ”という意味があります。これらが一括してできた言葉が「鼻白む」であり、語源の説明となります。

「しらける」は状況や雰囲気が主語となること

「鼻白む」と似た表現に「しらける」がありますが、この二つには決定的な違いがあります。それは”主語”のあり方です。

「しらける」は”会場がしらける・座がしらける”など、状況や雰囲気、場所が主語になる時にも使われますが「鼻白む」の場合は人のみです。つまり「ムードが鼻白む・会議室が鼻白む」というような使い方は適切ではないということです。ぜひ「鼻白む」と「しらける」の意味と用途について確認しながら、言葉を選ぶようにしましょう。

「鼻白む」を使い方と例文とは?

「鼻白む」は日常会話よりも文語的に使う

「鼻白む」はやや文語的なニュアンスがあるため、普段の生活において頻繁に使われることはあまりないと言えます。たとえば、友達や先輩などに”今日、突然親に怒られて鼻白んだよ”と言っても、しっくりこないこでしょう。この場合は、口語でもよく使われる「興覚め」や「がっかり」などの表現の方が適切です。

「鼻白む」は文語的なニュアンスのある美しい言葉の一つですが、一般的な会話で無理に使うと、かえって意味が伝わりにくくなることがあります。職場やフォーマルなシーンなど適切な状況を踏まえてから「鼻白む」を上手に使うようにしましょう。

「鼻白む」を使った例文

「鼻白む」を使った例文をいくつかご紹介しましょう。

  • 盛り上がりを見せたパーティも、両親の帰宅で一気に鼻白んでしまった。
  • 突然の転勤命令を受けて鼻白む彼を見ていると、本当に気の毒でならない。
  • 観客が鼻白む理由は、マジックショーでうっかり仕掛けがばれてしまったからだ。
  • ボリューム満点を自慢するレストランでまさかの小皿盛り。これには鼻白む。
  • 日頃は笑顔の課長が急に怒鳴りだした。鼻白む部下はしばらく無言の状態であった。
  • 鼻白む状況とは、イケメンの彼が音痴なトーンでカラオケに没頭する時のことである。

「鼻白む」の類語とは?

「鼻白む」の類語は”引く・冷める・萎える”など

「鼻白む」の類語には、“引く・冷める・萎える(なえる)”などがあります。その他、「盛りさがる・ドン引きする・萎れる(しおれる)」なども類語として使えるでしょう。以下で言い換えの例を挙げてみます

例文
  • メンバーが引いたのは、普段は大人しい編集長が急に怒鳴りだしたからだ。
  • 幸せな日々もこれまで。彼女の嘘がばれて愛情は一気に冷めた。
  • 楽しい会話をしているときに、泣き顔で入ってこられると気が萎える。

「百年の恋も一気に冷める」とは幸せが急激に一転する

「鼻白む」は楽しい状況から悪い事象が起きて、一気に興ざめしてしまうことを表しますが、同じように、幸せな状況が急激に一転する様子を表すことわざに「百年の恋も一気に冷める」があります。100年続いた神聖なる愛が、ネガティブなことが起きた途端に一気に急降下するというユニークなことわざです。

また、「開けて惜しき玉手箱」は期待が外れて落胆するという意味を持つことわざです。突如として意気消沈し、たじろむ光景を表すことわざで、職場や日常生活でも皮肉を交えて使える表現です。

まとめ

「鼻白む(はなじろむ)」とは、”気後れする・興覚めする”という意味を持つ言葉で、人が突然ネガティブな状況に遭遇した時に、血の気が引き鼻の周りが蒼白くなってしまうことから生まれたと言われています。

また「鼻白む」と似た表現に「しらける」がありますが、「鼻白む」の主語は人となることに対し、「しらける」は”場がしらける・座がしらける”など、状況に対しても使われることがあります。ニュアンスは酷似していますが、用途において異なることを理解しておきましょう。