何かを「欲しい」時や、何かを「してほしい」時、ビジネスシーンでどのように表現していますか?直接的な言い方を避けて丁寧な敬語を使おうとして、迷ってしまう人が多いようです。
ビジネスで失礼にならない、「欲しい」の敬語表現を解説しますので、参考にしてください。
「欲しい」の敬語と2つの意味
敬語は「いただきます」「頂戴したい」「していただけますか」
「欲しい」の敬語は「いただきます」「頂戴したい」「していただけますか」です。敬語の種類は謙譲語です。さまざまな状況に合わせて「欲しい」の敬語を使い分けするとよいでしょう。
「自分のものにしたい」という意味
「欲しい」には「自分のものにしたい」「手に入れたい」という意味があります。「飲み物が欲しい」「アドバイスが欲しい」などです。
何かを「してほしい」という意味
「欲しい」にはもうひとつ、相手になんらかの行いを「してほしい」「してもらいたい」という意味があります。「一緒に行ってほしい」「早く来てもらいたい」などです。
2つの意味の違いによって言い換える敬語が異なります。それぞれの言い方を説明します。
「自分のものにしたい」時の「欲しい」の敬語は?
何かを「自分のものにしたい」「手に入れたい」時は、違う表現に言い換えます。
「頂きます」と言い換える
何かを「欲しいです」と言いたい時は「頂きます」という敬語で言い換えることができます。目上の人から何かをもらう時の言い方です。
ビジネスシーンでは「コピーは要りますか?」⇒「頂きます」などと用います。
「頂く」と「戴く」の使い分け方
漢字の書き方としては「頂く」の他に「戴く」もあります。両者の使い分けですが、同じ意味であるとする場合と、自分の行いについては「頂く」と書き、物をいただいた時などは「戴く」と使い分ける、とする2通りの意味があるようです。
話し言葉ではどちらも「いただく」なので漢字は考慮しなくてもよいのですが、文書やメールの場合はどちらを使うのがよいのでしょうか。
「戴く」は現在常用漢字から外されており、新聞用の漢字でも「戴く」は「頂く」に替えて書くよう決められています。そのため、ビジネスシーンの表記でも全て「頂く」として失礼にはならないと考えられます。
しかし、高価な物をいただいた時などに、あえて「戴く」を用いて特別な敬意を表すということもできます。
「頂けますか」とお願い文にする
また、状況によっては「頂きます」という直接的な言い方を避けて柔らかい表現にした方がよい場合があります。その場合は「頂けますか」とするとよいでしょう。
訪問先で「コーヒーと紅茶どちらにしますか?」⇒「それではコーヒーを頂けますか」などと用います。
「頂戴したい」「頂戴します」と言い換える
何かを欲しい時に「頂戴したい」「頂戴します」という言い方もあります。「頂戴」とは、目上の人から何かをいただくという意味です。
「頂戴」も新聞では使われない漢字で、「ちょうだい」とひらがなで書くという決まりがあります。
話し言葉での「頂戴したい/します」は、近年は少々古い言い方と感じられるようになったため、「頂きたい」「頂きます」という言い方の方がビジネスシーンでは馴染むかもしれません。
また「頂戴」の漢語の硬い印象を利用して、文書やメールで改まった表現をしたい時に用いると、尊敬の意味合いを強く出す効果が期待できます。
何かを「してほしい」時の敬語は?
「していただけますか」「お願いいたします」にする
相手に何かをしてほしい時には、「していただきます」ではなく、「していただけますか」「お願いいたします」というお願い文に言い換えます。
この場合の「いただく」は補助動詞であるため、「頂く」など漢字ではなく、ひらがなで表記します。例えば「メールを送って頂けますか」ではなく「メールを送っていただけますか」と書きます。
クッション言葉を添える
さらに、お願い文に言い換える時は、クッション言葉も添えるようにすると完璧です。例えば「大変お手数ですが、メールを送っていただけますか」などとします。
お願いする際のクッション言葉には「お手数ですが」「恐れ入りますが」「もしよろしければ」「失礼ですが」「ご面倒をおかけいたしますが」などがあります。
メールの例文
他にも「欲しい」気持ちの言い換え方はたくさんありますので、メールの例文で紹介します。
資料などを「送ってほしい」時
- お手数ですが、詳しい資料をご送付いただければ幸いです。
- 必要事項をご記入の上、ご返送をいただきますようお願いいたします。
- ご面倒をおかけいたしますが、パンフレットをお送りいただけますでしょうか。
メールなどで「連絡してほしい」時
- 日程が決まりましたらメールでご連絡いただけますでしょうか。
- メールでご連絡いただければ幸いです。
- メールのご連絡をお待ちしております。
「アドバイスがほしい」時
上司などにアドバイスをもらいたい時は、「助言」と言う方が丁寧に聞こえます。同僚や関係の近い上司との会話の中であれば「アドバイス」と言っても失礼ではありません。
- 大変お手数ですが、ご助言をいただければ幸いです。
- お忙しいところ恐縮ですが、ご助言をいただきたく存じます。
まとめ
「欲しい」という気持ちをビジネスシーンで表現するには、さまざまな方法がありました。特に日本では、直接的な表現は失礼であるとされるため、こちらの希望を伝える時には細心の注意が必要です。
直接的な表現を和らげるための、違う表現への言い換え言葉や、クッション言葉は豊富にあります。今回は「欲しい」について解説しましたが、その他の表現についても、必要な場合は言い換えやクッション言葉を使えるようにしておきましょう。