「道理」はよく聞かれる言葉で「人として正しいこと」などの意味がありますが、「道理で」や「道理に合わない」など言い回しが多いので、使い方に困ったことはありませんか。今回は「道理」の意味や使い方、ことわざ「無理が通れば道理引っ込む」の意味、類語と反対語に英語表現も解説します。
「道理」の意味とは?
「道理」の意味は”物事がそうあるべきこと”
「道理」の意味は、“物事がそうあるべきこと”です。物事の筋が通っている状態です。本来、そのものがあるべきところから逸れることなく、そのものとしてあるべき状態となっていることを指します。
この意味から発展して「道理」には、正しい筋道や正論、正当な理念といった意味もあります。
「人として行うべき正しい道」という意味もある
「道理」には“人として行うべき正しい道”という意味もあります。善悪で言えば善と呼ばれることを行い、倫理的に人として正しいことを行うことを意味します。
つまり「道理」という言葉が使われるとき、人ならば人として正しいことをやるべきであり、そうしなくてはならないということを伝えています。
中世では「道理」の意味は都合よく解釈されていた
中世では、「道理」は自分の主張を通すために、または裁判で正当性を主張するための理由づけとして使われていたことがあります。そのため「道理」の意味は揺らぎ、”法的にそうあるべきこと”という意味で使われることもあれば、”慣習的または感性的にそうあるべきこと”という意味合いでも使われていました。
中世末期になると、「道理」は律義さや礼儀の正しさという意味でも使われるようになり、人間関係を潤滑にするために「道理」が重視されるようになりました。
「道理」の使い方と例文とは?
「道理をわきまえる」とは善悪の判断ができること
「道理をわきまえる」とは“善悪の判断ができること”を意味します。善悪の判断ができるようになるには、物事を本来そうあるべき状態で正しく理解でき、解釈できている、または常識が備わっていなくてはできません。そうした前提がある上で、善悪の判断ができているという状態に対して「道理をわきまえる」という表現を使います。
- 「先生の前だぞ。道理をわきまえろ」
- 「彼の真摯な態度から、道理をわきまえているのがよくわかる」
「道理に合わない」で間違っていることを指摘する
「道理に合わない」という使い方は、“間違っている、または本来の筋道としては正しくない”という意味で使う表現です。
人として、または慣例として間違った行動をしている人に、その行いが間違っていると指摘するときなどに使われます。
- 「間違ったとことにごみを出しておいて謝らないなんて道理に合わない」
- 「罪を犯しながら裁かれないなんて道理に合わない」
「道理が通らない」や「道理に反する」は不正を行った時に使う
人の道から外れた行いをしたときに「道理が通らない」または「道理に反する」という使い方をします。
- 「物不足を利用して法外な値段で物を売りつけようとするのは、道理が通らないんじゃないか」
- 「交通違反は道理に反する。ちゃんと横断歩道を渡りなさい」
「道理にかなう」とは物事の道筋が正しいことを言い表す表現
物事や行いの道筋が正しく、それが論理的であるときには「道理にかなう」と表現します。
「理にかなう」とも言われ、正しいことを矛盾がなく行われるときに使います。
「道理にかなう」の”かなう”は漢字で「適う」と書き表せますが、ひらがなで表記されることが多いでしょう。
- 「彼の理屈は道理にかなっているように聞こえるが、信用できるだろうか」
- 「確かに道理にはかなっている。そこまで言うのなら、一度、任せてみようか」
「道理」のことわざ・副詞としての使い方とは?
ことわざ「無理が通れば道理が引っ込む」
「無理が通れば道理が引っ込む」は、道理に反する不正のことが横行している世の中で、道理に合った正しいことが行われなくなるという意味のことわざです。
「無理が通れば道理が引っ込む」は”無理に通れば道理が引っ込む”と言い間違えられることがあるので、正しくことわざを覚えましょう。
ただし「無理が通れば道理が引っ込む」の「道理が」の”が”を落として、「無理が通れば道理引っ込む」という言い方がありますが、これは正しい表現です。
「道理で」は副詞としての使い方
副詞として「道理で」という言い方があり、物事がわかる、理解するという意味です。
また「道理で」は、口語ではこの言い回しを単独で使い、「分かった」と理解する、または「なるほど」と納得がいくときの表現として使われます。
- 「あの秀才が作った問題か。道理で難しいと思った」
- (あることに納得しながら)「道理で。おかしいと思ったんだ」
「道理」の類語と対義語とは?
道理の類語は「道筋」や「条理」
「道理」の類語は“道筋”や“条理”です。どちらとも物事がそうあるべき基準や考え方のことで、物事を正しく行うための手順という意味合いも含まれています。
- 「道筋を立てて説明した」
- 「条理にかなう公判だった」
道理の対義語は「無理」
「道理」の対義語は“無理”で、物事の道筋が通っていないまたは正しくないという意味です。日常的によく使われる「無理」ですが、「無理」の”理”は「道理」の”理”で「無」によって打ち消されています。
- 「無理を承知で頼む。この仕事を受けてくれ」
- 「そんなことを言われても無理。できないよ」
「道理」の英語表現とは?
「道理」は英語で”reason”
「道理」は英語で“reason”です。「reason」は理由という意味でもよく使われる言葉ですが、理屈や道理といった物事のそうあるべきことや正しいことという意味もあります。
“Unfortunately, we have reason to believe that he is lying.”
「残念ながら、彼が嘘をついていると信じるだけの道理がある」
まとめ
「道理」とは「そうあるべきこと」という意味で、特に人として正しいことという倫理的な意味で使われることが多いです。「道理が合う」「道理が通る」「道理にかなう」などの言い回しも多いので、その都度覚えるようにしましょう。