「不甲斐ない」の意味とは?ビジネスでの使い方や例文・類語も解説

「不甲斐ない」とは「情けない」を意味する言葉です。ビジネスでは謝罪するシーンで使われる「不甲斐ない」ですが、「二重否定であるため誤用では?」と感じている方もいるでしょう。この記事では「不甲斐ない」の語源や使い方の例文、敬語表現も解説します。くわえて、類語・対義語や英語表現も解説しましょう。

「不甲斐ない」とは?

「不甲斐ない」の意味は”情けない”

「不甲斐ない(ふがいない)」の意味は、“情けない・意気地がない”ことです。自分や相手の言動が思うようにならず、ひどく残念である様子を表します。「親として不甲斐ない」や「不甲斐ない上司」のように、ネガティブな状況を表すときに使用しましょう。

「不甲斐ない」の語源は”腑甲斐ない”

「不甲斐ない」の語源となる説は複数あり、その1つが”腑甲斐ない”です。「不甲斐ない」の”不”は当て字で、本来は「腑」が使われていました。”心の底・はらわた”を意味する「腑」に、”無駄・どうにもならない”を意味する「甲斐なし」を加えることで「意気地がないこと」を意味していたのです。

また、「腑甲斐ない」が元となったという説以外には、”いふかい(言う甲斐)”が転じたという説もあります。”言っても無駄な様子”を意味する「言う甲斐」が「情けない」という意味に広がり、使われるうちに表記も「ふがいない」に変わったのです。

「不甲斐ない」が二重否定という説は誤り

「不甲斐ない」が二重否定だという意見がありますが誤りです。「不甲斐ない」は1つの単語に”不”と”ない”が置かれているため、否定した表現をさらに打ち消しています。しかし、語源でも説明したように「不甲斐ない」の「不」は当て字であり、本来は「腑」が使われていました。

「腑甲斐ない」の場合、否定表現は「ない」のみであるため二重否定には当てはまらないのです。

「不甲斐ない」の使い方と例文とは?

「不甲斐ない結果に終わる」は情けない結果を表す

「不甲斐ない」の使い方の1つが「不甲斐ない結果に終わる」です。「不甲斐ない結果に終わる」とは”情けない結果に終わること”を意味し、良い結果にならなかった状況で使われます。

例文

・不甲斐ない結果に終わることなど目に見えていた

・不甲斐ない結果に終わることを誰も責めなかった

「不甲斐ない気持ちでいっぱい」は情けない気持ちであること

「不甲斐ない気持ちでいっぱい」とは”情けない気持ちでいっぱい”を意味します。自分の情けない気持ちを相手に伝える言葉で、みじめで嘆かわしい状況を表します。

例文

・上司として不甲斐ない気持ちでいっぱいだ

・多くの方の期待を裏切ってしまい、不甲斐ない気持ちでいっぱいです

ビジネスでは謝罪としても使う

ビジネスシーンでは「不甲斐ない」を謝罪として使うこともあります。自分の実力が足りなかったり、思うような結果にならなかったりする状況で「不甲斐ない」を使います。「不甲斐ないと感じております」や「わたしが不甲斐ないばかりに」のように表しましょう。

例文

・不甲斐ない結果になってしまったこと、心よりお詫び申し上げます

・わたしが不甲斐ないばかりに、ご迷惑をおかけし申し訳ありません

目上へは「不甲斐ない」に敬語を加える

「不甲斐ない」は目上・目下関係なく使用できます。「不甲斐ない」自体は敬語表現ではないため、目上へ使用するときは敬語を加える必要があります。「不甲斐ないです」や「不甲斐なく思っています」のように使いましょう。

「不甲斐ない」を使った例文

「不甲斐ない」を使った例文をご紹介しましょう。

  • 練習してきた成果を発揮できない自分が不甲斐ない
  • 仕事も恋愛も上手くいかず、不甲斐ないと感じる
  • 自分の不甲斐なさを実感し、涙がでてきた

「不甲斐ない」の類語・対義語とは?

「不甲斐ない」の類語は”腑抜け・腰抜け”

「不甲斐ない」の類語には“腑抜け(ふぬけ)”“腰抜け”が当てはまります。「腑抜け」は”肝がすわってないこと”を、「腰抜け」は”意気地がない臆病者”をそれぞれ意味します。「腑抜け」と「腰抜け」はどちらも”意気地がない様子”を表すため、「不甲斐ない」の類語に当てはまるのです。

例文

・見ない間にすっかり腑抜けになってしまった

・敵を前にして逃げ出すほどの腰抜けだった

「不甲斐ない」の対義語は”甲斐甲斐しい”

「不甲斐ない」と反対の意味をもつ言葉(対義語)には“甲斐甲斐しい(かいがいしい)”が当てはまります。「甲斐甲斐しい」とは”手際がよくきびきびしている様”や”力を尽くして物事に打ち込む様”を意味します。

「不甲斐ない」の”情けない様子”という意味に反して「手際がいい様・力を尽くして打ち込む様」を表すため、対義語として使えるのです。

例文

・彼は甲斐甲斐しく世話をしてくれた

・見違えるほどに甲斐甲斐しく働いていた

「不甲斐ない」の英語表現とは?

「不甲斐ない」は英語で”Uselessness”

「不甲斐ない」の英語表現には“Uselessness”が適しています。「Uselessness」とは”無益・無駄”を意味する単語です。「Feeling of uselessness(価値がないと感じる)」のように表しましょう。

まとめ

「不甲斐ない」とは”情けない・意気地がない”を意味する言葉で、「不甲斐ない気持ちでいっぱい」や「不甲斐ない結果に終わる」などの使い方をします。ビジネスでは謝罪の言葉とあわせて使われ、敬語を加えることで目上の相手へも使用できます。

「不甲斐ない」以外の言葉で表したいときは、類語の「腑抜け」や「腰抜け」に言い換えてみましょう。

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hana
大阪在住の新人ライターです。学生時代にビジネスマナーや医療事務・秘書などの検定を取得し、前職は医療秘書として医院勤めでした。料理とスポーツが得意なので、いつか記事にできたらなと思っています。よろしくお願いします。