「彼我」の読み方と意味とは?使い方や類語・対義語を解説

スポーツのニュースなどで「彼我の差」という言い回しを見聞きすることがありますが、ここで使われている「彼我」とはどのような意味なのでしょうか。今回は「彼我」の読み方や意味、使い方や類語・対義語のほかに英語表現も併せて解説します。

「彼我」の意味と読み方とは?

「彼我」の意味は”相手と自分”

「彼我」の意味は、“相手と自分”です。

「彼」と「我」のそれぞれの漢字の意味から、相手と自分を広くとらえて相手側と自分側他人と自分あちらとこちらなど文脈によって意味の解釈が変わります。

「彼我」の読み方は”ひが”

「彼我」の読み方は“ひが”です。それぞれの漢字を音読みした読み方です。

「彼我」で使われる漢字の意味

「彼」の訓読みは”かれ”または”かの”で、現代では相手が男性の場合を指す言葉として使われることが多いですが、第三者が持っているもの遠くの場所を意味していることもあります。また明治時代までは相手の性別に関係なく「彼」を使っていました。

「我」は訓読みで”われ”または”わ”で、自分という意味ですが、わがままという意味もあります。

「彼我」の使い方と例文とは?

争われるとき「彼我」が使われる

スポーツや戦争などでの争いで、相手と自分または敵と自分を比べるときに「彼我」が用いられます。

例文
  • 「彼我の力量差(実力差)が明らかなので、勝負にならない」
  • 「彼我のコンディションの違いが勝負の結果に出た」
  • 「彼我の主張が対立する」
  • 「彼我のどちらかが生き残るだろう」

「彼我の差」は相手と自分の比べるときに使う表現

「彼我の差」とは、相手と自分を比べるときに使われる言い回しで、その意味は両者の差、つまりはあちら側とこちら側の違いです。

「彼我の差」が用いられるとき、その表現だけからでは相手が自分よりも勝っているのかそれとも逆なのかはわかりません。どのような力関係にあるのかは、文脈から判断されます。

例文
  • (相手側が優位の例)「彼我の差が大きくて、負けるのが明らかだった」
  • (自分側が優位の例)「彼我の差ははっきりしている。私たちが負けるわけがない」
  • (どちらが優位なのかわからない例)「勝負の前から、彼我の差ははっきりしている」

「彼我の勢力は伯仲している」は両者の力関係が互角のときに使われる

「彼我の勢力は伯仲(はくちゅう)している」は、相手の自分の勢力があまり変わらないときに使われる言い回しで、文語的です。「伯仲」とは力がある者同士で優劣がつけにくいという意味です。

「勢力」の代わりに”両軍の差”や”戦力差”など状況に合わせた言葉に入れ替えることもできます。

「彼我の境」とは相手と自分の境界という意味

「彼我の境(さかい)」とは、相手側と自分側の境目という意味です。両者を比べたときの境界になるところを指して使います。

例文
  • 「文化の彼我の境を感じて、異文化を学ぶことの難しさを覚えた」
  • 「敵の実力を見せつけられて、彼我の境を実感する」

「彼我」の類語と対義語とは?

「彼我」の類語は”自他”など自分と相手を指す言葉

「彼我」の類義には、“自他・双方・両者”など自分と相手の両方を指すこと言葉になります。

「自他」とは自分と自分以外の者という意味の言葉で、「双方」とは関係あるあちら側とこちら側という意味です。また「両者」は「双方」と同義で両方の者という意味です。

例文
  • 「自他ともに認める」
  • 「双方とも正しいと思う」
  • 「両者の話を聞く」

「彼我」の対義語は”自我”

「彼我」の対義語として“自我(じが)”が挙げられます。「彼我」の対義語は厳密に言うとないのですが、自分と他人の両方を指す「彼我」の対義語として他人を含まない自分だけという意味の言葉を対義語としてとらえたら、「自我」という言葉があります。

「自我」とは自分のことという意味で、心理学や哲学でその意味をさらに詳しく考察されています。心理学的には、「自我」とは行動や意識の主体と解釈されました。哲学では、哲学者デカルトは、「自我」とは自我に心的状態や行動を自我に所属させて他社と区別するものとし、自我の認識に関して「我思う、ゆえに我あり」という有名な言葉を残しました。デカルト以後も自我の解釈についての哲学的探究が行われています。

「彼我」の英語表現とは?

「彼我」は英語で”you and I”

「彼我」を表す英単語はありませんので、その意味を英訳します。例えば相手が男性ならば「he and I」ですし、相手が助成であれば「she and I」になります。

相手が複数人いれば「They and I」ですが、英語には相手と自分を合わせた人称代名詞に「we」があります。しかしかし「we」には「彼我」のような相手と自分が対立したニュアンスを伝えられないので、「彼我」の英訳に「we」は使わない方がいいでしょう。

例文

“Because of the difference in ability between he and I, I can believe of my win.”
「彼我の実力の差から、自分の勝利を疑わない」

まとめ

「彼我」とは相手と自分という意味で、両者が対立するような場面で使われます。「彼我の差」などの言い回しがよく聞かれますが、「彼我」と聞いてその意味がわかりにくいこともありますので、「双方」や「両者」などの類語で意味を補うこともできるでしょう。

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「難解なワードでもわかりやすく」をモットーに、常識ワードからビジネス用語、時には文化・アート系など、幅広く記事を書かせていただいています。ドイツ在住で2児の母。好きな食べ物はビターチョコレートとナッツ類。