「風光明媚」の意味や読み方とは?四字熟語の類語や英語表現も

ガイドブックなどで「風光明媚」と紹介される地方の美しい風景を目にすることがあります。景色の美しさを称える四字熟語には、他にも「山紫水明」「花鳥風月」などもあります。それぞれの意味の違いはあるのでしょうか?

この記事では、「風光明媚」の意味と読み方や使い方、類語や言い換え方を解説します。あわせて英語表現も紹介しています。

「風光明媚」の意味と読み方とは?

「風光明媚」の意味は”自然の景色が美しいこと”

「風光明媚」の意味は、“自然の景色が美しいこと・自然の眺めが素晴らしいこと”です。

「風光」とは自然の眺めや景色のことで、「明媚」とは山や湖など自然の景色が清らかで美しいことを意味します。「風光明媚」とは、”明媚な眺め”と言い換えることができます。

そのため、しばしば目にする「風光明媚な眺め」という表現は”明媚な眺めの眺め”という意味になってしまうため、本来は適切でない用い方です。「風光明媚な地」などが正しい使い方です。

また、「風光明媚な(の)地」という名詞としての使い方のほかに、「風光明媚だ・風光明媚である」といった形容動詞の使い方もされます。

「風光明媚」の読み方は”ふうこうめいび”

「風光明媚」の読み方は、“ふうこうめいび”です。

「風光明媚」の使い方と例文とは?

「風光明媚」は自然の美しさを称える表現として使う

「風光明媚」は、自然があふれる田舎の美しい景色を称賛したり、紹介する時に使われます。土地の特徴を伝える観光ガイドブックなどでもよく用いられます。ただし、自然の美しさを表現する言葉であるため、たとえ美しい眺めであっても都市景観については用いません。

しかし、自然の中に築かれた歴史的建造物や、自然と一体となった棚田などの景色は、人工的なものであっても自然の景色として全体を捉えるため、風光明媚の対象となります。

例文
  • 風光明媚な景色を車窓から楽しめるローカル線が人気だ
  • 日本各地の風光明媚な風景を選りすぐったカレンダー
  • 風光明媚な地には文豪ゆかりの旅館が残っていることがある
  • 日本にはまだ知られていない風光明媚で素晴らしい土地がたくさんある

都市の景観美については「風光明媚」は使わない

先に説明したように、風光明媚は自然の美しさを称える表現であるため、都市などの人工的な風景の景観美については用いません。例えば「風光明媚な東京の夜景」などは誤用となります。

「風光明媚」の類語や言い換えとは?

美しい自然を表す四字熟語の類語「山紫水明」

「山紫水明(さんしすいめい)」とは、「風光明媚」と同じく、山や川の景色が美しいことをいいます。「山紫水明の地」などと用います。

「山紫」とは、山が日に映えて美しい紫色に見えることで、「水明」とは川の水が澄んで清らかで美しいことを表現する語です。紫色に輝く山と、澄んだ水の輝きの美しさを対比させて情感に訴えかける四字熟語です。

「風光明媚」は自然の美しさを広くとらえて使いますが、「山紫水明」は特に山と川の織りなす景色の美しさをたたえて使う表現です。

美しい自然の風流を意味する類語「花鳥風月」

「花鳥風月(かちょうふうげつ)」とは、美しい自然の風景を意味する四字熟語です。また、その趣を優雅に楽しむ風流のことを指して使われます。

「花鳥風月を友とする」などと用い、美しい自然を相手に詩や絵画などをたしなみ、風流に楽しむという文化的な意味を伴って使われるのがこの熟語の特徴です。

景色が優れている土地という意味の「景勝地」

「景勝地」とは、景色が優れている土地という意味です。「景勝」とは、景色が優れていることを意味します。

「風光明媚な地」は「景勝地」と同じ意味を持ちますが、自然の景色を情緒的な感情を伴って美しいと感じる気持ちを表すのには「風光明媚」が適しています。

ダイナミックな自然の景色を表す「絶景」

「絶景」とは、よそでは見ることができない素晴らしい景色を意味します。他と比較してこれほどのものは無いという意味合いで使われるため、特異な形状を持つダイナミックな自然の景色や、通常では目にすることのできない厳しさを伴った大自然の景色などに対して用いられます。

「極寒のオホーツク海では冬の絶景が見られる」「富士の山頂から見下ろす雲海の景色は他では見ることのできない絶景だ」などと使うことができます。

「風光明媚」の英語表現とは?

「風光明媚」の英語は”scenic beauty”

美しい自然の風景を意味する英語表現には「scenic beauty」があります。「scenic」は、風景・景色という意味とともに”眺めの良い”という意味があります。

「風光明媚な地」は”place of scenic beauty”と表現します。また、「scenic」の語のみでも”眺めの良い景色”という意味で使うこともできるため、美しい湖の風景を「scenic lake」とも表現できます。

また、「scenic spot」も”風光明媚な地”と訳すことができますが、「景勝地」と訳されることも多いようです。

まとめ

「風光明媚」とは、”自然の景色が美しいこと”という意味を持ち、山や川、湖などが織りなす自然の美しさを情緒的に伝える四字熟語です。

同じように、自然の美しさを知的情感を持って伝える「山紫水明」の語は、特に山と川の景色の美しさをたたえて使う表現です。また、「花鳥風月」は、自然の美しさを優雅な趣としてとらえる風流の文化的感性の中で用いられてきた美学的な表現です。

このように、水と自然の豊かな日本には、自然の風景の美しさを情緒的に表し、感性に訴えかける表現がたくさんあります。

その反面、人工的に作られた都市などの美しさを表す熟語は特に見当たりません。そのためか、例えば英語の「scenic tourism city」を「風光明媚な観光都市」と訳すことがあります。本来は風光明媚は自然の景色の美しさを表現する語であるため、別の語に訳したいところですが、都市の美しさを表す日本語にはこれといったものがないのかもしれません。