「動線」とは?導線との違いと使い方の例文・家の間取りでの重要性

動く線と書いて「動線」という言葉があります。使い方で混同しがちな同音異義語に「導線」がありますが、意味の違いを理解していますか?

今回は「動線」の意味を始め、使い方と例文、「導線」との違い、建築における家の間取りの重要性を解説させていただきます。それぞれ使い方の例文をあわせて紹介していきましょう。

「動線」とは?

「動線」の意味は”人の動きや流れを追跡したもの”

「動線」の意味は、”人の動きや流れを最初から最後まで追ったもの”です。人がどのように流入し、どのような道を自然とたどって出ていくのか?を追跡し、図解したもの、また線でなぞったものを指します。英語では「a flow line(フローライン)」または「a movement line(ムーブメントライン」と言います。

「動線」は利益や効果を得るためのツール

「動線」は人の行動や移動した足跡を追跡し、動きを分析するものです。つまり「動線」とは高い利益や効果を目的とした有効的なツールであり、建築やイベント企画などの業界において頻繁に使われる専門用語の一つとも言えます。

たとえば「動線」はフェスティバルや祭りごとなどのイベント行事で、会場を設置する際に欠かせない行程です。また、レストランやカフェでのテーブル・チェアーの設置、小売店や専門ショップなどで商品の配置、また公園や遊技場では遊具や水飲み場、トイレなどの位置を決定する際に重要なキーとなります。

このように「動線」とは、利益や効果を高く得るための必要な分析ツールでもあることも、あわせて理解しておきましょう。

「動線」と「導線」はほぼ同じ意味で使われる

「動線」と同音異義語に「導線」があります。もともと「導線」とは”電流が流れる金属の線”を表しますが、現在では「客を導く線」つまり”客を誘導するため道筋”という意味で解釈されることが増えたため、ほぼ「動線」と同じ意味で使われるようになっています。

ダンスの「動線」は出演者の動きのこと

「動線」はダンス界でも必須の表現の一つです。ダンスの内容を構成する際に、ポジションや移動、向きなどを今日の始まりから終わりまで追い、確認していくことを意味します。この時、曲目の選択や出演者の人数、ソロの有無など、すべての要素を考慮しながら進めていくことが大切ですが、確認作業は動画やビデオなどで行うことがほとんどとなっています。

「動線」の使い方と例文とは?

「動線」はウェブサイトの構築でも使われる言葉

「動線」は物質的な人の動きを追跡したものばかりではなく、ウェブサイトで人がどのような動きを見せるかを分析したものも指しています。たとえば、簡単にできるダイエット法に興味が湧いた人がいるとしましょう。その人の検索行程を分析すると…

「ダイエット簡単」➡「商品サイト」➡「あわせて買いたいグッズのサイト」➡「その広告で体験談を紹介したタレント」➡「タレントが愛用するコスメ」(あくまで例です)

というように、人の動きが現れてきます。アクセス数や収入向上を効果的に推進することを目的とし、人の移動傾向を分析するために使うツールが「動線」です。

「動線」を使った例文

「動線」を使った例文をいくつかご紹介しましょう。

  • 二世帯住居の設計では、夫婦と両親の二つの動線が必要となる。
  • 動線を意識して、アミューズメントパークの設計をする。
  • コンサートスタッフに入場者の動線を説明する。
  • マシンを搬入する際の動線を、工場長と確認しておいてください。
  • オンラインショッピングでは消費者の動線を分析することで売り上を伸ばすことができる。

「動線」の家の間取りにおける必要性と書き方とは?

「動線」を引かないと家の中で無駄な動きが生じる

家の間取りを設計する際に、リビング、部屋、キッチン、バスルーム、トイレ、パントリー、収納庫(収納部屋)など、それぞれの項目に分けて適切な場所に設置していきますが、その際に生じるのが「人の動き」です。家の中で人は必要な場所へ「動き」また「戻る」という行為を繰り返すということから、動きの効率を高めるために移動パターンを分析していきます。

たとえば、キッチンとリビングルームが異常に離れていたり、キッチンと収納庫が全く反対側にあると、その都度「無駄な移動」が生まれてきます。この場合、動線はあっちに行ったり、こっちに行ったりと、アットランダムで複雑なものになることが予想できるでしょう。快適な環境で生活するために、無駄な動きは不要です。

「動線」は高齢者向けの住宅では必要不可欠

家の中でできるだけ快適な生活を送るために必要な分析ツールが「動線」です。「動線」は間取りを決定する上では欠かせない要素となりますが、逆に「動線」を引かずに設計をしてした家では、どのような不和が起こり得るのでしょうか?

たとえば、高齢者向けの住宅では、バリアフリーや移動をできるだけ楽にした設計が必要となります。ベッドルームとバスルームやトイレの位置を近くしたり、他の家族との部屋にも近い方が良いでしょう。また、リビングを挟んで移動しなければならなかったり、キッチンがリビングが遠かったりすると、余分な体力を使ってしまう他、ストレスなどの不和が生じてきます。

「動線」は通常の建築でも必要となりますが、とくに高齢者向けの住宅設計では何パターンもの繊細な「動線」の分析が必要不可欠となります。

「動線」の書き方はシンプル

家の「動線」の書き方は基本的にシンプルで、家の中での自然な行動パターンを基本に動きを矢印(→)でつなげていきます。そうすると、ビジュアル的に無駄な動きを発見することができるようになります。この時、生活動線、来客動線、家事動線などのカテゴリーに分けて表示すると、目的別での動きが鮮明になってきます。

まとめ

「動線」は「人の自然な動きを追跡したもの」で、建築業界はもちろん、イベント会議やステージ関係者の間で使われる言葉となっています。「動線」は意図の動きを分析することで、無駄な動きを指摘したり、また逆に無駄のない効率的な動きを作り上げることで利益を高める効果が期待できます。

「導線」は基本的には「電気の通る線」という意味がありますが、「人を導く線」という意味として認識され、現在では「動線」とほぼ同じ意味で使われています。ダンスやウェブサイト構築でも用いられる便利な言葉なので、この機会に意味や使い方を習得しましょう。