「こちらこそ」の意味と正しい使い方!敬語表現や類語も解説

「こちらこそよろしく」など一般的にもよく使われる「こちらこそ」は親しみのある表現のため、逆に、ビジネスのようなかしこまった機会に使っていいのか迷ってしまう方もいるかもしれません。そこで「こちらこそ」の意味を解説して、一般的な使い方と併せてビジネスシーンでの使い方をご紹介します。

「こちらこそ」とは?

「こちらこそ」は敬語(丁寧)表現

「こちらこそ」は、ビジネスや目上の人に使える丁寧な表現です。ただし、前後の言葉を省略してしまうと、失礼にあたる場合がありますので、「こちらこそ」を使う場合には、前後の言葉をしっかりと添えるようにしましょう。

「こちらこそ」の意味は「私のほうこそ」

「こちらこそ」の意味は、「私のほうこそ」です。

「こちらこそ」は「こちら」と「こそ」に分けることができます。「こちら」の意味は、「私」か「私が所属している組織」のことを指します。また「こそ」は、その「私」や「私が所属している組織」を強調しています。

「こちらこそ」の使い方と例文

相手の気持ちと同調または上回るときに使う

「こちらこそ」は、相手が「ありがとう」などの謝意、または「ごめんなさい」や「すみません」など謝罪をしてきたことを受け入れて、自分も同じように思っていることを伝えるときに使います。

時には、相手に謝意や謝罪をさせてしまった以上に、自分こそ謝意または謝罪をすべきだったと考えているときにも使います。

「こちらこそ」を使った例文

相手が「ありがとう」と言った時の例:

相手:「本日はお越しいただいてありがとうございました」
自分:「こちらこそ貴重なお時間を頂きましてありがとうございました」

相手が謝罪した時の例:

相手:「先日はご迷惑おかけして申し訳ありませんでした」
自分:「こちらこそ、管理が行き届かず失礼いたしました」

「こちらこそ」を使ったフレーズ集

「こちらこそです」

「こちらこそ」を使った省略形として親しい間柄では使われます。前後の文意から何について話しているのかを推測する必要があるでしょう。

「こちらこそどうぞよろしく」

「こちらこそどうぞよろしく」や「こちらこそよろしくお願いします」は、これから始まることについての「意欲」や「高揚した気持ち」を伝えるときに使われます。

「こちらこそお世話になりました」「こちらこそお手数おかけします」

いろいろと世話をかけている、または世話をかけた相手に、感謝の気持ちを伝えるときに使われます。

「こちらこそすみません」

相手が謝罪してきたときに返す表現で、起こったことに対してお互いに悪かったという同調が感じられます。お互いに非を認めあうことで、相手の謝意の気持ちを緩和されるので、相手を楽にしてあげる効果があるでしょう。

「こっちこそありがとう」

「こちらこそ」の砕けた言い方は「こっちこそ」です。友人や親しい間柄に使われる表現で、ビジネスシーンでは使われません。

「こちらこそ」のビジネスでの使い方

「こちらこそ」を使うときのポイント

ビジネスでもよく使われる「こちらこそ」という表現ですが、注意しておきたいことは、何について謝罪や感謝をするのかを明確にすることと、「こちらこそ」という気持ちが過度になり相手に失礼にならないようにすることです。

相手の謝意を受けて「こちらこそ」と返すと、自分と相手が対等になっています。顧客のような尊重すべき相手と自分が対等になることで、不快に思われてしまうことがあり、相手に対して無礼になります。

一方で、その言い方や振る舞い次第で相手を見下してしまうことがあります。自分にはそうした意図がなくても、大げさな言い方をすることで相手を不快に感じさせてしまいます。

「こちらこそ」を使った丁寧な表現

「こちらこそ」を使う場合は、何に対して感謝または謝罪したいのかをはっきりさせて、その振る舞いも過度にせず、自分の立場や状況なども考えた立ち振る舞いにしましょう。

例文

相手:(淡々とした口調で)今日の商談がはかどりまして感謝しております。ありがとうございました。
自分:(大げさにせず、相手の口調と合わせて)大変有意義なご提案をいただき、こちらこそありがとうございました。

目上の人への「こちらこそ」の使い方

「こちらこそ」を上司や目上の人に使う場合には、相手のことをたてることを忘れないようにしましょう。使い方次第では相手を見下しているような印象を与えることになるからです。何について謝意や謝罪をしていることを明確にしたうえで、相手のお陰あることを強調するといった手法で相手への敬意を表すようにします。

「こちらこそ」のメールでの使い方

ビジネスメールでは相手に簡潔に伝えたいことを伝えることが大切です。相手に謝意を伝える場合も、「こちらこそありがとうございました」と書くだけでは「なにについて」感謝しているのかはっきりしません。

そこで、「○○していただき、こちらこそありがとうございました」のように、何について感謝しているのかを「こちらこそ」の直前に明確に書いておきましょう。

「こちらこそ」を就活にも活用!

「こちらこそ」は目上の方に配慮すれば使ってもいい表現ですから、就活にも使える場面は多いでしょう。

例えば、OBやOGに会う機会があれば、OB側から「今日はわざわざ来てくれてありがとう」といった挨拶があるかもしれません。そんなときには、「こちらこそお忙しい中お時間を取っていただきありがとうございます」のように返答することができます。また会社の面接などでも、先方が挨拶をしてきたのに対して、「こちらこそ」で受けることができます。

丁寧なふるまいを忘れずに、「こちらこそ」を使ってはっきりとした返礼をできるようにしましょう。

「こちらこそ」の類語

「むしろ」を使ってへりくだる言い方

「こちらこそ」の言い換え表現として、「むしろ」を使って自分のほうにこそ謝罪または謝意すべきだったということを強調する言い換え方があります。

例文

謝罪の例文:「むしろ、私のほうが至らぬことが多く、申し訳ありませんでした」
謝意の例文:「とんでもありません。むしろ、○○さん(相手)こそわざわざお越しくださってありがとうございました」

自分を強調する言い方

相手が感謝してきたことに対して、自分のほうこそ感謝しているという気持ちを伝えるために、次のような言い方ができます。

例文

相手:「今日はお越しいただきありがとうございました」
自分:「とんでもございません。お邪魔させていただいたのは、私です。本日はどうもありがとうございました」

例文のように何に感謝をしているのかを伝えてからその原因は自分だという言い方にすれば、「こちらこそ」を使わずに同じ意味を伝えられます。

まとめ

「こちらこそ」は日常的にもよく使われる表現だからこそ、社交辞令にならないように気を付けましょう。特にビジネスでは相手と同調を見せることになるので、本当に「こちらこそ」を使う状況なのかを見定めたうえで、何について謝罪または謝意を示すのかをはっきりさせることが大切です。また相手が目上の人ならば失礼にならないような配慮も必要です。

使い慣れた表現だからこそ、使い方のポイントに気をつけながら使ってみましょう。

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「難解なワードでもわかりやすく」をモットーに、常識ワードからビジネス用語、時には文化・アート系など、幅広く記事を書かせていただいています。ドイツ在住で2児の母。好きな食べ物はビターチョコレートとナッツ類。