「平仄」や「平仄を合わせる」の意味とは?使い方や類語も解説

「平仄(ひょうそく)」はよく「平仄を合わせる」という使い方をします。漢詩に関する言葉が語源のため読み方が難しく、「へいじん」という間違った読みで検索する人もいるようです。頻繁に見る言葉ではありませんが、いざという時に困らないよう、意味や読み方をしっかり確認しておきましょう。使い方や類語もご紹介します。

「平仄」とは?

「平仄」の意味は”物事の順序、道理”

「平仄」の意味は、“物事の順序・道理・筋道”のことです。

「平仄」は行政書類や昔の文学作品の中ではよく使用されていますが、普段の生活やビジネスシーンではあまり見られないでしょう。接する機会が少ないので、意味や読み方を覚えにくいと感じる人も多いかもしれません。

「平仄」の読み方は”へいじん”ではなく「ひょうそく」

「平仄」の読み方は“ひょうそく”です。「へいじん」などと間違えやすいため、読み方には注意が必要です。

「平仄を合わせる」の意味は”矛盾しないよう順序などを合わせる”

「平仄」は順序や筋道という意味です。そのため「平仄を合わせる」は矛盾や乱れがないよう“順序や筋道を整える”という意味になります。後半を否定形にすることで、逆の意味でも使用できます。「平仄が合わない」なら”順序が乱れている・矛盾していて、筋が通らない”という意味です。

「平仄」という言葉自体には悪い意味はないのですが、使い方によってネガティブな印象を受ける人もいます。さらに、言葉自体も難しいため意味が伝わらない人も多いかもしれません。平仄にこだわらずに、別の表現に言い換えた方が無難な場面も多くなるでしょう。使い方や言い換え方の詳細は後程ご説明します。

「平仄」の語源は漢詩の配列法

「平仄」は漢詩の用語が由来となっています。漢詩のリズムを美しく整えるための配列法で、現在もこの意味で使われることもあります。

中国語の発音は主に2つに分かれます。それが平声(ひょうしょう)と仄声(そくせい)です。これを規則的に配列することで調和の取れた良い漢詩になると考えられました。そこから転じて「平仄」は順序や道理を例える言葉として使われていったようです。

「平仄」の使い方と例文とは?

「平仄」は”矛盾しないようにする”際に使う

「平仄」は主に「平仄を合わせる」の形で使用します。矛盾なく、統一させるといった意味合いです。否定形にすることで「矛盾している」状態を表現することも可能です。

例文
  • 「過去の書類と平仄を合わせて作成してください」
    →文字の大きさや表の書き方を、過去の書類とそろえて作成すること
  • 「過去の指示と平仄が合わないことを言われて困ってしまった」
    →過去の指示と矛盾していること

「平仄」の悪い印象のある使い方と言い換え例

「平仄を合わせる」という言葉は”自分の都合の良いように言い換えてごまかす”という意味でも使われることがあります。そのため、人によっては「平仄」に悪い印象を持つ人もいます。

例文
  • 「いっしょに飲んでいたと平仄を合わせるよう友人に頼んだ」
  • 「平仄の合わないことを言ったため、上司がウソに気付いてしまった」

「平仄」の印象が気になる場合は、別の表現に言い換えましょう。

言い換え例
  • ・「過去の書類と平仄を合わせて作成してください」
    →「過去の書類と様式を合わせて作成してください」
  • ・「過去の指示と平仄が合わないことを言われて困ってしまった」
    →「過去の指示と矛盾することを言われて困ってしまった」

「平仄」の類語とは?

「平仄」の類語①辻褄

「平仄」のように、物事の順序や道理を何かに例えて表現する言葉が“辻褄”です。読み方は「つじつま」です。辞書によっては「平仄」の説明に”辻褄のこと”と書かれるくらい意味が似ています。使い方も似ていて「辻褄を合わせる」は「平仄を合わせる」とほぼ同じ意味です。

「辻褄」は着物などの和服の裁縫に関する言葉です。辻は縫い目、褄は裾の両端を表します。縫い目や裾がきれいに合っている「辻褄が合う」状態を、順序よく話の筋が通っている状態に例えるようになったと言われています。

「平仄」の類語②帳尻

「平仄」の類語には“帳尻”も挙げられます。「平仄を合わせる」のように、最終的に話の道理が通るように整えることを”帳尻を合わせる”と言います。「帳尻」は「ちょうじり」と読みます。帳簿の最後や、収支の最終的な計算のことです。

本来の意味は「収支の最終的な計算に矛盾がないこと」です。しかし、帳簿の計算以外の平仄や辻褄についても「帳尻を合わせる」という表現を使うことができます。例えば、以下の3つの文は、どれも「話が矛盾しないようにする」という意味です。

  • 「疑われないよう、友人と話の平仄を合わせた」
  • 「疑われないよう、友人と話の辻褄を合わせた」
  • 「疑われないよう、友人と話の帳尻を合わせた」

まとめ

「平仄」の読み方は「ひょうそく」です。物事の順序や道理、辻褄を意味します。

普段はあまり使われない言葉ですので、自分から無理に使う必要はありません。しかし、役所が発行した書類や、公務員の方とのメールで目にした際に、その都度調べ直すのは効率的とは言えません。この機会にしっかり覚えておきましょう。