「妥当」の意味と読み方とは?類語・対義語と「妥当性」も解説

ものごとに対して「なるほど、その通りだ」と思えるようなことを「妥当(だとう)」という言葉で表現することがあります。普段は無意識のうちに使っている場合が多いですが、正しい意味や「妥当性」について明確に理解しているでしょうか?

今回は「妥当」の意味と読み方、適切と違い、使い方、類語と対義語について解説させていただきます。「妥当性」の意味とあわせて紹介していきましょう。

「妥当」とは?

「妥当」の意味は”ものごとの状況がよく当てはまるさま”

「妥当」の意味は、“ものごとの状況がよく当てはまるさま”です。ものごとや状況の実情が適切であったり、考え方や方法などに無理がないことを表す言葉です。わかりやすく言えば、「そうであると思うこと」を指し、順調な状態に帰着し落ち着くさまを表現する時に使われます。

「妥当」の読み方は”だとう”

「妥当」の読み方は“だとう”です。「妥当」の”妥”は「受(ける)」に似ていますが、「じゅとう・じゅあて」などと読んでしまわないようにして下さい。

「適切」との違いは”ピッタリと当てはまるかどうか”

「妥当」と似た言葉に「適切」がありますが、この二つには微妙ながら意味の違いが存在します。

「妥当」はものごとの状況や方法などがよく当てはまることを意味しますが、「適切」の場合は”ピッタリと当てはまること”となります。つまり、ものごとの実情において「マッチする度合」が「適切」の方が高いということです。事を行うタイミングや程度などのニュアンスを表す時に、「なかなか良い」なら妥当、「ピッタリ」なら適切というように使い分けるとよいでしょう。

また「適切」には「目的やその場所にふさわしいさま」という意味も持ち合わせます。「適切な服装」とは”その場にふさわしい服装”、「適切な判断」なら”その目的にふさわしい挨拶”という意味になります。

「妥当性」とは”そうだと思う確率”

「妥当性」とは、”妥当”と性質や品質を表す”性”を組み合わせた言葉です。ビジネスシーンでものごとの性質が適切である性質を持つかどうか、またどの程度持ち合わせているかを評価する時に「妥当性」という表現を使います。「妥当性が高い」とは”そうだと思う領域が大きいこと”また、逆に「妥当性が高い」とは”そうだと思う領域が小さいこと”を意味しています。

「妥当」を使った四字熟語と使い方の例文とは?

四字熟語「妥当普遍」は”全てに共通して当てはまること”

「妥当」の使い方の一つとして覚えておきたいのが「妥当普遍(だとうふへん)」です。「妥当普遍」とは、どのような条件の中でも、どのような場面でも、全てのものごとに通底し、共通して当てはまることを意味しています。

主に「認識論」や「論理学」の世界で使われる言葉で、時間や空間において、条件を問わず、いつでもどこでも承認されることを表しています。たとえば、「女性が好んでスカートをはく・太陽の光を心地よく感じる・アイスクリームはデザートである」ことは、一種の普遍妥当と言えます。

「妥当」を使った例文

「妥当」を使った例文をいくつかご紹介しましょう。

  • クライアントが契約内容を送ってきたが、中味は妥当性に欠けていた。
  • 妥当な結果とはいえ、まだまだ完璧な成果には達していない。
  • 売上向上を目指し、妥当な戦略を練っている。
  • 遅刻魔の彼がまたもや会議に遅れた。「妥当な線だな」と部長がつぶやいた。
  • 企画ミーティングに参加したが、ほとんどが妥当な意見であった。
  • プレゼンでは、予想通り妥当な反応を得たと思う。
  • 妥当と言うより、これ以上ピッタリ合った衣装は見つからない。

「妥当」の類語とは?

類語①「相応」はつり合いが取れて似つかわしいこと

「相応(そうおう)」とは、つり合いが取れて似つかわしいことを意味します。ものごとや状態において均衡が保たれ、適切であるようすを表します。

例文

年相応のマナーと礼儀を守るようにする。

誕生日パーティに出かけるため、相応の装いで出かけた。

類語②「賢明」は判断や評価が適性であること

「賢明(けんめい)」とは、さまざまな状況において判断や評価が適正であることを意味します。その他、知識があり賢いという意味も持ち合わせています。

例文

部長の判断は今のところ賢明といったところだ。

繁忙期はスタッフを増員させることが賢明である。

類語③「順当」は順序に従うことで適切となること

「順当(じゅんとう)」とは、ものごとの順序や道理に従って、結果的に適切な状態になることを意味します。主に自然な流れに添って順番に事を行う様子を表す時に使われる表現です。

例文

順当な進行をたどっていれば、必ず成功するはずだ。

クレーム処理では、担当者が順当な判断を部長に仰いでいた。

「妥当」の反対語・対義語とは?

「妥当」の反対語・対義語は”不当”

「妥当」の反対語・対義語には“不当”です。その他、意味の上から考えると「不適切・不十分」なども対義語の仲間となります。

例文
  • 予想に反し、裁判の結果が不当であった。
  • 質問とはかけ離れた不適切な回答が届いた。
  • 一流ホテルであったが、顧客サービスは不十分であった。

まとめ

「妥当(だとう)」は「ものごとや状況がよく当てはまっていること」を表す言葉で、「そう思うこと」「適切に思うこと」という意味で使われます。また「妥当性」とはものごとや状況が当てはまる性質であることを指し、「妥当性が高い」「妥当性が低い」というように妥当である程度を示す表現としてビジネスシーンでも用いられています。

また「妥当」は「適切」とはニュアンスがやや異なり、「完全ではないがよく当てはまる」という意味で使われます。上手に使い分けをして、ものごとや状況の程度を表現していきましょう。