日本が誇る独特の文化に「手締め」があります。「締め」には「一本締め」「三本締め」「一丁締め」などがありますが、それぞれどのような意味を持つのでしょうか?
今回は、歓迎会や新年会の口上の後に行う「一本締め」を中心に掛け声を含めた一般的なやり方、その他の手締めの種類を紹介させていただきます。
「一本締め」の意味とは?
「一本締め」の意味は”行事が無事終了したことへの感謝を表す行為”
「一本締め」の意味は、“新年会や忘年会などのイベント行事が無事に終了したことへの感謝を表すために行われる行為”の一つです。「一本締め」が行なわれるのは多数の参加者を招いた大規模なパーティから、社内で行われる飲み会や慰労会などの小規模の集まりまで、イベントの大小を問わず行なわれます。
「一本締め」で協力者への敬意を示す
「一本締め」はさまざまな取り組みのを通して、協力してくれた人に心からの敬意を示すことを目的としています。一人ひとり挨拶を交わすのではなく、イベントの参加者全員が一体となった場面でとり行うことで、感謝と敬意の気持ちを表しましょう。また、「一本締め」はイベントの代表者や幹事が担当し、仕事への功労の念や今後の活躍に向けて、イベントの最後の締めとして「一本締め」を行うのが通常です。
「一本締め」の掛け声とやり方とは?
「一本締め」は口上・挨拶の後に行う
「一本締め」は口上や挨拶のあとに”それでは、皆さま、お手を拝借!”と威勢の良い掛け声で始まります。全体を見通して、手を叩く準備が出来ているかを確認してから「よーお!」の掛け声とともに「パパパン、パパパン、パパパン、パン!」と手締めを行います。
最後に「ありがとうございました」を忘れない
一本締めが気持ちよく決まったら、「ありがとうございました」という感謝の言葉を忘れないようにしましょう。「感謝」を表す一本締めの後に、重ねて感謝の言葉を置くのはやや重たい感じがしますが、これをやらないと締まりがない雰囲気で終わってしまいます。代表者や幹事の方は、くれぐれも一本締めのあとに無言で席を立たなように気をつけましょう。
「一本締め」のフィナーレは参加者全員の拍手
また、参加者側は代表者や幹事の「ありがとうございました」の後に、拍手を送るようにします。もちろん「一本締め」が行なわれる席によって異なりますが、拍手がしばらく続く場合もあれば、数秒で鳴りやむ場合もあります。大切なのは「一本締め」のフィナーレは参加者全員の拍手で幕を閉じるということです。
他の手締めの種類とは?
「三本締め」とは”一本締め×3回”のこと
「三本締め(さんぼんじめ)」とは、わかりやすく言うと「一本締め×3回」のことで「それでは皆さま、お手を拝借!」の後に「パパパン、パパパン、パパパン、パン!」を3回繰り返します。
「三本締め」も「一本締め」と同じでパーティやイベントが終わり、出席者に感謝の意を表すもので、意味や目的もほぼ変わりません。どちらを選ぶかは担当者次第で、喜びをできるだけ盛大に示したい、時間があるから3本で締めたい、社内の風習など色々あります。
「一丁締め」は飲み会の席で好んで選ばれる
「一丁締め」は関東一本締めとも呼ばれ、「それでは皆さま、お手を拝借!」の後に、「パン!」と一度だけ手を叩くことを言います。
「一丁締め」は主に飲み会や打ち上げなど、カジュアルなシチュエーションで選ばれることが多く、軽いタッチでサッパリと締めることができるのが特徴です。そうは言うものの、手締めの文化をしっかりと取り入れているため、形式を重んじる職場でのイベントやあらゆるお祝い事の席で好んで選ばれています。
「関東一本締め」は一丁締めのこと
関東地方では「一本締め」のやり方が通常のものとは異なり、手を「パン!」と一回叩くことを言います。俗に「関東一本締め」とも呼ばれ、「一丁締め(いっちょうじめ)」と同じ動作のことを言います。
一本締めを含む「手締め」は、ルールや規則があるわけではありません。関東一本締めのように、その地方で行なわれているやり方が正当だと言えるでしょう。関東地方の慣習や文化的背景としては「忙しい」「時間がない」「効率を好む」「コンサバティブ」などが挙げられます。そのため、感謝の量を減らすわけではなく、むしろ同じ感謝の気持ちを一度の「パン!」に凝縮し、効率的にコンサバティブに終わらせるといった背景がうかがわれます。
まとめ
「一本締め(いっぽんじめ)」は職場やグループなどが集う場で行なわれる「感謝」や「誠意」を表す行為の一つで、代表者や幹事はもちろん、社会人としても理解しておきたい社会的マナーの一つとも言えるでしょう。
「一本締め」の他に「三本締め」や「一丁締め」などがあり、目的や状況によって上手に使い分けをすることが大切です。「一本締め」をはじめとする「手締め」は参加者全員が一体となって結ばれる瞬間でもあります。喜びや今後の抱負を語りながら、感謝の気持ちを分かち合いましょう。