「マネーサプライ」の意味とは?マネタリーベースとの関係も解説

「マネーサプライ」とは世の中に流通しているお金のことで、それをすべて合わせた金額になります。なぜマネーサプライが経済状況と関係があるのか、今回は「マネーサプライ」の意味や経済状況との関係のほかに、マネーサプライと一緒によく使われる「マネタリーベース」や「マネーストック」の意味についても解説します。

「マネーサプライ」の意味

「マネーサプライ」とは「流通しているお金の合計」

「マネーサプライ」とは経済全体で流通しているお金の量のことで、別称は「通貨供給量」です。

中央銀行などの金融機関が供給しているお金で、個人や一般事業の会社、地方公共団体が現金や預金などに保有しているお金をすべて合わせた金額です。そのため「マネーサプライ」には国や金融機関が保有しているお金は含まれていません。

「マネーサプライ」の問題とは

マネーサプライにおける伸び率が重要

マネーサプライにおいて注目すべきことは、前年月から翌月までにどれだけマネーサプライが伸びたか、つまり伸び率が重要です。

伸び率が増えれば、資金が市場に多く出回ったことを示しているので、経済が活発になった、つまり景気がよくなったと言えます。その逆で伸び率が低下すれば、資金は市場に回っていないことから、経済活動が停滞、つまり不景気傾向であると言えます。

マネーサプライの伸び率の増加はインフレ傾向を招く

マネーサプライの伸び率が増えることは景気がよくなっていいことのように思えますが、伸び率の増加が加速すると資金が出回り需要が上がるので物価が高くなります。そうなればインフレとなるので注意が必要です。

インフレでは需要が上がって経済活動が活発になるというメリットがある一方で、物不足がとなり物価の上昇を引き起こすので国民の生活が苦しくなります。

反対に、もしもマネーサプライの伸び率が下がった場合には、物価が下がりデフレを引き起こす原因になります。

マネーサプライの適正水準を保つことが大切

マネーサプライの伸び率が増えすぎても下がりすぎてもよくないので、適正水準に保つことが大切です。この適正水準を保つために日本銀行は金利を上げたり下げたりします。

景気が高まりすぎた場合は、金利を上げてマネーサプライの伸び率を抑止します。景気が悪くなれば、マネーサプライを増加させるために金利を下げます。

金利とは利子のことで、お金を借りるときに派生する使用料のことで、金利が上がれば企業や個人が金融機関からお金を借りにくくなるため、マネーサプライの伸び率が抑えられますし、金利を下げればお金が借りやすくなってマネーサプライの伸び率が増えます。

短期金融市場をコントロールして金利に反映させる

金利の上げ下げをどのように行うのかと言うと、日銀は銀行同士がお金の貸し借りをしている短期金融市場で行います。短期金融市場でお金を回収することで金利を上げ、お金を供給することで金利を下げて金利をコントロールするのです。

「マネーサプライ」と「マネタリーベース」「マネーストック」との関係

「マネタリーベース」とは「すべてのお金」のこと

「マネタリーベース」とは中央銀行が供給する通貨のことです。日本で言えば、中央銀行とは日本銀行のことですので、日本銀行が供給するすべてのお金の合計で、世の中にあるすべてのお金の合計と言ってもいいでしょう。

中央銀行が供給する紙幣(日本銀行券発行高)と硬貨(貨幣流通高)、民間金融機関が中央銀行に預けてあるお金、つまり民間金融機関が中央銀行から引き出せる預金(日銀当座預金)を足した金額のことです。

  • マネタリーベース = 日本銀行券発行高 + 貨幣流通高 + 日銀当座預金

マネタリーベースは日銀が直接コントロールできる貨幣量ということから、「ベースマネー」や「ハイパワードマネー」とも呼ばれます。

「マネタリーベース」をコントロールして「マネーサプライ」を保つ

日銀はマネタリーベースをコントロールしてマネーサプライを適性水準に保ちます。

景気の均衡を保つためには、マネーサプライが適正水準を保つことが大切なので、日銀はマネタリーベースをコントロールしながら景気状況を見守っています。

「マネーサプライ」と「マネーストック」は同じ意味

「マネーサプライ」とは「マネーストック」と同じ意味です。なぜ二つの名称があるかと言うと、かつては「マネーサプライ」という名称が使われていたのですが、海外と表現を同じにするため2008年6月に「マネーストック」という名称に変わったという経緯があります。

マネーサプライが増加したときの影響は

ここではマネーサプライが増加したときに各方面でどのような影響を与えるのか見ていきましょう。

マネーサプライが増加するとき金利は低下する

マネーサプライが増加しているときは金利も下がり景気がいい状態です。しかしマネーサプライが増加しすぎるとインフレを招くので、日銀は金利を上げるようにコントロールします。

マネーサプライの増加は株価上昇の伸び率が減少

マネーサプライが増加すると景気がよくなるので、株価の上昇が抑えられて、インフレ傾向となり物価上昇となれば株価は上がると言われています。確かにマネーサプライは株価に影響していますが、株価はマネーサプライ以外の要因でも変動するので、マネーサプライの動向と株価が常に連動して変動するとは限りません。

マネーサプライの増加で金価格は上がる

マネーサプライが増加すれば金価格は上がると言われています。実際に近年の低金利により金の価格は上がり続けています。

まとめ

「マネーサプライ」とは経済で流通しているお金の合計のことです。マネーサプライが増加することで景気がよくなりますが、その状態が進むとインフレ傾向となります。日銀はそうならないようにマネタリーベースをコントロールしてマネーサプライが適正水準を保てるようにしています。