「後生」の意味と読み方とは?「後生大事」の四字熟語や使い方も

「後生の頼み」や「後生大事」などと使われる「後生」という言葉があります。その漢字からは意味が類推しにくい言葉であるため、意味がよくわからないという人も多いのではないでしょうか。

そこでこの記事では、「後生」の意味や読み方、使い方についてわかりやすく解説します。あわせて後生の言葉を用いた慣用句の由来や、後生の言い換え方についても紹介します。

「後生」の意味とは?

仏教における「後生」の意味は「来世」のこと

「後生(ごしょう)」とは、もともとは仏教用語で後の世のこと、つまり「後世(ごせ)」あるいは「来世(らいせ)」のことをいいます。

つまり「後生」とは、死後に生まれ変わることを意味します。この世に生まれる前の世である「前世(ぜんせ)」や、現在の生の世である「今生(こんじょう)」と対比される概念です。

さらに、死後に極楽浄土に生まれ変わることや極楽往生といった仏教の死の世界観とのつながりから、「後生」の語には来世での安楽を示唆する意味合いも含まれています。

意味が転じて「どうか頼む」と懇願する言葉となった

先に説明したように、「後生」には来世の安楽を示唆する意味合いが含まれており、仏教における大切な概念です。「後生を願う」とは、「極楽浄土を願う」という意味と同義です。

やがて、「後生を願う(極楽浄土を願う)」という意味が転じて、「どうか頼むから」という意味で「後生」の語が使われるようになり、一般的な言葉として定着しました。

例えば、「後生だから許して」「後生だからやめて」などといった、切に願う気持ちを表す使い方がされています。

「後生大事」は「非常に大切にすること」という意味

来世の安楽を願って仏道に励むことを「後生大事(ごしょうだいじ)」と仏教では表現しました。近世以降は、その意味が転じて「非常に大切にすること」という意味で一般的に使われるようになりました。

また、その経緯は不明ですが、「後生大事」は、非常に大切にすることについて揶揄したり、否定的な意味合いを持って使われることが多いといえます。

例えば、「捨てるべきものなのに後生大事に抱えている」などの使い方です。来世の安楽を願って仏道に励むさまを否定的にとらえる風潮があり、それが反映されたのかもしれません。

「後生」の読み方とは?

「後生」の読み方は「ごしょう」

「後生」の読み方は「ごしょう」です。仏教語としての「後生」と、一般的に用いられる「後生」はどちらも「ごしょう」と読みます。

「こうせい」と読む「後生」は「あとから生まれてくる人」の意味

「後生」は「こうせい」と読む場合があります。その際は違う意味の語として使われており、「あとから生まれてくる人」あるいは「あとから生じること」という意味です。例えば「後生(こうせい)に引き継ぐ」とは、「後輩(後進の者)に引き継ぐ」という意味で使われます。

しかし「後生」は一般的には、「どうか頼む」という意味の「後生(ごしょう)」として使われることが多いといえます。

「後生」の使い方と例文

「後生だから」は何かを懇願するときに使う

「後生だから」は、何かを懇願する時に使いますが、その願いが断られると大変な状況になるなど、切羽詰まった状況で使われることが多い表現です。そのような「後生だから」の使い方の例文を紹介します。「後生の頼みだから」と使うこともあります。

例文
  • ここで断られるともう立ち直れない。後生だから首を縦に振ってほしい
  • 本当に困っている。後生だから迷惑行為はやめてほしい
  • 生き残れるかの瀬戸際だ。これは後生の頼みだ。

「後生一生」は「一生に一度」という意味を四字熟語で表す

「後生一生のお願い」などと使われる「後生一生(ごしょういっしょう)」という四字熟語もあります。

「後生一生」とは、「現世、来世を通じて一度だけのこと」あるいは「一生に一度」という意味です。「後生だからお願い」の使い方と同様に、懇願する時に用いられます。

「一生に一度のお願いだからなんとかかなえてほしい」といった意味で一般的に使われています。

「後生大事」は否定的な意味で使われることが多い

「後生大事」は、誰かが何かを大切に持っていることを否定的な意味を含んで使われることが多い表現です。次のような例文が挙げられます。

例文
  • 価値のない物を後生大事に持っているのはナンセンスである
  • うちの母は、使うあてもないのに、あらゆる物を後生大事にしまっておく習慣が捨てきれない

「後生だから」の言い換え方とは?

懇願する時の言い換え方「そこをなんとか」「一生のお願いだから」

懇願する時に使う「後生だから」という表現は、「そこをなんとか」や「一生のお願いだから」などに言い換えることができます。

まとめ

「後生(ごしょう)」とは、もともとは仏教語で「来世」を意味する言葉です。仏教の世界観には、「極楽往生」「極楽浄土」といった、死後の来世に安楽を得るという考え方があり、「極楽浄土を願う」ことは「後生を願う」と同義です。

また、来世の安楽を願って仏道に励むことを「後生大事」ということから、何かを非常に大切にすることを「後生大事にする」と一般的に使われるようになりました。

さらに、極楽を願う意から転じて、何かを懇願する時に「後生だから」という表現が使われるようになりました。

また、本文では紹介できませんでしたが、仏教由来の言い回しに「後生が悪い」という表現もあり、これは来世の極楽往生もおぼつかないという意味が転じて、あと味が悪いという意味で使われる表現です。