ピンキリとはどっちが上なの?上下を表す言葉の意味と語源・類語も

「ピンキリですよね」「ピンキリありますから…」などのように、あらゆるシーンで「ピンキリ」という表現が使われます。一般的に値段や価値などのレベルを上下で表す言葉ですが、ピンとキリ、どちらが上なのでしょうか?

ここでは「ピンキリ」の意味と語源、使い方の注意点と例文、類語表現を紹介しています。どうぞ参考にしてみて下さい。

「ピンキリ」とは?

「ピンキリ」の意味は”最上級から最低まで”

「ピンキリ」の意味は、“最上級のものから最低のものまで”ということです。「ピンからキリまで」の略称です。ものごとに対してのクオリティーや内容などに対し、最高に良いものから最低のものを総称する表現の一つが「ピンキリ」です。

また「ピンキリ」には、ものごとの”最初から最後まで”また”頂点から底辺まで”という意味も持ち合わせます。

上下を表す「ピンキリ」はどっちが上?

「ピンキリ」とは、最高のものから最低のものを意味しますが、上を表すのが”ピン”で、下を表すのが”キリ”です。また、「最初から最後まで・頂点から底辺まで」も同様に”最初”や”頂点”が「ピン」で、”最後”や”底辺”が「キリ」となります。

「ピンキリ」の語源はポルトガル語

「ピンキリ」の語源はポルトガルの「ピン」と「キリ」から来ています。「ピン」は点を意味するポルトガル語の「pinta(ピンタ)」が語源で、サイコロの目の「一」を表すようになり、最終的に”始め・最上の”という意味へと発展しました。「キリ」は十字架を意味する「cruz(クルス)」が語源で、次第に「十」を表すようになり、最終的に”最後・最低”という意味になったと言われています。

そもそも、日本が海外貿易に盛んになった頃、ポルトガルから「天正かるた」が伝わり、遊びの中で1点を「ピン」、最後の札を「キリ」と呼んでいたことが直接的な由来となります。

また「一」を意味する「ピン」は、その他「ピン芸人」や「ピンポイント」などの熟語表現でも同じ意味で使われています。

「ピンキリ」の使い方と例文とは?

値段・レベルなどの上下を表す時に使われる

「ピンキリ」は値段やものごとのレベルの上限を表す時に使われます。たとえば「時計もピンキリあるからね」という会話では、時計の値段が最高に高いものから、最低に安いものまで色々ある、という意味となります。また会話の種類によっては、人気度の高いブランドから人気のないしょぼいブランドまでさまざま、という意味でも解釈できるかもしれません。

このように「ピンキリ」は値段や価値などを対象に使われることが多いですが、話し手によってはブランドやクオリティー、人気度など対して「ピンキリ」を使うこともあるでしょう。会話の方向性を見極めて「ピンキリ」を使っていくことが大切ですが、「値段(価格)がピンキリ」「クオリティーがピンキリ」「人気度もピンキリ」と、誤解を招かないように丁寧に言葉を足すと良いでしょう。

「ピンキリ」を使った例文

「ピンキリ」を使った例文をいくつかご紹介しましょう。

  • ホテル予約を頼まれたが、5つ星から1つ星までピンキリだ。
  • カイロプラクティックもピンキリで、一日で症状が改善される場合もある。
  • 「どんなスーツがありますか?」「それはもうピンキリですよね」
  • 一言でプロフェッショナルといっても、経験者から新人までピンキリだ。
  • ブランドにもピンキリあるから、あらかじめ彼女の好みのブランドを聞いておこう。
  • 時計の価格はピンキリだけど、今回は中間を選んでみてはどうだろうか?

「ピンキリ」の類語とは?

「ピンキリ」の正式な類語はありませんが、意味の近い言葉をあげてみましょう。

類語①「当たり外れ」とはものごとには良し悪しがある

「当たり外れ」とは、言葉通り”ものごとには当たることと外れることがある”という意味で、「ものごとには良し悪しがある・うまくいく時とうまくいかない時がある」というニュアンスで使われます。英語では「hit and run」と言います。

例文
  • 結婚はギャンブルなんて、まるで当たり外れがあるように言わないで。
  • 多少の当たりはずれはあるかもしれないが、福袋をいくつか買っておこう。

類語②「大小さまざま」とは大きさは色々

「大小さまざま」とは一つの括りの中は、サイズが大きいものもあれば、逆に小さいものもあるという意味です。ものごとのにはさまざまな大きさがあり、それが同じ領域の中に混在していることを指します。

例文
  • 展示されている天然石は大小さまざまのサイズがある。
  • 色とりどり、大小さまざまのケーキが店頭に並んでいる。

類語③「玉石混交」とは良いこと悪いことが混在する

「玉石混交(ぎょくせきこんこう)」とは、同じ場所に良いことと悪いことが混在していることを意味します。「玉」は良いことや優れたもの、「石」は悪いものや劣ることを表しますが、あらゆるものが混ざりあった状態ということで「カオス」を意味する時にも使われます。

例文
  • この雑貨店は玉石混交なアクセサリーがズラリと揃っている。
  • ガセネタが多いインターネット情報は、まさに玉石混交だと言えよう。

まとめ

「ピンキリ」とは”ピンからキリまで”を略した表現で、「最高から最低まで・最初から最後まで・頂点から底辺まで」という意味で、実際は江戸時代から使われるようになりました。現代では値段や価値、クオリティーやブランド製など、あらゆる物差しで「上下」を表す言葉として日常的に用いられています。

職場では能力や職務内容などあらゆるシーンにおいて、「幅がある」という意味合い使われることが多いと思います。「ピンキリ」は滑舌の良い表現ですが、元来は日本語ではなく、ポルトガル語が由来の外来語となります。ぜひ、知識の泉として覚えておきましょう。