「手紙を送る」「荷物を送る」など、日常生活に密着した言葉のの一つが「送る」です。職場では敬語表現で「送る」を使うことが増えますが、正しい使い方をしていますか?
今回は「送る」の敬語について、尊敬語、謙譲語をはじめ、送付や送迎などの関連語、「贈る」との違いなどを紹介しましょう。
「送る」の正しい意味と敬語は?
まずはじめに「送る」の正しい意味と敬語である「尊敬語」と「謙譲語」から見てみましょう。
尊敬語は「お送りになる」
「送る」の尊敬語は「お送りになる」「お送りくださる」「送られる」「ご恵送くださる」です。職場の上司、取引先、サービス業に携わっている場合はお客様、また第三者にも使うことができます。
- お客様、お荷物はお送りになりましたか?
- 捺印後、本社へ送られますか?
- これから書類をお送りくださるそうです。
この時、「お客様、お荷物はお送りになられましたか?」「これから書類をお送りになられるそうです」などと表現するのは不適切です。なぜなら「お送りになる」と「~される」の二重敬語になっているからです。これらの点だけ留意をし、ビジネスシーンでも美しい尊敬語を使うように心がけましょう。
謙譲語は「お送りする」
「送る」の謙譲語は「お送りする」「お送りいたす」「送らせていただく」です。「いたす」は「する」の謙譲語になり、相手を高い位置に置き、自分をへりくだるときに使います。例文をみてみましょう。
- 贈呈品を担当者にお送りします。
- 駅までお送りいたしましょうか?
- 弊社の最新版カタログを送らせていただきます。
この時、「贈呈品を担当者にお送りさせていただきます」「駅までお送りさせていただきましょうか?」などとと表現するのは適切ではありません。
正しい謙譲語の使い方は前述したようになります。正しく綺麗ににまとめて、相手に敬意を払いましょう。
「送る」の正しい意味
そもそも「送る」は「情報やもの届ける」「人材を役割をもたせて派遣する」「時間を過ごす」「付き添ってある場所まで見送る」など幅広い意味があります。「送り仮名をつける」という意味もあり、「仮名を送る」というような使い方もします。
「送る」はたくさんの意味を持ち合わせる言葉であり、職場でも使用頻度の高い言葉の一つでもあります。だからこそ、敬語を正しく使い分けることが大切なのです。
ものを「贈る」との違いは?
「送る(おくる)」と同じ読み方をする言葉に「贈る」があります。同じような意味合いで使う場合がありますが、双方の意味には違いがあります。
「贈る」には「感謝や祝いの気持ちを込める」「人に金品を贈呈する」「官位や称号などを授与する」という意味があり、「プレゼントを贈る」「お祝いの言葉を贈る」「館長の称号を贈る」というように使うのが適切です。
「プレゼントを送る」と「プレゼントを贈る」はどちらでも正しい使い方ですが、「気持ちを込めているのか」「純粋に送付するだけなのか」という送り手の状況によって「送る」「贈る」を使い分けて下さい。
「送る」を使ったシーン別の文章例
それでは「送る」を使った文章をシーン別で見てみましょう。
メールを送る
職場では社内メールや社外メールのやりとりが欠かせません。「メールを送る」は「メールを送信する」とも言い換えることができます。
- 資料と併せてメールをお送りになりましたか?
- 資料と併せてメールを送信されましたか?
- これから関連メールをお送りいたします。
- これから関連メールを送信いたします。
faxを送る
テクノロジーの開発が急速化する前から、ビジネスになくてはならない存在だったのが「fax」です。faxも電話番号を経由して相手に送ることができるツールであるため「faxを送信する」と言い換えることができます。
- 日程表のfaxをお送りになりましたか?
- 日程表のfaxを送信されましたか?
- 先ほど、faxを5枚お送りいたしました。
- 先ほど、faxを5枚送信いたしました。
書類を送る(送付する)
ビジネスでは重要な契約書、事業計画書、会議資料などの「書類を送る」機会も多いでしょう。書類を送るときは「送付する」と言い換えることもできます。
- 定型便で書類をお送りいただけますか?
- 今日中に書類をお送りいたします。
- 書類をお送りくださり、ありがとうございます。
車で送る(送迎する)
社会人になるとクライアントやお客様を駅や空港まで送ることもあるでしょう。車で送るは「送迎する」と言い換えることができます。状況に合わせて使い分けをしてみて下さい。
- 最寄りの駅まで車でお送りいたします。
- 空港まで送迎をさせていただきます。
- 車でお送りできれば、こちらも安心でございます。
生活を送る
「送る」の意味の中で「時間を過ごす」「時を刻む」があります。学生時代の恩人、お世話になった上司などに手紙やメールで近況を聞いてみるのもよいのではないでしょうか?
- 定年退職後はどのような生活を送っていらっしゃいますか?
- 新天地では楽しい生活を送られていますか?
- どうぞ、素晴らしい生活をお送りください。
まとめ
「送る」の尊敬語は「お送りになる」「送られる」「お送りくださる」「ご恵送くださる」、謙譲語は「お送りする」「送らせていただく」になります。社会人として取引先や顧客に使うべき「敬語」はしっかりおさえておきましょう。
相手の立場がとても高かったり、緊張してしまうと、ついつい尊敬語や謙譲語をさらに「丁寧」にしようと余計な言葉が入ってしまいがちです。「送る」をはじめ、正しい敬語を使って綺麗な会話を心がけるようにしましょう。