「盗人猛々しい」の意味と語源は?使い方と類語・外国語表現も紹介

「盗人猛々しい」ということわざは、ずうずうしく悪事をはたらく人に由来します。人を騙したり、悪い事をしたにも関わらず、知らんぷりで開き直るさまを表現するため、その様子を見た人が「お前が言うな」と思わず言ってしまいたくなります。

この記事では「盗人猛々しい」の意味や語源、使い方と類語を紹介します。英語・中国語・韓国語表現も参考にしてください。

「盗人猛々しい」の意味とは?

「盗人猛々しい」の意味は「悪事の後に平然としていること」

「盗人猛々しい」の意味は、“悪事をした後でも何もなかったように平然としているさま”です。人を騙したり、うそをついたり、悪事を働いていながら知らん顔でいることを指し、自分が第三者であるかのよう図々しい態度をとる様子を表現する言葉です。

また「盗人猛々しい」は、周囲から悪事を責め立てられてもしゃあしゃあとし、さらに周囲に噛みついたり、食って掛かるような様子を表します。人としての道理がなく、とんでもない性質の人を非難する意味で使われる言葉です。

「盗人猛々しい」と「お前が言うな」の関係は?

「盗人猛々しい」とともによく使われる表現が「お前が言うな」です。悪事をした人が平然とふるまっている様子に対して、それを見た周囲の人間が「それをお前が言うのか?」とリアクションを取るときのコメントとして出てきます。

「盗人猛々しい」の語源は「ずうずうしい盗人」

「盗人猛々しい」の語源は言葉そのものが表しています。まず、盗みを働くような人は人は良い人間とは言えません。ましてや、盗みを働いた後に図々しい態度を取るのもいただけません。

「盗人猛々しい」の「盗人」は”悪事を働く人”、「猛々しい」は”図々しいこと”を意味しています。ここから「図々しい盗人は、自分の罪すら認めず知らんぷりする」という意味に転じ、現在の意味で使われるようになりました。

「盗人猛々しい」の読み方は「ぬすっとたけだけしい」

「盗人猛々しい」の読み方は、「ぬすっとたけだけしい」または「ぬすびとたけだけしい」の2つとなります。

どちらも正しい読み方となりますが、一般的な読み方の傾向としては「ぬすっとたけだけしい」の方がポピュラーのようです。

「盗人猛々しい」の使い方と例文

不正行為に居直るような腹立たしいさまに対して使う

「盗人猛々しい」は不正行為を働いたり、よこしまなことをした時に、相手に謝る素振りもなく、憎々しく居直るような場面で使われます。

人間ですから過ちやミスをおかすことはあるでしょう。しかし、ここで悪気すら感じることなく、ぬけぬけと嘘をつき通したり、臆面なく平然な様子でいる時に非難の意を込めて放たれるのが「盗人猛々しい」です。

「盗人猛々しい」は、悪事をしたことを指摘した時に厚顔でいる人に向かって使うのが適切です。日常生活ではもちろん、職場や友人関係など、人が関係するあらゆるシーンで使われています。

「盗人猛々しい」を使った例文

  • 営業をさぼってパチンコをしている同僚を目撃した。まったく「新規10社開拓」と偽りの報告書を提出するなんて、盗人猛々しいとしか言いようがない。
  • 彼の携帯に浮気のやりとりを見つけてしまった。問いただしたら、盗人猛々しく「君が悪いんだ」と平然と開き直ったよ。
  • 当人猛々しいのもほどがある。会社の顧客ファイルを盗んでクライアントに横流しするなんて、まったくもって有り得ないことだ。

「盗人猛々しい」の類語

類語は「面の皮が厚い」「厚かましい」「臆面もない」

「盗人猛々しい」の正式な類語は見つかりませんでしたが、悪気を恥じず図々しいという意味で似た表現を見てみると、「面の皮が厚い」「厚かましい」「臆面もない」などが挙げられます。

「面の皮が厚い」は”厚かましく神経が図太いこと”、また「臆面もない」は”恥という言葉を知らないほど図々しい”という意味です。その他、悪事に対し平然としている様子を強調する時は「しらばくれる・自己正当化」などが言い換え語句として適切でしょう。

「厚顔無恥」は恥知らずで厚顔であること

相手の迷惑を考えず、恥知らずで厚顔であるさまを表現する四字熟語に「厚顔無恥(こうがんむち)」があります。自分のばかりを優先させ、厚かましく図々しいさまを表すときに使います。

例文
  • 私の部長は子会社の社員に無礼にも、厚顔無恥な態度を取り続けた。
  • 厚顔無恥とは言わないまでも、家族に迷惑をかけ続ける叔父の神経の図太さには呆れる。

「盗人猛々しい」の英語・中国語・韓国語表現

英語では「The guilty is audacious」

「盗人猛々しい」は英語のことわざ“The guilty is audacious”を使うことができます。意味は「相手を巧みに騙して利用する者は、始めから罪悪感がかけている」となりますが、正常な環境で成長していない人にまともな話をすることは到底無理で、逆にこちらが被害に遭ってしまう、という状況に反映してできたことわざとなります。また、純粋に図々しさや厚かましさを強調する場合は、「shameless」や「imprudent」を使いましょう。

例文
  • 彼の態度見て。まさに盗人猛々しいだよ。
    Look at his attitude. You know the saying “ The quility is audacious”?
  • 彼女はかなり図々しい。
    She is so shameless(or prudent)

中国語では「賊喊捉賊」

中国語の成語に賊喊捉賊(ぞくかんそくぞく)」という表現があります。直訳すると盗賊が悪事を働いた後に、逃げながら「盗賊を捕まえてくれ」と、まるで自分が第三者のように見せかけることを表しています。つまり、悪事を働いたにも関わらず、自分の非をごまかすためにしゃあしゃあと被害者に成り済まそうとすることを意味し、ずうずうしく開き直りることを指す言葉となります。

韓国語では「적빤하장」

「盗人猛々しい」は韓国語では“적빤하장(チョクバンハジャン)”と表現します。悪事を働いた時に何もなかったように開き直るさまを表しています。また、韓国では泥棒がむちを順序関係なく振るうことも意味しています。

まとめ

「盗人猛々しい」は「ぬすっとたけだけしい」「ぬすびとたけだしい」の二通りの読み方があり、「悪事を行ったにも関わらず平然としたさま」また「悪事を指摘され、相手に噛みついたり開き直ること」という意味があります。

「盗人猛々しい」が招く最悪のシナリオから学ぶことは、「悪いことをした時はすぐに謝る」ことでしょう。誰でもミスや過ちはおかすものです。大切なのは「心から反省し、改善すること」であり、そこから築ける人間関係もあるからです。

ぜひ、社会人になったら「盗人猛々しい」と陰口を叩かれないように、誠実に仕事を進めていくように心がけていきましょう。