何かを依頼したいときや、ありがたい気持ちを表す時など「助かります」や「助かりました」と言うことがあります。目上の人への敬語として問題ないのでしょうか?
ビジネスシーンでの「助かります」は言い換えて表現することをおすすめします。依頼のしかたや返事のしかたも紹介しますので参考にしてください。
「助かります」は敬語?
「助かります」は丁寧語
「助かります」は、「助ける」を「です・ます」に言い換えた丁寧語です。敬語として使用するのは問題ありません。
仕事上で使えるのは先輩まで
しかし、ビジネスの取引先や、目上の人、会社の上司などには用いない方がよい言葉です。なぜなら、「助かります」は相手の力添えがあることを前提とした、自分が主体の言葉であるため、上から目線のような印象を与える恐れがあります。
また、「助かります」は気軽な挨拶の言葉として用いられる言葉でもあるため、特にビジネス文書やメール、社内でも役職の高い人に対して使うと、失礼になることがあります。
そのため、会社内では同僚や部下、親しい先輩までに使う表現であると心得ておきましょう。
「助かります」の意味
「助かります」という言葉を正しく使うために、「助かる」と「助ける」の意味について理解しておきましょう。
「助かる」の意味
「助かる」の意味は次の2つです。
- 【危険や死からのがれる】
- 【負担や苦痛がなかったり、少なかったりして楽だ、ありがたい】
ビジネスシーンで「助かります」「助かりました」と言う時は、2の「ありがたい」「楽になった」という意味で使われることが一般的です。
「助ける」の意味
「助ける」の意味は次の2つです。
- 【力を添えて、危険や死からのがれられるようにする】
- 【力を添えて、事がうまくいくようにする】
「助かります」の使い方
「助かる」「助ける」の意味で確認したように、ビジネスシーンや仕事中に「助かります」と言う時は、「負担などがあるため、力を貸してほしい」「力を貸してくれてありがたい」という気持ちを表しているといえます。
「力を貸してほしい」「力を貸してくれてありがたい」という意味はそれぞれ異なっています。どのような状況で使うのかを整理します。
依頼の気持ちを表す「助かります」
何か援助を依頼したい、力を貸してほしい時の「助かります」は【依頼】の表現として使われます。
例えば大量のコピーを取らなければならない時に「半分お願いできれば助かります」などと同僚に依頼します。
感謝の気持ちを表す「助かります」
誰かが補助してくれた時や手を貸してくれた時は【感謝】の表現として使われます。例えば重い荷物を抱えていた時に、誰かがさっと補助してくれた時は「助かります」と感謝の気持ちを表現します。
「助かります」の類語や言い換え方
それでは上司に補助をお願いしたり、役に立つことを教えてくれたりした時、「助かります」と言いそうになったらどうしたらよいでしょうか?
「助かります」は失礼のない類語に言い換えることができますので紹介します。
感謝の気持ちは「ありがとうございます」
サポートや助言などを頂いた時は「ありがとうございます」と言うのがよいでしょう。
【例2】上司:「この本で勉強するといいよ」部下:✖「助かります」 〇「ありがとうございます。勉強させていただきます」
依頼の気持ちは「していただければ嬉しいです」「お願いします」
サポートや助言などをお願いしたい時は次のような言い方があります。
【例2】部下から上司へ ✖「書類に目を通していただければ助かります」 〇「書類に目を通していただくようお願いします」
メールでは「幸いに存じます」「有難く存じます」
取引先へのメールで依頼や感謝の気持ちを伝えたい時は、次のように言い換えることができます。
【例2】✖:ご賛同いただけるとのことで、大変助かります。 〇:ご賛同いただけるとのこと、大変有難く存じます。
「助かります」と言われた時の返事は?
相手に「助かります」と言われた時の返事はどのようにしたらよいのでしょうか?
「お役に立てて嬉しいです」
例えば重い荷物を抱えた同僚に「荷物を持ちましょう」と手を差し伸べたとき、「助かります!」と言われたら「お役に立てて嬉しいです」と言えたらスマートです。
メールでは「嬉しく思います」「幸いです」
メールで「助かりました」と書かれていた場合は、「お役に立てて嬉しく思います/嬉しく存じます」「お役に立てて幸いです/幸いに存じます」と返信することができます。
まとめ
「助かります」はコミュニケーションを取るための便利な言葉ですが、ビジネスシーンや目上の人に使うと失礼になることがあります。しかし、カジュアルな表現を逆手に取って、親しい上司などにあえて使うことで、親密な気持ちを表すこともできます。
いずれにしても、相手との関係性によって最適な言葉の選択が求められます。適切な言葉を使って良好な関係を保ちましょう。