「したためる」の意味と語源とは?漢字と使い方の例文・類語も解説

文章や言葉を書くことを敬語的に表現する時「したためる」を使うことはありませんか?あまり知られていませんが「したためる」にはその他にもいくつかの意味があり、さらに漢字表記も存在します。

今回は「したためる」が持つ複数の意味、使い方と例文、語源と漢字表記、類語表現について解説させていただきます。

「したためる」の意味と使い方の例文

「したためる」の意味1「文章を書く」

「したためる」の意味は「文章を書く」です。現代で最も使われる意味で、文章や手紙、メールや物語などのあらゆる文書を書くという意味で使われます。一般的に「文章を書く」ことを丁寧に、かつ敬語的に表したのが「したためる」となります。

例文
  • 田舎に住む母に手紙をしたためた。
  • 元旦には、今年の抱負を筆でしたためるのが恒例である。
  • 紹介状を先生にたしなめてもらうことはできませんか?
  • 和歌をたしなめて、かれこれ10年が経つ。
  • 彼女に改めてラブレターをしたためてみようと思う。

「したためる」の意味2「食事をする」

「したためる」は「食事をする」ことを意味します。たとえば、「夕食をとる」を敬語的な感覚で「夕食をしたためる」と言うことがあります。もちろん、家族や友達に対して「ランチをしたためた」とは言うのは適切ではありませんが、小説や舞台脚本などで、その風景を美しく連想してもらえるように、あえて「したためる」を使うことがあります。

「したためる」は「食事にがっつく」「食べ物をかっくらう」という乱雑な意味はなく「食事をいただく」「食事を召し上がる」という丁寧なニュアンスを持って使われます。

例文
  • 彼女はニッコリと微笑んだ後、美味しそうに食事をしたためた。
  • 遅い夕食をしたためるとしよう。私は馴染みの酒場にぶらりを立ち寄った。
  • 母は軽く食事をしたため、外出の準備を始めた。
  • 少しでも何かしたためていってはいかがですか?妻が電話口で優しくささやいた。

「したためる」の意味3「支度をする」

「したためる」には「支度をする」という意味も持ち合わせています。ある目的に対して準備や行うこと、ものごとの用意をすることを表す時に使われます。

例文
  • 会議が始まる前に資料をしたためておいて下さい。
  • 挨拶の口上をしたためておかないと、壇上で頭が真っ白になりますよ。
  • 結婚式で使う花束を、今からしたためておきましょう。
  • 事前にしたためておくべきものは、プレゼンに出席する方のリストである。

「したためる」の意味4「処理をする」

やや古い使い方となりますが「したためる」には「処理をする」「整理をする」という意味も持ち合わせています。源氏物語では「どんなことでも処理をして下さる」という意味で「万の事どもしたためせ給ふ」という一説があります。現代でも年配の方や、あえて丁寧な言葉遣いに気を配っている方に選ばれる綺麗な表現の一つです。

例文
  • 古い写真の束をアルバムにしたためておいてもらえませんか?
  • 引っ越しの荷物をしたためながら、故郷に思いをはせていた。
  • 思いを断ち切るように、彼からの手紙を引き出しにしたためた。
  • 部長は書類を軽くしたためた後、急ぎ足で家路へと向かった。

「したためる」の類語は?

ここでは「文章を書く」の意味での「したためる」の類語を挙げてみます。

「書き綴る」は「思いを連ねること」

「書き綴る(かきつづる)」とは、自分の思いや心に浮かぶものごとを、言葉を続けて文章にすることを言います。「綴る」とは言葉を連ねて物語風に仕上げたり、日記的な意味で文章を書くことです。脳裏に焼き付いた光景や、自然に浮かぶ言葉を次々とつなげていくのが「書き綴る」の意味となります。

例文
  • 故郷の両親に都会暮らしの心境を書き綴った。
  • 日々の思いを書き綴った自叙伝を発刊した。

「著述する」は「文章を書き述べること」

「著述する(ちょじゅつする)」とは、読んで字のごとく「文章を書き述べること」です。書物を書き表し執筆することを意味しますが、「したためる」と比べると文章が長く、どちらかと言えば冊子として発行する「書物」を意識したシーンでよく使われます。

例文
  • 出版社からの依頼でサイエンス本を著述することになった。
  • 著述する内容は現代社会のあり方についてである。

「記す」は「文字を書きつけること」

「記す(しるす)」とは文字をかきつけることや記録することを意味します。名前を記す、感想を記す、下記に記す、などあらゆる場面で多用できる表現で、「記載する」とほぼ同じイメージで使うことができます。

例文
  • この欄に住所と名前を記して下さい。
  • 今回の大会記録を記して、本部に提出しましょう。

「したためる」の語源と漢字表記とは?

語源は「したたか」「したし」など諸説ある

「したためる」の語源は「しっかりとした・粘りのある」という意味を持つ「したたか」を由来とする説、また「親しい」の元語「親し(したし)」に、性質や方向を示す「手(て)」を挿入し「したた」と転じ、そして接尾語「める」を付けることで動詞化したという説があります。こうした由来からも理解できるように「したためる」には手抜かりなくしっかりと準備・処理するという意味で使われていたとされています。

もともと「したためる」は古語の一つで、古くは源氏物語や平家物語の一説にも登場する表現です。

平安時代中期に執筆された蜻蛉日記(かげろうにっき)では、筆者の藤原道綱母が浮気性の夫との夫婦関係や家族の物語を和歌で綴り、「つれづれなるままに、したたむれば(寂しいと思いながらも、しかるべき処理をした」と謳っています。

また、旅に一生を遂げた俳聖・松尾芭蕉の「奥の細道」には「あすは故郷に返す文をしたためて」という文章もつづられ、故郷である伊賀を偲ぶ芭蕉の思いを伝えています。

「したためる」は漢字で「認める」と書く

「したためる」は漢字で「認める」と書くことがあります。一般的に目にするコラムや新聞記事、小説などでは「したためる」と平仮名で表記することが多いですが、昔に執筆された書籍や時代的な事象を説明する書物においては、あえて「認める」と漢字表記することもあります。

「認める」は周知の通り「みとめる」とも読むことができるため、読み方や意味合いにおいては文脈の内容から判断するしかありません。しかしながら「したためる」は現在では平仮名で表記することがほとんどとなりますので、書き手として「したためる」を表記する場合は、無理に「認める」と漢字変換をしないほうが良いでしょう。

まとめ

「したためる」は漢字では「認める」で複数の意味を持つ言葉です。一般的に知られるのは「文章を書く」となり、丁寧で敬語的な言い回しとして使われています。「したためる」は古語であるため、風流で粋な感じがするのが特徴です。そのため独特なムードを生み出す目的で歌詞や小説などでも好んで用いられています。

現代社会では次々に新しい言葉や言い回しが生まれていますが、あえて「したためる」などの古語を選んで会話やコミュニケーションに使うのも良いのではないでしょうか。