「下剋上」の意味と語源とは?使い方の例文と類語もあわせて解説

「下剋上」は歴史本や階級社会を語る場面で使われる言葉です。「上下」という言葉に「剋」という漢字が中央に入った3文字熟語ですが、正しい意味や語源をご存知でしょうか?

今回は現代の職場でもあり得るパワーのあり方「下剋上」にういて、意味と語源、使い方と例文、類語表現を解説します。

「下剋上」の意味と語源は?

「下剋上」は「下の者が上に勝ち権力を手にすること」

「下剋上」の意味は「下の者が上の人に勝ち、権力を手にすること」です。

もともと「下剋上」は、社会的に地位の低い者が、身分の高い人を実力で追い越して、権力をものにするという風潮を表しています。つまり、「下剋上」は現状の姿を否定し、本来の順番を逆転させるという言動を表す言葉となります。

「下剋上」は南北朝時代から戦国時代にかけて盛んに見られた光景で、厳しい階級制度の中で身分のない人が奮い立ち、自己の力で権力を握る上位の人を打ち倒すというものです。つまり「地位に潰されない」といった階級社会のあり方を打破するを時好を示す言葉となります。

「下剋上」の語源は「剋=耐え打ち勝つ」

「下剋上」の語源は、読んで字のごとく「下剋上」の3つの漢字の意味そのものなります。「上下」という文字の間にある「剋」とは「耐えて打ち勝つ」という意味があり、つまり、「下が上に打ち勝つこと」となります。

「下剋上」の使い方と例文

「下剋上」は現代でも実力重視の社会で使われる

「下剋上」と聞いてハラハラする人は、おそらく企業や組織で長年勤務をし、ある程度の地位や権力を手に入れた人ではないでしょうか?

昭和時代の企業の特徴でもある「年功序列」の風潮は、今や成果主義へと移行し時代とともに共に消えつつあります。海外の企業では当たり前の雇用基盤である「実力主義」が頭角を表し、国内でも「下剋上」が惜しげもの無く行なわれています。そのため、企業や組織などでも、古い言葉とされる「下剋上」が現代の表現のようにごく普通に使われています。

「下剋上」は惨いという意味で使うことも

職場での「下剋上」は、新人や経験の浅い人、下の地位にいる人にとってはチャレンジ精神をあおる言葉ですが、逆に長年に渡り同じ職場で勤務する人や役員クラスには、頭が痛くなるような言葉でもあります。いつ、立場や権力が奪われるかわからない…こういった風潮が許されるようになったのも、海外企業が示す成果主義や実力社会が、いかに効果的に利益を生むかという点に着目したから、だとも言えるでしょう。

日本の社会ではまだまだ「下剋上=惨い」という認識で言葉が使われることが多いですが、次第に「公平」「フェア」という表現に変わっていくのかもしれません。

「下剋上」を使った例文

  • 一流大学を出た新人が入ってきた。下剋上にならぬよう私も努力せねばならない。
  • 年齢の若いAさんが、年上のBさんを追い越して課長に昇進した。下剋上は容赦ない。
  • 下剋上の世界でやっていくことは、つまりモチベーションを上げ続けていくということだ。
  • 気の弱い部長が嘆いているのは、下剋上が実際に自分に起こっているからだ。
  • 家庭内で下剋上は惨いものだ。親への敬意や尊敬の念が微塵にも見られない。

「下剋上」の類語は?

「椅子を奪う」は「地位を奪回すること」

「椅子を奪う」とは自分より高い地位を奪回することを意味します。椅子は地位や座のことで、前任者を押しのけて、自分の地位として君臨することを指しています。

例文
  • こっそりと社長の椅子を奪う戦略を立てている。
  • 私の椅子を奪おうとするなんて、数年早い。

「のし上がる」は「他を抑えて一挙に上がる」

「のし上がる」とは、他を抑えて高い順位や一に上がることを意味します。純粋に上がるのではなく、「のし上がる」と表現することで、他を押しのけて自分が一挙に上にのぼることを強調しています。

例文
  • 日本の医師が海外の医療現場でトップにのし上がっていた。
  • エリート街道をのし上がるように、早々と開発部長のタイトルを得た。

 「簒奪する」は「実権を奪い取ること」

 「簒奪する(さんだつする)」とは、政治や帝国主義の世界で、他の者が実権を奪い取ることを意味します。主に、帝王や君主などの非常に階級を、下の者が強引に奪い取る様子を表す時に使われます。現代でも「略奪」を意味する比喩的な言い回しとして使われることがあります。

例文
  • 君主を倒すため、家臣が冠を簒奪する計画を立てた。
  • 王位を簒奪され、国が大きく揺れた。

「下克上」の言葉に関する歴史

「下剋上」は時代の代名詞ともなった表現

「下剋上」が勢いを増した鎌倉時代以降を見ると、大波乱を招いた建武新成での混乱を記した二条河原落書には「下剋上する成出者」という記述もあります。また「大乗院寺社雑時記」には、農民一揆を評価する「下剋上の至りなり」という言葉も見られます。

このように、室町時代から鎌倉時代後半まで、領主への怒りをぶつけた農民一揆や、家臣が主家を倒し、守護大名や戦国大名へとのし上がっていった「下剋上」の風潮が多く生まれました。そのため、「下剋上」は戦国時代を表す代名詞ともなったのです。

「下剋上」は消滅させたのは織田・豊臣コンビ

「下剋上」の風潮が時の代名詞になるも実際はそう長くは続かず、絶対的な権力を持つ二人の武将の登場で「農民や家臣は下級、将軍や武将は上級」と順番は元に戻ってしまいました。支配階級を打ち破り、農民や家臣が階級の順番を逆転させる「下剋上」は、戦国時代の立役者、織田信長と豊臣秀吉によって消滅させられてしまったのです。

まとめ

「下剋上」は南北時代から戦国時代にかけて使われた言葉で、地位の低い農民や家臣が、上位の地主や殿様・武将を実力で倒し、権力を手に入れる風潮を指します。現代社会でも企業や組織において実力主義や成果主義が導入され、「惨く」また「公平」に「下剋上」が行なわています。

職場で「下剋上」という表現を耳にするとドキっとすることもあるでしょう。しかし未来の企業のあり方に「下剋上」は確固として存在し、当たり前の事象となって君臨してくるのかもしれません。