「乞うご期待」は連載ドラマや小説の一番最後で登場するお決まりの言葉の一つです。普段は軽く聞き流す程度ですが、このフレーズがないと「次回はないの?」と思う人もいるでしょう。
今回は「乞うご期待」の意味、使い方と注意点について解説します。敬語でどう使えばいいのか、類語・言い換えもご紹介しましょう。
「乞うご期待」の意味とは?
「乞うご期待」の意味は”期待していて下さい”
「乞うご期待」の意味は、“どうぞ期待していて下さい”です。ドラマや小説、漫画などの読者や視聴者に対して使われる決まり言葉です。相手に期待しているように丁寧に伝える表現で「次回の内容や展開を楽しみにしていて下さい」と思いを込めて放たれる言葉となります。砕けた形で言えば「期待していてね」といったニュアンスです。
「乞う」とは”他人に願い望む”という意味がある
「乞うご期待」という決まり言葉を理解する上で大切なのが「乞う」の部分です。「乞う」には、もともと他人に願い望むという意味があり、ものを与えてくれるように相手に求めることを表現する言葉です。
言葉はあまり良くありませんが、「乞」という漢字は「物乞い=ものを求める」や「乞食=食べ物を求める」等で使われ、他人に懇願して何かを与えてもらうというニュアンスで使われています。「乞うご期待」も然りで、言葉を正確に訳すなら「期待をするように相手に求める」となります。
「乞うご期待」の使い方と注意点
「乞うご期待」はビジネスで人の期待をあおる時に使う
「乞うご期待」を使うシーンは映画や漫画の世界だけではありません。ビジネスシーンでは周囲に自分の成果をアピールしたり、注目を集めたい時に使うことががります。
たとえば、ビジネスレターやプレゼンの案内状に「乞うご期待」という表現を使うだけで、受け手はワクワクし「何だか楽しみだ」という気持ちになってくるでしょう。ビジネスでも「乞うご期待」の一言を賢く活用するだけで、金銭を欠けなくてもしっかりと販促の役目を果たしてくれるのです。
「乞うご期待ください」は間違った敬語表現
「乞うご期待」は、言ってみれば「期待しろ」という命令口調の言い回しを、尊敬の意を示す「ご」を付けて丁寧にした表現です。そのため、目上の人や年配の方などに使う時「乞うご期待ください」と「ください」を付け加えてしまうことがあります。
この場合「乞うご期待」ですでに敬語表現になっているため、「ください」を付けてしまうと二重表現となってしまいます。「乞うご期待」と言いきりのカタチでも相手に失礼にはあたりませんので安心しましょう。
「乞うご期待」を使った例文
- 秋物の新作を多数入荷いたしました。乞うご期待!
- 乞うご期待。詳細は追って連絡をいたします。
- 次回のイベントに乞うご期待!出展ブースも増設する予定です。
「乞うご期待」の類語・言い換え
「乞うご期待」の類語は「次回もお楽しみに」「続きは来週」
「乞うご期待」と言い換えのできる類語は意外と多くあります。「乞うご期待」は次回への視聴や次号の購入につなげる重要なメッセージとなる部分です。制作者の意図を表す言葉に最も近い表現を使って丁寧に表していきましょう。
- 次回もお楽しみに
- 続きは来週
- 来週も見てね
- それではまた来週
- 絶対見てね
- お見逃しなく
「延頸挙踵」は人やものごとの訪れを待ちわびること
「乞うご期待」とは、意味を広く解釈するならば、人が何かに期待をして待ち望むことでもあります。四字熟語の「延頸挙踵(えいけいきょしょう)」は、人の訪れやものごとの到来を心待ちにすることを意味しています。もともと、優秀な人物の出現を待ちわびるという意味を持ち、首を長く伸ばしつま先立ちになって、その時を待ちわびるという意味で使われています。
ドラマや劇などの最後のフリップで使われることはないかもしれませんが「ワクワクとした待ちきれない気持ちを表現するにはピッタリの四字熟語です。
「乞うご期待」の中国語と英語表現
「乞うご期待」は英語で”Don’t miss it”や”Stay tuned”など
英語でも「乞うご期待」と似たようなフレーズがあります。日常的によく使われるのは「Don’t miss (見逃さないで)」や「Stay tuned(このままでいてね)」などです。これらはテレビやラジオ番組で頻繁に登場する定型フレーズで、意味はまさに「乞うご期待」となります。その他、「Stick around(このままでいてね)」「Don’t go away(他には行かないで)」などがあります。
「乞うご期待」は中国語で”敬請期待”
中国ではショッピングセンターやホテルのグランドオープニングや、レストランやカフェなどの新装開店において、広告や入口などに「敬請期待( jìng qǐng qī dài)」という定型表現を掲げているのをよく目にします。「乞うご期待」と同じで「期待して下さいね」と意味となり、顧客や通行人に「お待ちしております」という敬意を示す言葉として好んで使われています。
まとめ
「乞うご期待」は連載物のドラマやドキュメンタリーなどのテレビ番組をはじめ、小説や漫画、舞台などの最後の部分で使われる決まりフレーズです。読み物ばかりではなく、新作発表でのシーンや、リニューアルオープンでの広告宣伝など、相手に「どうぞ期待していてください」とメッセージを投げかける時に使われる表現となります。
ビジネス的な視点からも「乞うご期待」は相手の想像力や期待感を膨らませることができる他、継続して読者や顧客との接点を保つために欠かせないフレーズとして君臨しています。
しかし、クライアントや顧客に丁寧に伝えようとするあまり「乞うご期待ください」と末尾に「ください」を付けてしまうのは間違った使い方となります。ビジネス環境では言葉の使い方はマナーの一つです。ぜひ、些細なことで恥をかかないように正しい表現を適切なシチュエーションで活用していきましょう。