「鉄火場(てっかば)」という言葉をご存知でしょうか?日常生活で使うことはあまりありませんが、パチンコや株式市場など、人々の熱気が集まる場所を表す言葉でもあります。
今回は「鉄火場」の意味と語源を始め、使い方と例文、類語表現について解説をさせていただきます。意味を理解する際には、ぜひ鍛冶場で打たれる真っ赤な鉄をイメージしてみて下さい。
「鉄火場」の意味と語源とは?
「鉄火場」の意味①鍛冶場
「鉄火場」の意味は、“鍛冶場”や“製鋼所”です。読んで字のごとく、鉄を火にかけて熱する場所のことです。「鍛冶場」では熱した鉄をカンカンと叩きながら、刃物や工具、農具などを希望に合わせて成形したり、また修理をしていく場所を指しています。もともと「鉄火」には熱した鉄という意味があります。
「鉄火場」の意味②賭博場
「鉄火場」にはギャンブルをする場所“賭博場”の意味があります。日本国内ならパチンコや麻雀など、また海外ではカジノ場を指します。ルーレットやブラックジャックなどの賭け事に夢中になる人は、心も体も火で熱くなった鉄のように燃え滾ることでしょう。まさに、鉄火場のように化してしまうのが特徴です。
「鉄火場」の意味③戦場のような場所
「鉄火場」には“戦場、または戦場のような場所”のたとえとしても使われます。戦争が行なわれている場所は激しいぶつかり合いや闘いが余儀なくされています。このように、戦争そのものを含め、一般的な社会においても猛然と荒々しく人々が争闘する場所のことを「鉄火場」と呼んでいます。
「鉄火場」の語源は”真っ赤に焼けた鉄そのもの”
「鉄火場」は元来”鍛冶場”を表す言葉です。そして燃えるように真っ赤になった鉄の状態や、仕事に夢中になる職人の姿から「人がものごとに夢中になり、熱くなっていること」を表すようになったと言われています。
また「鉄火」には”気性が荒々しい”という意味があり、転じて「戦場のような場所」また「ものごとや人と激闘している状況のたとえ」として使われるようになりました。加えてギャンブル場やカジノを「鉄火場」と呼ぶのは「プレイヤーが熱狂し賭け事に熱中することから」という説と、賭博は金を失うことから「鉄(金+失)」で「鉄火場」となった、という説があります。
「鉄火場」の使い方と例文とは?
「まるで鉄火場のように」はよく使う言い回し
「鉄火場」を使う言い回しで好んで使われるのが「まるで鉄火場のように…」です。
「鉄火場」は上記でもご説明しましたように、戦場のように激しい状況をたとえる言葉として使われるため、たとえば意見の対立したカップルや上司と部下、親子喧嘩など、相手に牙をむいて奮戦している模様を「まるで鉄火場のように」という言い回しで使うことがあります。
株の「鉄火場相場」とは短期勝負の危険な売買のこと
株式や金融市場でも「鉄火場」という言葉が使われています。「鉄火場相場」とは、ギャンブルような相場のことを指し、投資家が短期間で結果を出そうとする危険な投資行動を表しています。株式理論や市場動向、常識を度外視する短期勝負となるため、相場の乱降下が激しいマネーゲームとして知られています。
「鉄火場」を使った例文
「鉄火場」を使った例文をいくつかご紹介しましょう。
- 鉄火場に入る前に、防火用のヘルメットをかぶって下さい。
- せっかく海外に来たのだから、ちょっくら鉄火場でひと稼ぎしてみるか?
- 週明けのストックマーケットは予想外に荒れ、まるで鉄火場のようになった。
- 鉄火場とは、現カレと元カレが繰り広げる、熱いバトルのことを言う。
- 我が営業部は人事部や経理部とは異なり、まるで鉄火場のようにぶつかりあう環境である。
「鉄火場」の類語とは?
ここでは「戦場のような場所や状況」という意味での「鉄火場」の類語を挙げていきます。
類語①「修羅場」とは戦乱で悲惨を極めた場所
「修羅場」とは、もともと戦乱で悲惨を極めた場所のことを意味します。転じて、闘争や戦いの中で、誰かが傷ついたり、泣きを見るような最悪の状況のたとえとしても使われています。
- 賃金値上げの交渉で、社員と組合側が激しい修羅場を迎えている
- 修羅場とは、男女の仲でもはや言い訳が通用しない危険な状態のことだ。
類語②「突貫」とは敵地へ猛攻撃すること
「突貫」とは、敵の戦線を破り猛攻撃を与えることを意味します。敵地へ乗り込み、威勢よく闘いを挑むさまを表す時に使われます。よく知られるのは「突貫工事」ですが、この場合の「突貫」は就き通すこととなり、転じて「無理をしてでもやり遂げる」という意味で使われています。
- 突貫とまでは言わないが、競合会社が類似商品を半額で売り始めた。
- 我が営業部隊が、只今からライバル会社へ突貫を行使してまいります。
類語③「バトルフィールド」とは戦場のカタカナ語
「バトルフィールド(battle field)」とは、英語の戦場のことで、カタカナ語としても戦闘もののゲームや歴史本などで見聞きするフレーズです。たとえば、職場や家庭を戦場にたとえ「バトルフィールド」などと皮肉たっぷりに言うこともあります。
- 職場はもはやバトルフィールド。24時間戦えますか?
- 子供が5人もいると、家庭はまるでバトルフィールドのようである。
まとめ
「鉄火場」には”鍛冶場・賭博場・戦場のような場所”という大きく分けて3つの意味があり、「真っ赤に燃え焼ける鉄」や「鍛冶場で打ち付ける職人が夢中になり、熱が入る」という語源説のほか、「金を失う=鉄」と解釈し、カジノや賭博場を意味するようになったという説も伝えられています。
職場が鉄火場になるのは、忙しい証拠でありますが、ひとたび上司と部下が言い合いになったり、同僚同士が会議で対立した際は、目も当てられないような激しい攻防戦が繰り広げられていることが想像できます。ぜひ、誰かが火消し役になって、燃え滾る炎を鎮火させていきましょう。