「無用の長物(むようのちょうぶつ)」とは「役に立たないどころか邪魔であること」を意味することわざです。「無用の長物」の読み方が分からず、「むようのながもの」と読んでいる人もいるのではないでしょうか?
「無用の長物」の語源や使い方の例文のほか、類語と英語表現も解説します。また、類語として誤用されやすい「宝の持ち腐れ」との違いも確認してみてください。

目次
「無用の長物」の意味とは?

「無用の長物」の意味は「役立たず」
「無用の長物(むようのちょうぶつ)」とは「役に立たないどころか、あるだけで邪魔になるもの」を意味することわざです。「無用」が「いらないこと」を、「長物」が「長すぎて役に立たないもの」転じて「無駄なもの」をそれぞれ意味します。
「長物」の読み方は「ながもの」ではなく「ちょうぶつ」
「無用の長物」の読み方は「むようのちょうぶつ」です。「長物」は「ながもの」とも読めることから「むようのながもの」と読み間違えないよう注意しましょう。
「無用の長物」の語源は仏教にある
「無用の長物」の語源は仏教にあります。仏教では出家するときの荷物の数が決められており、原始仏教では6個、大乗仏教では18個の物のみで生活をします。それぞれ「六物(ろくもつ)」「十八物(じゅうはちもつ)」と呼び、それ以外の物を「長物」と呼んでいたのです。
「長物」の「長」は「長い」ではなく、「超える」という意味合いで使われており、本来持つべき数を超えたことを表します。元々の「必要ではない物」という意味が転じ、「持っていても邪魔になる」「役立たず」という意味で使われるようになったのです。
「無用の長物」の使い方と例文

「役立たず」「邪魔」なものへ使う
「無用の長物」は「役に立たないもの」「邪魔なもの」に対して使用されます。たとえば、どれだけ高性能のパソコンがあっても、使える人がいなければ場所をとるだけで何の役にも立ちません。上記のように役に立たないどころか邪魔になっているものを、「無用の長物」で表します。
知識のない者からすれば、無用の長物でしかない
意味:知識のない者からすれば、役に立たない邪魔なものでしかない
「無用の長物だ」「無用の長物である」のように表す
「無用の長物」は「無用の長物だ」「無用の長物である」のように使います。単に役に立たないものを表すだけでなく、場所をとったりして邪魔になる状況を表します。
・無用の長物だと言うが、わたしにとっては意味のあるものだ
・どれだけ優れていても、この家には無用の長物である
「無用の長物」を使った例文
- 親機を買わずに子機だけを買うなんて、無用の長物じゃないか
- 万里の長城は世界三大無用の長物の1つと言われている
- 現役を引退した自分にとっては無用の長物だ
- 今は役に立つかもしれないが、数年後には無用の長物になるだろう
「無用の長物」の類語

「無用の長物」の類語は「月夜に提灯(ちょうちん)」
「無用の長物」と似た意味をもつ言葉(類語)には「月夜に提灯(つきよにちょうちん)」が当てはまります。「月夜に提灯」とは「役に立たず、不必要なこと」を意味することわざです。月夜がでている夜に提灯は必要ないことから、転じて「必要ない」「役に立たない」という意味で使われます。
「無用の長物」とは「役に立たない」という点で類似しているため、言い換えてみましょう。
- 夏になってまでコタツを出しているなんて、月夜に提灯もいいところだ
- 晴れているのに傘をもっている状況は、まさに月夜に提灯だ
「宝の持ち腐れ」とは意味が異なるので要注意
「宝の持ち腐れ」ということわざと「無用の長物」は意味が異なるため、混同しないようにしましょう。「宝の持ち腐れ」とは「役に立つものや才能をもっているにも関わらず、使いこなせていないこと」を意味します。
「役に立っていない」という点では類似していますが、「無用の長物」のように「あるだけで邪魔になる」という意味はありません。
- 「無用の長物」…役に立つどころか、あるだけで邪魔になること。
- 「宝の持ち腐れ」…ものや才能を使いこなせていないこと。
「無用の長物」の英語表現

「無用の長物」は英語で「Useless stuff」
「無用の長物」の英語表現には「Useless stuff」が適しています。「Useless stuff」は「役に立たないもの」を意味しており、「Useless」が「役に立たないこと」を、「Stuff」が「もの」を表します。
Nobody uses it, it’s useless stuff.
意味:こんなもの誰も使わない、無用の長物だ
また、「白い象」を意味する「White elephant」も「無用の長物」を表します。白い象を神聖なものとして扱っているある国の王が、家臣へ嫌がらせとして象を与えました。よく食べる大きい象を飼育するには大金と広大な土地が必要です。
困った家臣ですが、神聖な動物がゆえに簡単に手放せないことから「あるだけで邪魔になる無用の長物」として使われるようになりました。
まとめ
「無用の長物」とは「役に立たないどころか、あるだけで邪魔になるもの」を意味することわざです。「無用の長物だ」や「無用の長物である」のように使う「無用の長物」ですが、「むようのながもの」と読み間違えないよう注意が必要です。
「無用の長物」以外の表現を使いたい場合は、類語の「月夜に提灯」へ言い換えてみましょう。