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「アンビバレンス」の意味とは?心理学との関係と例文・類語も

「アンビバレンス」という言葉に聞き覚えはありませんか?心理学用語としても注目されるカタカナ語で「好きと嫌い」が両方存在するような状態を表す時に用いられる表現です。

ここでは「アンビバレンス」の意味を中心に、言葉の使い方の例と類語表現をわかりやすく紹介させて頂きます。

「アンビバレンス」の意味とは?

「アンビバレンス」の意味は”愛憎感情”

「アンビバレンス(ambivalence)」の意味は、“愛憎感情”のことです。人が持つ思考や興味などにおいて、二つの対立した感情が同じ時期に存在することを指す言葉です。つまり、ある一つの対象において、「愛と憎しみ」のような気持ち、「好きである反面嫌いでもある」というような感情を指します。

「アンビバレンス」の形容詞系「アンビバレント(ambivalent)」は人気アイドルの楽曲のタイトルとしても選ばれ、心理学でも複雑な意義を持つカタカナ語として世間に一気に広まりました。人が無意識のうちに抱く自然な心の現象の一つ、それが「アンビバレンス」なのです。

「アンビバレンス」の語源はドイツ語”ambivalenz”

「アンビバレンス」はドイツ語の”ambivalenz(アンビヴァレンツ)”に由来しています。意味は「両面価値」や「両価性」、または「両価感情」のように訳されていますが、正式な定訳はありません。

もともとスイスの精神医学者Eugen Bleuler(Eブロイラー)が使い始めた用語で、本能的に、また本質的に相反する傾向や性質を同時に併せ持つことを説いたものです。ブロイラーはフロイトの精神分析に関連した研究でも知られ、心理学では著名な人物となっています。

「アンビバレンス」と心理学の関係は?

「アンビバレンス」は心理学でも必須用語の一つ

「アンビバレンス」は前述でご説明した通り、心理学に深いかかわりを持つ言葉の一つです。相反する心理が両立する特異な感情のことですが、現代では人間関係を良好に保つための心理療法としても活用されている分野でもあります。

人は誰でも二面性を併せ持っている、その点に着目し人間関係の改善に役立てています。

相反する2つの心情「アンビバレンス」の例

誰もが持つ「アンビバレンス」の例を挙げてみます。

  • 外では太陽にように明るくても家に戻れば萎れたバラのように大人しくなってしまう。
  • 甘党でケーキは大好きだけど、太るから食べたくない。
  • 新作の映画を見たいけど、電車に乗るのが面倒だから行きたくない。

このように、人は二つの相反する心情を持ち合わせているものです。たとえば、表向きが暗い人に「人嫌いでしょう」と言っても落ち込むばかりです。そこを「気が合う人がいれば、よく喋るでしょう。」と裏を返して言ってみると、「この人は私の事を分かっている」とホッとするものです。

「好きだけど嫌い・したいけどしたくない・欲しいけど欲しくない」といった、アンビバレンスの特徴を読んだ心理療法が注目されています。

「アンビバレンス」の使い方と例文

「アンビバレンス」は恋愛事情や人間関係で使われる

「アンビバレンス」は”愛憎感情”のことですが、やはりよく使われるシチュエーションは恋愛事情や人間関係になります。

たとえば、浮気をした彼のことが許せず憎しみで溢れているのに、心のどこかでまだ好きな気持ちが見え隠れしている、また上司と仲良くやって行きたいのに、意地悪な性格がどうしても好きになれない、と言った事象が「アンビバレンス」の例です。

恋愛や職場の人間関係で悩んでいる時に「アンビバレンスで心が揺れている」「アンビバレンスがストレスの原因になっている」というような使い方をすると、相手も「愛憎の狭間で苦しんでいる」と心情をつかみ取ってくれるはずです。

「アンビバレンス」を使った例文

  • 仕事は好きだが辛く辞めたい時もある。アンビバレンスの狭間を行き来する私がいる。
  • 二重人格と言われるが、これも一種のアンビバレンスの表れだ。
  • 恋愛感情は表裏一体だが、これもアンビバレンスが関連しているのかもしれない。
  • 新作の服を買うか、買わないか、しばらくの間よくあるアンビバレンスに悩んだ。

「アンビバレンス」の類語

「相反性」とは互いが反対の関係にあること

「相反性(そうはんせい)」とは互いが反対の関係にあり、対立していることを意味します。一つの事象が真逆の関係を持つさまを表す時に使われます。

例文
  • 一つの開発案に対して、相反性のある意見が出ている。
  • 食べ物の好みは、人によって明らかに相反性があると言える。

「愛憎こもごも」とは好きと嫌いが並存するさま

「愛憎こもごも」とは、好きと嫌いが並存することを言います。一つのものや人に対し、同時に好きでありながら嫌いでもある、といった感情を持つことを指しています。同義語に「愛憎半ば(あいぞうなかば)」があります。

例文
  • 愛憎こもごもだけど、結婚したら割り切るのも大切だよ。
  • 子供の反抗期に思うのは、愛憎半ばであるということだ。

まとめ

「アンビバレンス」はドイツ語が語源で派生した言葉で「愛憎感情」や「両面価値」などの意味を持つ言葉です。心理学でも活用される分野で「好きな反面嫌いでもある」「やりたいけどやりたくない」といった、一つの事象に対して相反する感情や気持ちが両立している状態を指しています。

歌詞で記された「アンビバレンス」ように、人の感情は裏腹で周囲からは読み取れない深い部分があります。誰もがごく普通に抱く「愛憎感情」は、属にいう優柔不断や気分屋とは異なり、どのシチュエーションで、どの自分が登場するかで違ってくるものなのです。

カタカナ語の中でも注目の「アンビバレンス」。ぜひ、好きと嫌いが交差する感情を上手に使いこなしてみてください。