「腑に落ちる」の意味とは?使い方の例文と類語・対義語も解説

なるほどと納得がいくことを「腑に落ちる」と表現します。「腑」とは内臓のことですが、内臓に落ちるとはどのような意味を表しているのでしょうか?

この記事では、「腑に落ちる」の意味や語源の「腑」との関係を解説します。あわせて使い方と例文や、類語、対義語、英語表現についても解説しています。

「腑に落ちる」の意味と語源とは?

「腑に落ちる」の意味は”納得がいく”

「腑に落ちる」の意味は、“納得がいく・合点がいく・理解できる”ことです。

ある事柄について理解しようとあれこれ考えたのち、理解の糸口が見つかり、心の底から納得した、なるほどと合点がいった、といった気持ちを表現する時に使われる慣用句です。「その一言を聞いて、すっと腑に落ちた」などの用い方です。

語源の「腑」とは”臓腑・はらわた”のこと

「腑に落ちる」の「腑」とは、”臓腑”つまり「内臓・はらわた」のことです。古い時代には「腑」には心が宿ると考えられていました。「腑に落ちる」とはつまり”心の底に落ちる”という意味であり、頭だけでなく、身体全体で深く納得できたという感情を表します。

怒りをおさめられない時に「腹に据えかねる」と表現したり、おいしいものを食べたり飲んだりした時に、「五臓六腑にしみわたる」などと表現するように、深い感情を身体に落とし込む表現が日本語には多くあります。

「腑に落ちる」の使い方と例文とは?

「腑に落ちる」はしっかりと納得できた時に使う

「腑に落ちる」は、単に理解したという時ではなく、なるほどそうかとしっかりと納得できたという時に用います。

「腑に落ちる」を使った例文

「腑に落ちる」を使った例文をご紹介しましょう。

例文
  • ふと目にした格言がすっと心に入り、腑に落ちるのを感じた
  • 有名な哲学者の名言はさすがに腑に落ちることが多い
  • 彼の発言の意図がわからなかったが、その発言に至った背景を聞くと腑に落ちるところがあった

「腑に落ちる」の類語とは?

納得がいくという意味の「合点がいく」

「合点がいく(がてんがいく)」とは、”納得がいくこと・事情などがわかること”という意味です。「承知」という意味の”合点(がってん)”の音が変化して「がてんがいく」と発音するようになったものです。

「的確な説明を聞いて、なるほどと合点がいった」などと、ある事柄の整合性がとれた時などに、なるほどそういうことか、といった気持ちを表現します。「腑に落ちる」と同じ意味で使われます。

「腑に落ちる」と同じ表現と意味の「腹に落ちる」

「腑に落ちる」と同じように身体の内臓をたとえとして使う慣用句に「腹に落ちる(はらにおちる)」があります。「腑に落ちる」と同じく”なるほどそうだと思う・納得する”という意味です。

「腹(はら)」とは、胸の下にある、胃や腸を納める部分のことを指します。つまり「腑」が収まっている部分であるため、「腑に落ちる」も「腹に落ちる」も落ちる場所は同じであるといえます。

「腑に落ちる」の対義語とは?

「腑に落ちる」の対義語は”腑に落ちない”

「腑に落ちる」の対義語は”納得がいかない・合点がいかない”という意味の「腑に落ちない」です。「腑に落ちる」という肯定形よりも、ある事柄について納得できない時に「腑に落ちない」という否定形の表現が多く使われているようです。

「腑に落ちる」は”腑に落ちない”の誤用だという説は誤り

「腑に落ちない」という否定の表現の方が多く用いられることから「腑に落ちる」は「腑に落ちない」の誤用だという説もあります。しかし古い時代から「腑に落ちる」も使われていたことがわかっており、「腑に落ちる」が掲載されている辞書もあります。

伝統的な使い方として、肯定形では「腹に落ちる」、否定形では「腑に落ちない」の表現が多く使われてきたという流れがあるようですが、「腑に落ちる」が誤用であるとの説は誤りであるといえます。

「腑に落ちる」の英語表現とは?

「腑に落ちる」は英語で”understand”

「腑に落ちる」(納得がいく、合点がいく)は英語で”understand”や”be convinced”などと表現します。

  • 腑に落ちないことが幾つかある。
    There are few things that I don’t understand.
  • 私は彼の説明を聞いて腑に落ちた。
    I was convinced by his explanation.

まとめ

「腑に落ちる」とは、なるほどそうかと納得がいった時に用いる慣用句です。「腑」とは内臓のことで、「五臓六腑」というときの「六腑(大腸・小腸・胃・胆・膀胱・三焦)」を指します。これらが収まっている部分を「腹」といいます。

古くから日本では、人の心は腹に宿ると考えられていました。よどみなくストンと理解できたことを腹に落ちたと感じる感性を備えていました。そのことから、なるほどと深く納得した時に、「腑に落ちた」「腹に落ちた」などと表現することで、その身体感覚を表してきたものだといえます。