「脱帽」の意味と由来とは?使い方と言い換えの類語も徹底紹介

「帽子を脱ぐ」と書いて「脱帽」という言葉があります。相手に完敗した時や敬意を払う時のマナーとしても使われますが、一体どのような由来を持つのでしょうか?

ここでは「脱帽」の意味と由来を始め、使い方と例文について解説します。言い換え出来る類語とあわせて紹介していきましょう。

「脱帽」の意味と由来とは?

「脱帽」の意味①敬意を表し帽子を脱ぐこと

「脱帽」の意味は、“相手に敬意を表し、帽子を脱ぐこと”です。基本的にはかぶっている帽子を取ることによって、相手に対し敬意を表すことを指しますが、ただ単にかぶっている帽子をとるという意味でも使われます。

たとえば、特定の場所で「脱帽願います」と言われたら、ルールやマナーに従って、純粋に「帽子を脱いで下さい」という意味となりますが、実際はその場に適さない、敬意を示すべき場所である、という背景を伴う場合も多くあります。

「脱帽」の意味②感服・降参すること

「脱帽」のもう一つの意味は、“相手に感服したり、降参すること”です。この意味での「脱帽」はその時に帽子をかぶっていなくても、敬意に値する行動や発言などに対して使われます。「脱帽」という言葉は”この人には勝てない・感心し敬服する”という気持ちを表すと同時に、相手の言動に「もっともである」と承服する意味も併せ持っています。

この意味には、たとえ優劣を競うようなシーンでなくても、勝ち負けにおいて相手に降参する、「負けを認める」といった日本的な考えも含まれています。

「脱帽」の由来は”欧米での基本的マナー”

「脱帽」は欧米で相手に敬意を表す時に用いられる基本的なマナーに由来しています。欧米では、相手の才能や技術を称賛する際に、帽子をとることで敬意を示すことが基本的なマナーや挨拶の一つです。

日本の「脱帽」も欧米のマナーが由来していますが、その基本的なスタイルに、日本独特の考えであり思考の傾向である「降参する・白旗を揚げる」という部分が加えられ、「勝てる相手ではない・負け戦である」という意味合いでも使われるようになりました。

欧米では「相手を称賛する」という意味で「脱帽」をしますが、日本ではその意味に加え、相手が自分より能力や技術が高く、勝てそうもないという状況で使われることが多いと言えます。

「脱帽」の使い方と例文とは?

「脱帽」は相手に失礼になる場合もある?

「脱帽」とは、相手を敬意を示し感服する時に使われるため、通常なら相手をほめたたえる「良い意味」で文脈に用いられることがほとんどです。しかし、状況や相手の捉え方によっては「小馬鹿にしているのか?」と反対の意味となることがあるため、注意が必要です。

たとえば、スポーツマンシップにのっとった試合において、相手が途中で「降参」の白旗を挙げ脱帽したらどうでしょうか?もちろん、皮肉めいた意味で尻尾を巻いて逃げる相手に、受け手は「最後まで戦わないとは、失礼だ」と立腹してしまうかもしれません。ここまで戦っておいて負け戦を早々に認めることは、相手にとっては不快に映ることがあるからです。

これはビジネス環境でも、互角なライバルに対し早々と脱帽することと似ています。「脱帽」は使う相手や状況によって、皮肉とも、また敬服とも捉えることができるちょっと厄介な言葉でもあるのです。

「脱帽」を使った例文

「脱帽」を使った例文をいくつかご紹介しましょう。

  • 釈迦堂に入る時は、どうぞ脱帽ください。
  • 彼の技術には到底叶わない。私はただ脱帽するばかりである。
  • 脱帽に値するのは、新人のミスを部長自ら頭を下げて取引先にに謝ったことだ。
  • ライバル会社とは言えども、開発プログラムのレベルの高さにみな脱帽した。
  • 脱帽するのはまだ早い。相手の弱点を探って、巻き返しを図ろう。

「脱帽」の言い換え表現や類語とは?

「舌を巻く」は相手の能力に感嘆すること

「舌を巻く(したをまく)」とは、相手の能力や優秀な点に非常に驚き、感嘆することを意味します。「舌を巻く」の語源は中国の漢書で、相手に非常に感心し、驚きのあまり声が出なくなる、つまり舌を巻いて話せなくなることにたとえて出来た比喩表現です。

例文
  • 都会に出てから若者の発言力に舌を巻くことが多くなった。
  • 舌を巻いて逃げたのは、相手チームの勢いに卒倒したからだ。

「シャッポを脱ぐ」は負けを認め降参すること

「シャッポを脱ぐ」とは負けを認め降参することを意味します。もともと「シャッポ」はフランス語の帽子「chapeau」のカタカナ語で、古来から帽子を脱ぐことが相手への降伏の証でると伝えられてきました。日本では意味同じくして「兜を脱ぐ」という熟語表現も使われています。

例文
  • 相手の軍勢にシャッポを脱ぐ。
  • 攻撃に耐えうる力がなく、早々に兜を脱いだ。

「言葉を呑む」は驚いて言えなくなること

「言葉を呑む(ことばをのむ)」とは、相手の言動に感動し驚くあまり、言いたいことが言えなくなることを意味します。また、相手の心情を察して言葉が詰まることも表します。

例文
  • これが本当に3歳の子供が手掛けた作品なのか?思わず言葉を呑んだ。
  • 言葉を呑んでしまう前に、どれほど悲惨であったのか状況を聞かせて下さい。

まとめ

「脱帽」は「帽子を脱ぐこと・相手に敬意を示し帽子をとること」また「相手のスキルや能力に感服し、負けを認めること」という意味があります。もともと欧米の基本的なマナーが由来となって日本でも使われるようになりましたが、日本では欧米の「相手を称賛する」という意味合いに加えて「降参する・参る」というニュアンスを持って使われています。

「脱帽」はビジネスシーンでも使われますが「脱帽するタイミング」というもの極めて重要なポイントとなります。もちろん、相手が能力や技術が自分よりはるかに高く「どうみても負け戦」という事もあるでしょう。しかし、相手に感服するに相応しい時期を見計らうことで、相手の捉え方が左右することも留意しておくべきです。