「逆境」の意味とは?使い方の例文や類語・対義語もあわせて解説

「逆境」は「逆境を乗り越える」「逆境に打ち勝つ」などのように使われますが、改めて意味を考えると説明に困ってしまうことがあります。言葉の成り立ちから逆の境遇ということはわかりますが、正しい意味は明確にしておきたいものです。今回は「逆境」の意味や使い方について解説します。

「逆境」の意味とは?

「逆境」の意味は”ものごとが上手くいかない境遇”

「逆境」の意味は、“上手く行くはずのものごとが、上手く行かない境遇”のことです。読んで字のごとく「逆の境遇」という意味です。人生においてものごとの成り行きが良好ではなく、自分の身の上に苦労が多いこと、また不遇な境遇であることを表します。

「自分の思い通りにならない巡り合わせ」の意味も

「逆境」は裏を返せば、“自分の思うようにならない巡り合わせ”とも言えます。

社会生活の中で自分を取り巻く全ての関係や巡り合わせが悪く、身の上に苦労が多くなることは非常に不幸なことです。恵まれた環境に育ち、何の苦労もなく心地よい人間関係を築くことができれば問題はありませんが、複雑な社会環境では「逆境」なくして生きることはまず無理に等しいと言えます。

「逆境」は人として生を受けた以上、誰もが経験する人生のプロセスであるのかもしれません。

「逆境」の使い方と例文とは?

「逆境」は苦しみ不幸を代弁する時に使われる

「逆境」は一般的な会話の中でもビジネスシーンでも、ごく平均的に使われる表現です。しかし「逆境」という表現をあえて使う状況と言えば、不運に陥り、ものごとが思うようにいかない境遇の時であり、苦しみと不幸を背負ってしまった時です。

「逆境」という言葉を使う時は、このように辛苦のまっただ中にいる状態を「仕方ないが避けられない境遇」として伝えたい時でもあるでしょう。ここで「辛い状況・苦しいポジション」というような直接的な描写をせず、あえて「逆境」という広義を表す言葉で代弁することができます。下記で3つの例文を比べてみましょう。

例文
  • 今、職場で辛い状況にに立たされている。
  • 今、職場で苦しいポジションに立たされている。
  • 今、職場で逆境に立たされている。

このように、微妙な言葉のニュアンスで受け手が捉える印象はかなり異なってきます。

「逆境」でよく使う6つの言い回しと例文

「逆境」を使った6つの言い回しと例文をご紹介しましょう。

例文
  • 逆境に強い:私は意外と逆境に強いと言われる。(不遇に負けたことがない)
  • 逆境を力に変える:今は逆境を力に変えていくしかない。(克服への発想転換)
  • 逆境に立ち向かう:チーム一丸となって逆境に立ち向かっていく。(不幸と戦う決意)
  • 逆境に立たされる:家庭内で逆境に立たされている。(まさに不幸のど真ん中にいる)
  • 逆境を乗り越える:一緒に逆境を乗り越えていこう。(不遇に打ち勝つこと)
  • 逆境に打ち勝つ:逆境に打ち勝ってこそ自信となるものだ。(不運を超克すること)

その他「逆境をばねにして生きる」「逆境に飲み込まれる」「逆境のまっただ中」「逆境さながら」など、状況に合わせて使える言い回しは数多くあります。

「逆境」の類語とは?

「逆境」の類語は”憂き目・困苦・苦境”

「逆境」の類語には“憂き目(うきめ)・困苦(こんく)・苦境(くきょう)”など複数挙げることができます。どの類語も「辛く苦しい状況」を表す言葉となりますが、下記で意味と簡単な例文を挙げてみましょう。

「逆境」の類語を使った例文

「逆境」の類語を使った例文をご紹介しましょう。

  • 憂き目:苦しいことや辛い体験(リストラの憂き目を見る)
  • 困苦:心身ともに苦しみ困り果てること(無職という困苦に耐えかねる)
  • 苦境:苦しい立場や状況、また巡り合わせ(会社買収という苦境に立たされる)

「逆境」の対義語とは?

「逆境」の対義語は”順境”

「逆境」の対義語となるのは“順境(じゅんきょう)”です。

「順境」とは、人生において万事が思い通り進み、具合よく運んでいる境遇を指します。ものごとが恵まれた状況で滞りなく行なわれ、全てが順調で上手くいっていることを意味しています。その人を取り巻く環境や経済的な条件がすこぶる良好で、問題やトラブルが皆無である境遇を「順境」と言います。「順境」と胸を張って公言できる人は、全てが順風満帆であるのでしょう。

「逆境」の対義語を使った例文

「逆境」の対義語を使った例文をご紹介しましょう。

  • 私の家庭はブルジョアであるため順境に育った。
  • 今のところ順境であるが、転職後はどうなるか不安である。

「逆境」を乗り越えるには?

「逆境」に強い人は”逆境に燃える”人

「逆境」に陥ったとき、前向きになって状況を何とか打破しようと燃えることができる人は、逆境に強い人だと言えます。

逆に「逆境」に弱い人は、すぐに諦めてしまう人や、必要以上に失敗を恐れる人です。失敗を怖がることで行動できなくなり、現状を変えることができなくなってしまうことによります。

「逆境」を楽しむ姿勢が大切

「逆境」は苦しいものですが、乗り越えることができれば「自分を成長させてくれるもの」「チャンス」になり得ます。

「逆境」に対しては必要以上に恐れず前向きに受け入れ、「楽しむ」という姿勢を持つことが大切です。

「逆境」に関する偉人たちの名言

偉人たちはどのようにして「逆境」に立ち向かい、乗り越えてきたのでしょうか。心に留めておきたい名言をご紹介します。

  • 「逆境-それはその人に与えられた尊い試練であり、この境涯にきたえられてきた人はまことに強靭である」松下幸之助(パナソニック創業者)
  • 「ときには嵐のような逆境が人を強くする」王貞治
  • 「順境の美徳は自制であり、逆境の美徳は不撓不屈である」フランシス・ベーコン(イギリス哲学者)

まとめ

「逆境」は”ものごとが上手く行かず不遇な境遇”や”思うようにならない巡り合わせ”という意味を持ち、身の上に苦労や不幸が多い境遇を示す言葉となります。「逆境」を使う言い回しは「逆境に立ち向かう・逆境を力に変えて・逆境ににもめげず」など数多くあり、状況に合わせて用いることができるフレキシブルな語句でもあります。

就職や転職の際は、履歴書で「逆境に強い・逆境を力に変えることができる」などと記載すれば、逆境に対する免疫力や克服する力をアピールすれこともできるでしょう。

人生で壁にぶつかった時は、イコール「逆境」を指す時です。ぜひ「逆境」を乗り越えて「順境」を手に入れていきましょう。