「とにかく」は毎日の会話やメールなどのやり取りの中で、おそらく一回は使うであろう言葉の一つではないでしょうか?自分が言いたいことを強調する意図で無意識に放つ表現ですが、ここで改めて意味や似たような表現との違いに着目してみましょう。
今回は「とにかく」をピックアップし、気になる語源とあわせてご紹介します。
「とにかく」の意味と語源とは?
「とにかく」の意味は”いずれにせよ”
「とにかく」の意味は、“いずれにせよ・ともかく”です。「とにかく」は、普段の会話で無意識のうちに口から放たれるため、意味ついては意識することは少ないでしょう。
「とにかく」は、色々な問題や事情はあるが今は横に置いておいて、他のことに触れること、また事前に踏まえるべき内容の説明やことがらを省略して、結果やその先のことを述べることを意味します。「とにかく」は、これから言おうとする物事や事情が不明瞭であっても、やや押し気味に答えを出すような場面で使われます。
「とにかく」の語源は”兎に角”
「とにかく」は漢字で”兎の角(うさぎのつの)”と書いて「兎に角」と表記します。
もともと「兎に角」とは、”とかく(兎角)”を言いやすく真似た当て字で、戦争が起こる前触れを表す仏教用語の一つ「兎角亀毛(とかくきもう)」から由来したと言われています。
また「とにかく」は平安時代を皮切りに「とにかくに」という昔の形式で使われていた記録があり、「と=そのように」「かく=このように」という意味の副詞が組み合わさって出来たとも伝えられています。
「とにかく」の使い方の注意点と例文とは?
「とにかく」を間違って使うと相手を怒らせることも?
「とにかく」はジャンルやシチュエーションをとくに問わず、あらゆす場面で使える非常に重宝する表現です。しかし、使い方によっては相手にぶっきらぼうな印象を生んでしまうことがあるため注意が必要な言葉でもあります。
「とにかく」の意味”いずれにせよ”とは、不定称の指示代名詞「どれ」を表し、選択肢に関わらず”どちらにしても”という意味で使われる副詞です。総じて「とにかく」は結果を急ぐようなイメージ、つまり「どのみち・どっちみち・どうせ」というニュアンスが強いということを留意しておくことが重要です。
「とにかく」を使った会話の例文
「とにかく」を使った会話の例文をいくつかご紹介しましょう。
- 昨日は花金で夜更かししてしまった。今日はとにかく眠い。
- これ、とにかく暖かいダウンコートなのよ。冬には欠かせないアイテムだわ。
- 芸能人は仕事ですれ違い生活が増えてしまうせいか、とにかく離婚が多いよね。
- 母は更年期を迎えてから、とにかく毎日がだるいとしょっちゅう嘆いているよ。
- とにかく今回のイベントは打ち切ろう。雨が予想以上に激しくなってきた。
- 次回の放送が待ちきれないよ。とにかく誰が犯人なのか正体が知りたい。
「とにかく」の類語表現とは?
「かにもかくにも」は古語”いずれにせよ”
「かにもかくにも」とは万葉集でも使われていた古語の一つで”いずれにせよ”という意味があり、「かにかくに」を短く縮めた言葉となります。
- 自宅でDIYを始めたが、かにもかくにも、まず道具や工材が必要だ。
- かにもかくにも、学校が子供たちの教育の場であることは変わらない。
「伸るか反るか」は思い切ってやること
「伸るか反るか(のるかそるか)」とは、そもそも”結果はわからないが思い切ってやってみる”という意味があり、転じて成功するか失敗するか、どうなるかは知らないが、天に任せて挑戦するという意味で使われます。イチかバチかやってみる、つまり「とにかくやってみる」という意味合いで使われます。やや博打的なニュアンスを持つのが特徴です。
- 色々心配はあるが、伸るか反るか、運に任せて実行してみよう。
- 伸るか反るか、思いを寄せる彼女に告白してみることにした。
「とまれかくまれ」は古語版”ともかく”
「とまれかくまれ」は”ともかく”や”まず”という意味を持つ古語表現の一つです。意味同じくして「ともあれかくもあれ」や「とまれかうまれ」とも表現され、現代では歴史本や昔の時代小説などで趣向を生かす意味で使われています。
- 外は吹雪だ。とまれかくまれで、まずは家の中に入ろではないか。
- とまれかくまれ、相手の意向をまず聞いてから、こちらの要求を述べよう。
「とにかく」の英語表現とは?
「とにかく」は英語で”anyways”
「とにかく」は一般的に英語で”anyways(またはanyway)”を使うことが多いです。
簡単なフレーズですが、英語圏でビジネスをしたり、外資系で働く人は頻繁に使われるため、覚えておくと便利です。その他「anyhow」「after all」「at any rate」も「anyways」と同様の意味で使われます。
まとめ
「とにかく」は漢字で「兎に角」と表記し、「とかく(兎角)」を言いやすく真似た当て字とです。「とにかく」の歴史は長く、平安時代に「とにかくに」として使われ、加えて仏教用語の「兎角亀毛」から由来して使われるようになった副詞語となります。
「とにかく」は「まあ、説明や細かいことは抜きにして…」というように、前説明や言い訳を省いて結果にジャンプアップしてしまうようなニュアンスがどうしてもあります。非常に便利で会話に欠かせない副詞の一つとなりますが、使い方によって意味の伝わり方が七変化してしまうこともあります。相手との距離を当座けてしまわないように、ぜひ状況や相手を読んで上手に使いこなしていきましょう。