「畢生」とはどんな意味?使い方のコツと例文・類語もあわせて解説

「畢生(ひっせい)」は「生きる」という漢字が入っているため、人生に関する言葉であると想像できます。どのような場面で使うのがベストなのでしょうか?またそもそも「畢(ひつ)」という漢字にはどんな意味があるのでしょう。今回は「畢生」の意味や使い方の例文、また類語をご紹介します。

「畢生」の意味とは?

「畢生」の意味は”一生涯・終生”

「畢生」の意味は、“一生涯・終生(しゅうせい)”です。人が生を受けてから一生を終えるまでの期間を意味します。わかりやすく言えば「誕生から死までの間」つまり「生存期間」のことですが、「畢生」にはもっと尊く風格のある表現となります。

また、読み方において”ひっしょう”と誤読してしまう場合がありますので、気を付けましょう。正しい読み方は「ひっせい」です。

「畢(ひつ)」とは”すべて・終わる”という意味の漢字

「畢生」の「畢(ひつ)」とは、”すべて・終わる・ことごとく”という意味を持つ言葉です。書き順が難しい漢字ですが、部首は「田部」で漢字検定では準一級レベルとなっています。「生」は周知のとおり”生まれる・生きる”という意味です。

つまり「畢生」は”生まれてから終わるまでのこと・ことごとく生きている間のこと”という意味の言葉であることが理解できます。「畢生」の意味を知るうえで、「畢」と「生」それぞれの意味の確認をしておくと便利です。

「畢生」の使い方と例文とは?

「畢生」は人生を劇的に表現したい時に使う

「畢生」という言葉は堅苦しく重たい表現として映ることが多いでしょう。しかし、一般的に自分の人生論や恋愛論を語ったり、一生を何かに捧げたことを劇的に描写する時に効果を発揮する言葉でもあります。

たとえば、一代で築き上げた事業を一生を遂げるまで支え、身を尽くしてきたという状況では、「畢生の大事業」や「畢生の大業」などと、臨場感を持たせて表現することができます。

また、人生論や恋愛論では、生まれてから最期を向かえる日まで、1人の異性だけを思い続けてきたという状況において、相手を「畢生の恋人・畢生のアマン」などど、情状的に表現することもできるでしょう。ぜひ、文章を劇的に描写したい時に「畢生」を使ってみて下さい。

「畢生」を使ってワンパターン化を解消する

多くの場合、会話や文章の中で「畢生」を使うことは少ないです。そこで、このような現実を利用して、通常の聞きなれた表現のワンパターン化を解消してみましょう。

「畢生」を使うことで、知的で感性の高い文章を作ることも可能です。会話の中でも「一生」や「生涯」という単語を、あえて「畢生」に言い換えてみると、キザなイメージがありながらも、ちょっと気取った子気味良いニュアンスが生まれてきます。

日頃の生活では、ありとあらゆる会話が耳をかすめるものの、脳裏に焼き付かないまま通り過ぎていくこともあるでしょう。そこで、会話に「畢生」を加えることで話し口調のマンネリを防ぎ、新鮮な会話を作り出していきましょう。

「畢生」を使った例文

「畢生」を使った例文をいくつかご紹介しましょう。

  • 幼少から父の工場を手伝ってきたが、今は二代目として畢生の仕事をまっとうしている。
  • 彼は生涯の精力の全てを革命に費やしたため、長く苦しい畢生を強いられてきた。
  • シングルマザーの我が母は畢生の力を子供に捧げ続けた。
  • 畢生たるもの、全てが辛苦で埋まった人生ではない。
  • 人生は長く尊い。ところで、あなたが描く畢生の夢とは何ですか?

「畢生」の類語表現とは?

類語①「終年」とは天命を終えるまでの期間

「終年(しゅうねん)」とは、天命を終えるまでの期間、つまり一生涯のことで、この世に生を受けてから死に至るまでの間を指します。また、元旦から大みそかまでの一年中を表す時にも使われます。「畢生」とほぼ、同じ意味で使われますが、使い分けで注意することは「畢生」には”一年中”という意味がなく、「終年」にはあるという点です。

例文
  • 偉大なる祖父の終年に敬意を表し、庭に記念碑を立てることにした。
  • 今年は、経営において終年にわたり非常に苦労した。

類語②「一代」とは一生涯や一つの時代

「一代(いちだい)」とは一生涯や一つの時代、また家系の最初や事業を継ぎ主としている期間を指します。「畢生」には家系の最初を直接的に意味しないため、「この酒屋を一代で築いた」とは表現できても、「この酒屋を畢生で築いた」と使うのは適切ではありません。

例文
  • 家系を継ぐことは非常に意義深い。人は一代、名は未代というではないか。
  • 苦悩に追われた彼女は先月、長い一代を終えた。

類語③「ライフ」とは生命や生涯のこと

「ライフ」とは生命や生涯のことです。「life」のカタカナ語として広く浸透していますが、人生における生活や生きざまなど、人が経験する一生のすべてを抽象的に表す言葉となります。

「畢生」には日本独特の固く格式高いニュアンスがありますが、「ライフ」はやや抽象的でハイカラなイメージを持ち合わせています。文章の趣旨や肌色などで「ライフ」を使うこともありますが、具体性に欠けてしまうこともあるでしょう。

例文
  • 長いようで短いライフ。一日たりとも無駄にせず、時間を使っていきたい。
  • ライフとは、多くの苦楽を重ねていくことである。

まとめ

「畢生」は”ひっせい”と読み、「一生涯・終生」また「生まれてから一生の終わりまでの期間」を意味する言葉です。「畢生」の「畢」が常用漢字ではないため、普段のライフスタイルではあまりお目にかかれないかもしれませんが、文豪が書き上げる小説や歴史に残る物語などでは風格を醸し出すために用いられる美しい言葉となります。

「畢生」は口語では使いにくい表現ですが、独特な音調を持つ言葉ですので、手紙に託したり、大切な人に贈る言葉として使ってみてはいかがでしょうか?ぜひ、表現力をアップさせるためにも、「畢生」の正確な意味や使い方をマスターしましょう。