「くだをまく」の意味や語源とは?例文つきで類語・対義語も解説

「くだをまく(くだを巻く)」は、とりとめがなく、意味がよくわからないことを延々と語るようなことに対して使われます。とくにお酒を大目にたしなんだ後は、長々とくだを巻いて始末が悪いこともあるでしょう。今回は「くだをまく」の意味と語源の他、方言説や使い方の注意点、類語・対義語についても解説します。

「くだをまく」とは?

「くだをまく」の意味は”意味不明なことをぐずぐず言う”

「くだをまく(くだを巻く)」の意味は、“意味不明なことをいつまでもぐずぐずと言い続けること”です。主に酒を飲んで酔っぱらった時に、訳の分からないことを繰り返しいうことを指し、本人は理解しているのかは不明だが、周囲には理解しがたい内容をしつこく言い放つことを言います。

「くだをまく」の語源は”機織りの単調なトーン”

「くだをまく」の語源は”機織り機の音”にあります。「くだをまく」の「くだ(管)」とは、機織り機で糸を紡ぐ際に使う軸のことです。車の回転で綿花や繭から糸を縒りあわせたり、紡いだりする糸繰車(いとくりぐるま)に、この軸を指して巻くと、実に単調で変化のない「ぷうーん、ぷうーん)という音が出てきます。

このように、機織りで奏でる単調なトーンが、酒に酔っぱらった人の「グダグダ」と話す口調に似ていることから、現在の意味で使われるようになりました。ちょっと笑ってしまうような機織りのシンプルトーンが「くだをまく」の語源です。

「くだをまく」は方言ではない

「くだをまく」はユニークな語調を持つこともあり「方言」と誤って認識される場合があるようです。「くだをまく」は全国区で標準語として用いられる慣用表現で、方言ではありませんので確認しておきましょう。

「くだをまく」の使い方の注意点と例文とは?

「くだをまく」を使うのは話しに飽き飽きした証拠

「くだをまく」は基本的に相手のとりとめのない会話に飽き飽きし、迷惑をしている状況で使われることが多いです。つまり、「長い時間、話す」ではなく「くだをまく」という表現を選ぶ時点で、相手は不快に感じていることが想像できます。

「くだをまく」が使われる状況は、酒に酔って延々と訳の分からないことを聞かされている立場にいる人、つまり職場なら同僚をはじめ、部下や新人、組織やスポーツ界なら後輩などが挙げられます。実際にも「言い加減にして下さい」と言えないポジションにいる人達が多いと言えますが、優しく心の広い上司や先輩が、部下や後輩の「グダグダ」を聞かされる場合もあるようです。

例文

  • 酒に酔って、上司がくだをまいている。
  • 取引先の担当者が、居酒屋で珍しくくだをまきはじめた。
  • バーで部下がくだをまく前に、私は先に会計だけ済ますとしよう。

「くだをまく」は素面な状態でも使われる

主に飲み会やパーティなどで酒に酔った時に「くだをまく」という表現を使いますが、素面(シラフ)でも「くだをまく」を使うことがあります。この場合は、同じことを何度も何度も話す相手に、勘弁してもらいたいという感情がある証拠だとも言えます。

例文

  • 会議が終わってから部長があーだこーだと、くだをまいているようだ。
  • やっと契約という場面で、クライアントがくだをまきはじめた。
  • くだをまく顧客に、コールセンターでは冷静な対応が求められる。

「くだをまく」の類語とは?

「くだをまく」の類語は”くだくだしい・冗舌・つべこべ言う”

「くだをまく」の類語には”くだくだしい・冗舌(じょうぜつ)・つべこべ言う”などが挙げられます。

「くだくだしい」は話が口説く長ったらしいこと、「冗舌」は口数が多くおしゃべりなこと、また「つべこべ言う」は不平や理屈などを口やかましく言うことや出しゃばってあれやこれやと舌をまくしたてることを意味します。その他「くどくど言う」や「口数が多い」なども日常生活で気軽に使えるでしょう。

例文

  • 酔っぱらって、くだを巻き始めた。
  • 酔っぱらって、くだくだしくなってきた。
  • 酔っぱらって、冗舌になってきた
  • 酔っぱらって、つべこべ言い始めた。

「文句たらたら」「あーだこーだ」なども類語表現

よりユニークに言い換えるなら「文句たらたら・不平たらたら・あーだこーだ・愚痴る(ぐちる)」などもあります。これらはカジュアルに使える類語表現で、ビジネスシーンよりも日常会話の中で使うのが好ましいでしょう。

「舌を巻く」は意味が異なるので類語ではない

「くだをまく」に似た表現に「舌を巻く」があります。「舌を巻く」とは”非常に驚くこと・感心すること”で、「あまりの素晴らしさに舌を巻く」といった使い方をします。

「くだをまく」とはまったく意味が異なりますが、「○○をまく」繋がりで間違えてしまう人も多い表現です。意味の違いを押さえておきましょう。

「くだをまく」の対義語とは?

「くだをまく」の対義語は”寡黙・大人しい”

「くだをまく」の対義語は”寡黙・大人しい”などが挙げられます。訳の分からないことをグダグダと言い続けることと逆の意味を持つ言葉となるため、「無口」や「押し黙った・口数が少ない」なども言い換えの表現として使えるでしょう。

例文

  • 彼はパッと見た感じでは、寡黙である。
  • 彼はパッと見た感じでは、大人しい。
  • 彼はパッと見た感じでは、無口である。
  • 彼はパッと見た感じでは、口数が少なそうだ。

まとめ

「くだをまく(くだを巻く)」は、とりとめのないことや意味不明なことをぐだぐだと言い続けることを意味します。主にアルコールを摂取して酔いが回った時に、不平不満を含め、理屈や説教など、訳の分からないことを繰り返し言い放つ時に使われます。

「くだをまく」は本人は気分がサッパリするかもしれませんが、逆に周囲でグダグダを聞かなくてはならない立場なら悲劇とも言えるでしょう。

厄介なのは同じトーンで理解できない話題が続くため、周囲は眠くなってくることです。そうは言うものの、職場関係で上司がくだをまいた時は「心を許してくれている」と自分をだまして、ぜひ聞いてあげて下さい。