「寄り添う」の意味とは?例文・類語やビジネスでの重要性も解説

「寄り添う」をなんとなく「相手を助けること」「恋愛の言葉」だと思っている人もいるかもしれません。本来の意味で使われることが少ないため、辞書を引いただけでは理解しにくいでしょう。本来の意味と、実際に使われる意味を具体的にご説明します。また、類語や例文、ビジネスにおける重要性もあわせて確認しましょう。

「寄り添う」の意味とは?

「寄り添う」の意味は”そばへ寄る・共感する”

「寄り添う」の意味は、“そばへ寄る”ことです。もたれかかるように、体などをぴったりとそばに寄せる際に使います。

例文
  • 「足をくじいた自分を、友人は寄り添って支えてくれた」
  • 「恋人たちが寄り添って歩いている」
  • 「子猫たちは寄り添って昼寝をしている」

会話や文章では上記の意味ではなく、心情に「共感して支える」ことを比喩して「寄り添う」を使うことが多くあります。「共感」はここでは”相手の気持ちを自分のもののように感じること”という意味で使います。

「寄り添う」の使い方と例文とは?

「寄り添う」は気持ちに共感し支える際に使われる

「寄り添う」は、相手の心情に共感して支える際に使われることが多い言葉です。看護や保育など、支える相手の気持ちに寄り添うことをモットーにする業種は多くあります。対等な立場であっても、家族や友人、恋人の気持ちに寄り添いたいと思う人も多いでしょう。

願望や目標以外の自分の行いに「寄り添う」を使うのは避けた方が無難です。「私は患者の気持ちに寄り添った」だと、上から目線で押し付けているように受け取られる可能性があります。「患者の気持ちに寄り添っていきたい(願望)」「寄り添う看護を目指している(目標)」のような形にするとよいでしょう。

「寄り添う」を使った例文

「寄り添う」を使った例文をいくつかご紹介しましょう。

  • 「先生は、患者の悩みに寄り添えている」
    患者の気持ちを理解している先生への褒め言葉。
  • 「子どもに寄り添えたか、毎日振り返りを欠かさないようにしている」
    子どもの気持ちに共感して支えられたか、振り返って反省している。
  • 「寄り添ってくれる友人がいたから、悲しみを乗り越えられた」
    自分の気持ちに共感し、支えてくれる友人がいた。
  • 「『お客様に寄り添え』としか指示がないため、サービスに差が出てしまった」
    「寄り添う」は具体的にどうするということが定まっていない言葉のため、担当者によって差が出てしまった。

「寄り添う」の類語とは?

「寄り添う」の類語は”付き添う・共感する”

本来の「寄り添う」の意味(そばに寄る)に近い言葉は”付き添う”です。「付き添う」は”そばにいる・同行する”という意味です。ただ同行するだけでなく、介助や世話が必要な場合にも使います。

例文
  • 「子どもの入院に付き添うことになった」
  • 「来日した王子には大人数の付き添いがいた」

精神的な意味の「寄り添う」の類語は、先ほど「寄り添うの意味」のご説明で伝えたように「共感する」であると言えるでしょう。「共感」は”相手の気持ちを自分のもののように感じること”という意味です。

ビジネスの「寄り添う」ことの重要性とは?

心に寄り添う仕事は人間でないと難しい

業界や業種に関わらず、今後のビジネスにおいて「寄り添うこと」「寄り添う力ある人材」の重要さが増していくことが予想できます。相手の気持ちを察して寄り添うことは人間でないと難しいので「効率化のために人工知能(AI)に任せる」ということができないからです。

SF作品のような人の心を持つ人工知能の登場は、まだ現実的ではありません。そのため「寄り添う」ことが重要な作業は、人の手で行う必要があります。

「寄り添う」ために心掛けることとは?

「寄り添う」ために相手の気持ちを知る

精神的な意味の「寄り添う」は、相手に共感することでした。共感することの第一歩は、相手の気持ちを知ることです。相手を観察したり話を聞いたりして心情を教えてもらいます。相手の言葉を待つ、答えやすい質問をするといった聞き上手な人を目指すのが良いかもしれません。

無理に悩みの全てを理解・共感しようとするのは逆効果です。相手にあなたの考えを押し付け、傷つけることにつながる可能性があります。別の人間なのだから、完璧な共感はできなくて当然だと思うくらいで良いとも言われています。また、たとえ共感できなくても、否定せず歩み寄ったことは、きっと相手の助けになるでしょう。

問題を解決することだけが「寄り添う」ではない

精神的な「寄り添う」は”共感する”という意味で使われているため、問題を解決する行動は必須ではありません。

例えば、仕事の愚痴を聞いて同調してくれる友人は、直接仕事を手伝ってはくれなくても「自分に寄り添ってくれている」と感じる人が多いでしょう。悩みの種類や大きさが変わっても、基本は同じです。

相手によっては「今はそっとしておいてほしい・まだ話したくない」と思う人もいます。そんな時に無理強いせず、静かに待ってあげることも「寄り添う」ために大切だと言われています。

まとめ

「寄り添う」とは”そばへ寄る”という意味ですが、実際には「共感して支える」という精神的な比喩で使われることが多い言葉です。

心という目に見えないものを対象にしているため、ひとつの答えに定められない難しい事柄です。多くの人と接する中で、少しずつ「寄り添う」ことを覚えていくしかないのかもしれません。