「言葉のあや(言葉の綾)」とは「巧みな言い回し」を意味する慣用句です。誤解を解くための言い訳としても使える「言葉のあや」ですが、「不用意な発言」という意味はないことを知っていますか?「言葉のあや」の意味や使い方の例文、類語への言い換え方も解説します。加えて「言葉のあや」の漢字や英語表現も解説します。
「言葉のあや」の意味とは?
「言葉のあや」の意味は「巧みな言い回し」
「言葉のあや」とは「巧みな言い回し」を意味する慣用句です。直接的な表現ではなく飾った表現を使うことで、何通りもの捉え方ができる状況を表します。
たとえば美味しい料理を目にしたAさんが「毎日食べたいほど美味しい」と表現したとしましょう。それを聞いたBさんは次の日も同じ料理を出そうとします。しかし、Aさんは本当に毎日食べたいわけではなく、美味しさを伝えるためにあえて「毎日でも食べられるほどに美味しい」という表現を使用したのです。
Aさんの伝えたい内容とBさんの捉え方が異なっており、上記のような状況を「言葉のあや」で表せます。
「言葉のあや」は漢字で「言葉の綾」と表す
「言葉のあや」は漢字で「言葉の綾」と表します。「あや」と読む漢字には「綾」以外にも「彩」や「絢」があるため、書き間違えないように注意しましょう。
「言葉のあや」の語源は「綾織」にある
「言葉のあや」の語源は「綾織(あやおり)」にあります。「綾織」とは布を織るときに用いられる技法の1つで、熟練したスキルを必要とします。巧みな技術が必要とされるさまが転じ、「言葉のあや」が「巧みな言い回し」という意味で使われるようになったのです。
「言葉のあや」の使い方と例文
「言葉のあや」は言い訳として使うことが多い
「言葉のあや」は「巧みな言い回し」を意味する慣用句ですが、誤解を招いたときの言い訳としても使用されます。「言葉のあやだよ」と伝えることで、自分の発言が本意ではないことを伝えられるのです。
直接的でない表現をしたばっかりに、意図せず誤解を与えてしまった状況で使いましょう。
・言葉のあやでそう言っただけで、なにも本気で批判しているわけではない
・言い訳にしか聞こえないだろうが、あれは言葉のあやなんだ
「言葉のあや」を「不用意な発言」として使うのは誤用
「言葉のあや」を「不用意な発言」として使用するのは誤用です。誤解を解くための言い訳として使われることはありますが、「言葉のあや」自体に「不用意な発言」という意味はありません。
「今のは言葉のあやだよ」という表現の場合、「今のは不用意は発言だった」と嘆いているのではなく、「巧みな言い回しが故の誤解だよ」と弁明することを表します。
「言葉のあやをとる」は間違った表現
「言葉のあやをとる」は間違った表現であるため、使用しないようにしましょう。「○○をとる」という表現には、「言質(げんち)をとる」や「揚げ足をとる」などがありますが「言葉のあやをとる」とは言いません。
「これは言葉のあやだ」や「言葉のあやで言ってしまった」のように使いましょう。
「言葉のあや」を使った例文
- 言葉のあやなどではなく、本気でもう二度と会いたくないのだ
- 言葉のあやがきっかけで、彼と些細な喧嘩をしてしまった
- 足が棒になるというのは言葉のあやで、本当に棒になるわけではない
- さっきの発言は言葉のあやですから、とくに気にしないでください
- 言葉のあやだから気にしないでとは言うが、傷ついた事実は変わらない
「言葉のあや」の類語と英語表現
「言葉のあや」の類語「比喩」への言い換え方
「言葉のあや」と似た意味をもつ言葉(類語)には、「比喩(ひゆ)」が当てはまります。「比喩」とは「ある物事を他の物事に例えること」を意味する単語です。「言葉のあや」と「比喩」は「文字通りでない表現」という意味が類似しているため、言い換えることができます。
「言葉のあや」の類語「比喩」を使った例文
・彼は比喩的に語っただけだから、あまり気にしなくていいよ
・きっと何かの比喩なのだろうが、彼の言いたいことが理解できなかった
「言葉のあや」は英語で「Figure of speech」
「言葉のあや」の英語表現には「Figure of speech」が適しています。「Figure of speech」は「比喩」や「言葉のあや」を意味しており、「例え話」という意味でも使用されます。
It’s just a figure of speech.
意味:それは単なる言葉のあやだよ
まとめ
「言葉のあや」とは「巧みな言い回し」を意味する慣用句です。誤解を招いたときには弁明としても使われますが、「言葉のあや」自体に「不用意な発言」という意味はありません。飾った表現を使うときや、巧みな言い回しが故に誤解を招いてしまったときに使いましょう。
類語には「比喩」が当てはまるため、「言葉のあや」以外の表現を使いたい場合は言い換えが可能です。
Bさん:昨日毎日食べたいって言ってた料理、今日も作ろうか?
Aさん:それは言葉のあやというやつだよ。さすがに毎日は飽きちゃうかな