「反骨精神」の意味や語源とは?使い方と類語や英語表現も解説

「反骨精神を持て」と上司に言われて戸惑ったことがある人がいるかもしれません。「反骨精神」とは、また「反骨」とはどんな意味や語源を持つ言葉なのでしょうか?

この記事では、「反骨精神」について意味や語源を解説するとともに、使い方と例文や類語も紹介します。あわせて反骨精神の文化や英語表現まで幅広く紹介しています。

「反骨精神」の意味や語源とは?

「反骨精神」の意味は”権力や不正に立ち向かう気概”

「反骨精神(はんこつせいしん)」の意味は、“不当な権力や世の中の不正に立ち向かったり、時代の風潮や世論などに反抗する心持ちや気概”です。

ただ単に反抗するのではなく、権威や体制に媚びることをよしとせず、時代の空気に迎合しないで批判精神を持って世の中に立ち向かう態度を表現します。

「反骨」の語のみでも上記と同じ意味を示すことができますが、気概を表す言葉であるため、「反骨精神」の四字熟語で用いられることが多いです。

「反骨」の語源は中国の逸話

「反骨」は「叛骨」とも書き、中国の古い逸話が語源です。中国の仙人が、骨をひっくり返して自分に施術を行い、体調を整えたとの逸話が残っています。「反」にはひっくり返すという意味があります。

「反骨精神」の使い方と例文とは?

不当な権力や風潮などに逆らう精神的な傾向を示すときに使う

「反骨精神」は不当な権威や権力、あるいは意味のない時代の風潮などに逆らう精神的な傾向を示す時に用いられます。

「反骨精神」を使った例文

「反骨精神」を使った例文をご紹介しましょう。

例文
  • 第二次世界大戦直後は、体制に反発する反骨精神旺盛な芸術運動が盛んとなった
  • ヒッピー文化はパブリックに牙をむく反骨精神の文化だといえる
  • ベンチャー企業の創業者には反骨精神のもと世の中を変えようと意気込む人が多い

「反骨」の類語とは?

類語①「反骨の士」は反骨精神を持つ立派な人を表す

「反骨精神」を持つ人を”反骨の士(はんこつのし)”と表現することがあります。「士」とは武士、あるいは学問や道徳などをそなえた尊敬に値する立派な人のことを意味します。

例えば、反体制に位置する歴史上の人物で、偉業を成した人などの呼称として用いられます。

類語②「野心」は大きな望みを持つ心を意味する

「野心(やしん)」とは、大きな望みや高望みを意味します。野心の「野」は、古くは慣れ親しまないの意味があり、主人にとってかわって天下を取ろうとするようなたくらみの気持ちを表す意味合いがあります。

「大それた野心を抱く」などと、批判的に用いることも多いですが、大きな仕事を成し遂げようと意欲的に活動する人を「野心家」とも呼ぶこともあり、大志を持った人を肯定的に表現する言葉でもあります。

「反骨精神」も「野心」と同様に、反抗的な態度であるとして批判的に捉えられることもあれば、人などに服さず大志を抱く気概に対して肯定的に用いることもあります。

類語③「気骨」は人に屈服しない強い心を意味する

「反骨」と同じように「骨」の字が入る「気骨(きこつ)」という言葉があります。気骨とは、自分の信念を貫く強い心のことをいいます。どんな障害にも負けず、人に屈服しない強い気概を持つ人を「気骨の人」と表現します。

気骨の人は権力や不正に立ち向かう気概である「反骨精神」も持ち合わせていることが多いといえます。

「反骨精神」を反映した文化を紹介

体制に対抗する精神を持つ文化「カウンターカルチャー」

「カウンターカルチャー(counterculture)」とは、直訳では「対抗文化」と訳され、社会の中心を形成する文化や既存の体制に敵対する精神を持つ文化のことを指します。

1960年代のアメリカで隆盛したヒッピー文化などの若者文化がその代表例です。反権威的な色彩が強いことから、反骨精神を反映した文化の一つであるといえます。

反戦思想やと結びついた「ロック」音楽

上述したカウンターカルチャーの代表的な文化に音楽の「ロック」があります。ベトナム戦争の反戦運動とも結びつき、反戦思想や反骨精神と結びついたロック音楽が隆盛しました。

もともとロックとは「ロックンロール(rock’n roll)」のことで、白人のウェスタン・ミュージックに黒人のリズム・アンド・ブルースが混ざりあって1950年代のアメリカに生まれ、世界に広がったものです。

「反骨精神」の英語表現とは?

「反骨精神」は英語で”a spirit of defiance”

「反骨精神」の英語表現はいくつかありますが、代表的なものに“a spirit of defiance”があります。「spirit」とは”精神”という意味で、「defiance」とは”(権力・敵対者などへの)抵抗、反抗”という意味です。

他には「an antiestablishment mindset」とも表現されます。「antiestablishment」とは、”反体制の”という意味です。”心的態度”という意味の「mindset」と共に、既成の体制に反対する考え方を表しています。

まとめ

「反骨精神」とは、権力や不正に立ち向かう気概という意味を持ちます。その時代の風潮や世論などに迎合せず、批判的な精神を持って信念を貫く心持ちをも表します。

「反骨精神」は、時代や権力に迎合しない「強い心=気骨」の精神であるといえます。たんに反抗的な態度を示すものではないため、不正に屈服しない強い心や気概を持て、という意味で、教訓的に「反骨精神を持て」と年長者が若者に訓示することもあります。