「敬う」という表現は、会話の中ではあまり使う機会がないためか、意味や読み方がわからないという人もいるようです。そこでこの記事では、「敬う」の意味と読み方、そして使い方や例文を解説。あわせて「敬う」の類語や熟語と対義語、英語表現も紹介します。

目次
「敬う」の意味と読み方とは?

「敬う」の意味は「相手を尊いものとして敬意を払う」
「敬う(うやまう)」の語は、相手や目に見えない存在などを、尊いものとして敬意を払ったり、礼を尽くすという意味を持ちます。「恩師を敬う」「先祖を敬う」などと上位のものに対して使われることが多い表現です。
「敬」の語には、身を引き締めてうやうやしくするという意味もあり、敬意を払う態度を表現しています。「尊敬」「敬語」「敬服」などの熟語にも「敬」は用いられています。
「敬う」の読み方は「うやまう」
「敬う」は「うやまう」と読みます。「尊敬」の「敬」の語としての印象が強いため、単独の語としては読み方に馴染みがないかもしれません。
「敬う」の使い方と例文

「敬う」の語は、年長者や目上の人、あるいは自然など目に見えない大切なものに対して、敬意を払う気持ちを表す場面で使われます。
- 大切に育ててくれた両親を敬う気持ちを忘れたことはない
- 母の日には母を敬う気持ちをカーネーションのプレゼントで表す習慣が定着している
- 日本人は自然を敬う文化を大切にしてきた
- 相手を尊重し、敬う気持ちを持つことが人間関係を良好にする
- 日本には、古くから年長者や目上の人を敬う習慣がある
「敬う」の類語とは?

敬意を払うという意味の「尊ぶ」
「尊ぶ」は「たっとぶ」あるいは「とうとぶ」と読みます。「尊ぶ」には二つの意味があり、一つは相手に敬意を払うという意味で、「敬う」と同じ意味を持ちます。「年長者を尊ぶ」「師を尊ぶ」などの使い方です。
もう一つは、大事なものとして重んずるという意味があります。「歴史遺産を尊ぶ」「独立精神を尊ぶ」などの使い方です。
「尊ぶ」と「敬う」の違いとしては、「尊ぶ」は大事にするという意味が強く、「敬う」は「礼を尽くす」というニュアンスが強いといえます。
尊敬するという意味の「仰ぎ見る」
尊敬する、敬うという意味の表現に「仰ぎ見る(あおぎみる)」があります。「師と仰ぎ見る」は「師として敬う(尊敬する)」という意味です。
「仰ぎ見る」の本来の意味である「上方を見上げる」という意味を比喩的に用いて、上位のものを敬うという意味を表わしています。
超越的な存在を拝む態度を意味する「崇める」
「敬う」気持ちや態度が絶対的な存在に向けられた時は、「崇める(あがめる)」という表現が用いられます。「自然を崇める」「祖先を崇める」などと使われ、目に見えない超越的な存在などをありがたいと拝むような態度を表現します。
古い表現には「崇めたてる」「崇め奉る」などもあります。
「敬」の字がつく類語の熟語とは?

人を敬う意味の「尊敬」
「尊敬(そんけい)」とは、その人の人格や業績などを高いものと認め、敬うことを意味します。「敬う」は人以外にも使われますが、「尊敬」は人に対して使われます。
尊敬と親しみを表す「敬愛」
「敬愛する(けいあいする)」とは、尊敬と親しみの心を持つという意味です。「敬愛する両親」「敬愛する先輩」などと使われます。「敬う」気持ちに加えて親しみの気持ちを表す時に使われます。
「敬う」の対義語とは?

相手をばかにする態度である「侮る」
「侮る(あなどる)」とは、相手を軽く見たり、ばかにしたりする態度を表す言葉です。手ごわい相手のことを「侮りがたい相手」などと、「ばかにできない」という意味で逆の意味から用いられることも多い表現です。
敬意を払ったり、礼を尽くすという意味の「敬う」とは対極にある言葉です。
見下す態度を意味する「蔑む」
「蔑む(さげすむ)」とは、見下したり軽蔑したりする感情を表現する言葉です。「侮る」とも共通する意味を持ちます。「侮る」と同様に、「敬う」とは対極にある感情です。
仰ぎ見るの反対の意味「下に見る」
「敬う」は「上に仰ぎ見る」感情ですが、その対義語として「下に見る」という表現があります。「見下す」と同じ意味です。
「敬う」は英語で「respect」

「敬う」を意味する英語の動詞には「respect」があります。「先祖を敬う」は「respect one’s ancestors」と書きます。
「respect」は「敬意、尊敬」を意味する名詞としても使われます。「敬う」の意味で使うときは、「show/have respect for」と表現できます。「You should show/have respect for your elders.」は「年上の人を敬いなさい」という意味です。
まとめ
相手や対象を尊び、高位のものとして礼を尽くす気持ちを「敬う」と表現します。ビジネスにおいては、相手を「敬う」態度は礼儀として大切なものであるといえます。
また、「敬う」は「先祖を敬う」「自然を敬う」などのように、目に見えない存在や絶対的な存在を尊ぶ気持ちを表す時にも使われます。このような表現や感性を、忘れないようにしたいものです。