「粗利益」とは、企業が算出する利益の一つですが「営業利益」や「純利益」とはどのように違うのでしょうか?とくに営業や総務関係で仕事をする人は必須となるため、利益計算や求め方については理解しておく必要があります。今回は「粗利益」とその他の利益の種類、計算方法や数字の出し方についてご紹介します。
「粗利益」とは?
「粗利益」の意味は”売上から売上原価を引いた利益”
「粗利益」の意味は、“売上から売上原価を引いた利益のこと”です。会社全体の売り上げを示す利益の一つで、証券取引法の財務諸表等規則に準じた損益計算書(英語ではProfit and Loss Statementという)で示される売上総利益にあたります。
また、会社の利益には「粗利益」の他に4つありますが、後の項目で詳しく説明させていただきます。
「粗利益」の読み方は”あらりえき”
「粗利益」の読み方は“あらりえき”です。誤って「そりえき」と読んでしまうこともあり、運よく意味も通じてしまうことが多いですが、正しくは「あらりえき」となります。
別名「粗利(あらり)」「売上総利益」とも呼ぶ
「粗利益」は別名「粗利(あらり)」または「売上総利益」と呼びます。企業の体質や業種区分にもよりますが、おおむね「粗利」と呼ぶ風潮が強いと言えるかもしれません。しかし、報告書や文書にいて説明を加える際は「粗利益」や「売上総利益」という表現を使う場合が多いでしょう。
「粗利益」の計算方法・求め方とは?
粗利益の計算方法は「売上高-売上原価」
粗利益の数字の出し方は、売上高から仕入れ時の原価を引くだけです。粗利益の計算式を下記で見てみましょう。
- 売上高ー売上原価=粗利益(粗利、売上総利益)
たとえば、2000円の商品が売れて、売上原価が600円なら、粗利益は1600円となります。
売上原価への理解を明確にしておく
厳密にいうと、売上原価とは期首商品棚卸高に当期商品仕入高をプラスし、期末商品棚卸高を引いたものを指します。
- 売上高=期首商品棚卸高+当期商品仕入高ー期末商品棚卸高
売上原価とは、その年度内に売れた商品の仕入れや製造過程でかかった費用のことです。たとえば、前年から在庫として残っている商品があれば、その金額に新年度の仕入れ額をプラスし、さらに年度末に在庫で余った商品の金額を引く作業が発生します。これが原価の内訳となります。
「粗利益」以外の4つの利益とはどう違う?
「営業利益」は粗利益から販売管理費を引いたもの
「営業利益(えいぎょうりえき)」とは、粗利益から販売管理費を差し引いた利益のことを指します。販売管理費は販管費とも呼ばれ、社員や従業員に支払う給料、商品やサービスの広告宣伝費、通勤代、出張などの交通費、接待や講演会などの交際費などのことを言います。
「営業利益」は飲み代やランチミーティングなどの費用も含まれますが、多く繰り返している場合は、粗利益が高くても必然的に営業利益が減ってしまうことになります。
「経常利益」は営業外収益を足して営業外費用を引いたもの
「経常利益(けいじょうりえき)」とは営業外収益を足して、営業外費用を引いたものを言います。会社が保有する株券の配当金や預貯金での利息など、本業に関係なく得た売り上げを指します。その他、古い産業機械やパソコンなどを買取してもらった時に入る収益や、所有している土地の賃料なども営業外収益としてカウントされます。
一方「営業外費用」とは銀行からの借入や、それに伴う利息や手形など、本業の関係のないところから出て行った費用のことを言います。
「税引当期純利益」は特別利益を足して特別損失を引いたもの
「税引当期純利益(ぜいびきとうきじゅんりえき)」とは、特別利益を足して、特別損失を引いた後の利益を指します。
特別利益は土地や建物などの不動産や株の売却で得た収益のことで、特別損失は本業ではない別の案件で出て行ってしまった費用を指します。特別損失は部材や商品などが火災や盗難など無くなったり、損害を受けたりした際に扱われる損失形態で、不動産単価が下降し損益が出た時にも該当するものです。通称「純利益」と呼ばれることがあります。
「当期純利益」は最終利益のこと
「当期純利益(とうきじゅんりえき)」とは、最終的な利益のこと。別名「税引後当期純利益」または「純利益」と呼びます。
「当期純利益」は前述の「税引前当期純利益」から法人税・事業税・住民税等を差し引いた金額となり、最終的にはじき出される数字によって黒字(プラス)や赤字(マイナス)として表示されます。
まとめ
「粗利益」の読み方は「あらりえき」で、別名「粗利(あらり)」や「売上総利益」と呼びます。営業利益、経常利益、税引前当期純利益、当期純利益と合わせて、全部で5種類ある利益のうちの一つとなります。
「粗利益」の計算の方法、数字の出し方はシンプルで「売上高ー売上原価=粗利益」となりますが、売上原価の内訳をしっかり理解してから数字を出すようにして下さい。
また、粗利益を含む「企業の5大利益」についても理解しておくとよいでしょう。経営者や役員はもちろん、会計や営業部に関連する業務についている人は必見となる項目です。この機会にしっかりマスターしておきましょう。