「箇所」の意味とは?「個所」や「カ所」との違いと類語も紹介

「二箇所、三箇所」というように、ある場所や特定の部分を示す時に「箇所」という言葉が使われます。「箇所」には「個所」「カ所」「ケ所」などの表記も存在しますが、それぞれどのように意味や使い方がことなるのでしょうか?

今回は「箇所」の意味を中心に「個所」「カ所」との違い、類語についてもご紹介します。

「箇所」の意味と読み方とは?

「箇所」の意味①あるものが存在する部分や場所

「箇所」の意味は、“あるものが存在する部分や場所”です。たとえば、「提議されている箇所・故障した箇所」のように、ある部分を表す名詞として用い、問題や話題になっている部分を差したりする時などに使われます。

例文
  • 訂正が必要な個所にマークを付けておく。
  • ミーティングの焦点となる箇所は、この部分です。
  • スペイン語で書かれてある箇所は、訳さなくて結構です。

「箇所」の意味②ある特定された部分や場所を数える

「箇所」は、“ある特定された部分や場所を数える”時にも用いられます。たとえば「二箇所・五箇所」のように、数を頭において「助数詞」として使います。

例文
  • このホテルにはスパが三箇所も設置されてある。
  • VIPの警備は、北と南の二箇所に分かれて行う予定だ。
  • 数カ所あるレストランのうち、和食専門店はたったの一箇所だった。

「箇所」の読み方は”かしょ”

「箇所」の読み方は“かしょ”です。「箇」は”こ”とも読むため、誤って「こしょ」と読んでしまわないように気をつけましょう。

「箇所」の語源とは?

語源は「箇が竹を数える時に使われていたこと」

「箇所」の「箇」は、「竹冠に固」と表記しますが、かつて竹を数える時に用いられていた漢字でもありました。その後、竹を数えることだけでなく、さまざまなものを数える時に使われるようになったことから、場所や地域、部分を表す「所」を加えて「箇所」という熟語として成り立った背景があります。

「箇所」と「個所」「カ所」の区別の仕方とは?

「個所」は常用漢字表にない言葉

「個所」も「箇所」と同じようにある特定の地域や部分、また、それらの数を表す時に用いたり、問題になっている場所や話に挙がっている部分を指す時に使われる言葉です。そういった意味からも、「個所」の意味や使い方は「箇所」と同じであると言えるでしょう。実際的にも、ほとんどの辞書で「箇所」と「個所」は同じ括りで説明がなされています。

しかしながら、唯一「箇所」と異なることは「個所」が常用漢字表に掲載されていないという点です。「個」はもともと「か」と読まない漢字です。かつて「箇」に代わる漢字として一旦は国語審議会にかけらましたが、正式に認められることもなく現在に至り、「箇所」が正しい表記として使われているのが現状です。

「カ所」は助数詞としてのみ使われる

「カ所」も「箇所」や「個所」と同様に、ある特定の場所や部分の数を表す時に使われる助数詞の一つです。しかし「地元には映画館が3か所ある」とは表記できますが、「正解のカ所がない」とは表記しません。

「カ所」の他、「ヵ所・か所」や「ケ所・ヶ所」と表記することがありますが、もともと「ヶ」は「箇」を省略したもので「个」や「竹冠」の変形として使われているものです。形がカタカナの「ケ」に似ていることから「カ」へと発展し、誤解によって「カ所・か所・ケ所」などと慣習的に使われ始めたとされています。

例文
  • 砂漠地帯で10カ所の洞穴が見つかった。
  • 数カ所ある事業所のうち、最も売上が高いのが自慢である。
  • 一カ所どころか、何と三カ所も虫歯があった。

「箇所」の類語とは?

類語①「ポイント」とは要点・地点

「ポイント(point)」とは、ものごとの要点や肝どころ、また地点や点数のことを指す言葉です。箇所はある特定の部分を示しますが、ポイントはその上で、さらに重要な部分を指摘し、強調する意図で使われます。

例文
  • 英作文で最も気を付けるべきポイントは文法である。
  • この議題のポイントは、いかに平等な環境で社員に働いてもらえるかという点だ。
  • サッカーの試合で10分間に5ポイントもとった。

類語②「個」とは一つのものやひとりの人・ものを数える語

「個」は一つのものやひとりの人、また二個、三個のように、「箇所」と同様に、助数詞として使われる言葉です。しかし、特定の場所や部分を示す意味を持たないため、「重要な個」「問題の個」などと言い換えることはできません。

例文
  • 個を尊重して仕事に臨む。
  • 私の母は父より十個年下だ。
  • 出荷で数個の破損がみられたが、在庫を使ってその場をしのいだ。

まとめ

「箇所(かしょ)」とは、”英語で書かれた箇所”や”喫茶店が二箇所”などのように、特定の場所や地域、部分を示したり、数を表す時に使われます。「個所」は「箇所」と同じ意味と使い方をしますが、「個所」が常用漢字表にないため、現状では「箇所」が正しい表記であるとされています。

また「カ所」は数を数える時に使われる助数詞として機能するものの、「問題のカ所」というような使い方はしません。「箇所」「個所」「カ所」「ヵ所」「ケ所」「ヶ所」と、多くの表記が存在しますが、意味や言葉の使い方を明確にして、正しく活用するようにしましょう。